コミュニティ運営の成功事例

それでは、実際にコミュニティによって事業成長を遂げている企業事例をご紹介します。

成功事例1:入部制のコミュニティで商品開発

  • 企業名:株式会社すかいらーくホールディングス
  • ブランド名:しゃぶ葉
  • コミュニティ名:おやさい学校 しゃぶしゃ部

※招待制の限定コミュニティです

しゃぶ葉のコミュニティ

全国チェーンのすかいらーくホールディングスの「しゃぶ葉」では、熱狂的なファンが大活躍しています。

以前よりSNSの運用に力を入れており、同社から発信するプロモーション活動としては十分活用できていたものの、ユーザーインサイトをもっと深掘りしたいという思いから、コミュニティを開設しました。

コミュニティに入部希望される方には熱い想いを語っていただき、入部のハードルを敢えて高くしたことにより、とりわけ熱狂的なロイヤル顧客が集まりました。それにより、数としては少ないけれど、自ら情報収集をして楽しむ能動的な方や、しゃぶ葉に対して意見を持っている方に出会うことができました。

そしてコミュニティで生まれた成果として、「新だしの共同開発」と題し、ロイヤル顧客と一緒に開発する施策に取り組みました。コミュニティ内でアンケートを取り、そのアイデアを基に顧客と共創した「おだし」を11月に発表する予定です。

「おだし」の共同開発のようにコミュニティだけでその価値を測るのではなく、コミュニティから発生する価値をコミュニティの外の多くの人に提供し、全体への波及効果を確認することで、コミュニティでの活動をより意義の高い取り組みにできた事例と言えるでしょう。

成功事例2:ユーザーヒアリングから商品リニューアル

  • 企業名:有限会社九南サービス
  • ブランド名:タマチャンショップ
  • コミュニティ名:タマリバ

タマチャンショップのコミュニティ
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宮崎県都城市に本拠地を置く自然食品屋として、安心・安全で、おいしく栄養いっぱいの「しあわせ食」をインターネット通販で販売する有限会社九南サービスの事例です。愛用者のレビューを募り、もっと好きになってもらうための場としてオンラインコミュニティを運営しています。

成功の秘訣として、いきなり大きく始めるのではなく、「タマチャンショップ」ブランドの世界観に共感している顧客の方を中心にスモールスタートを切りました。

積極的にレビューやレシピ投稿をしてくれているロイヤル顧客にコンタクトをとり、コミュニティにどんな機能がほしいか、どんな企画であれば楽しんでもらえるか直接ヒアリングして決めていったそうです。

日々たくさんの顧客の方の投稿が発生していて、ユーザー同士の交流も盛んに行われています。それだけでもコミュニティとしては成功していると言えますが、さらに具体的な成果として定量的にも結果を出しています。

コミュニティ内のユーザーにヒアリングし、おつまみ商品「キノコッチ」の味をリニューアルしました。その結果、注文数が約60%、高評価率が20%増加しています。まさに顧客との共創のリアルな事例と言えるでしょう。

商品のことをよく知り、愛着を持っている顧客が集まっているからこそ、何度も商品へのフィードバックをもらい、商品開発に活用することができる非常に参考となる事例だと思います。

キノコッチ

顧客の声をもとにリニューアルした「キノコッチ」

成功事例3:成功事例への解像度が上がり、事業グロースへ

  • 企業名:株式会社DMM Boost
  • ブランド名:DMMチャットブースト
  • コミュニティ名:Booster

DMMチャットブーストのコミュニティ

LINE公式アカウントの機能拡張プラットフォームを提供するDMMチャットブーストでは、契約事業者向けの「Booster」コミュニティを運営しています。

コミュニティの活用目的は、DMMチャットブーストのマーケットでの認知を向上させること。そして「チャットブースト」がマーケットで第一想起される存在になることです。これらを達成するために、既存顧客の熱量を高め、顧客から魅力を発信してもらえるような状態を作ることが必要と考えました。

Boosterが特徴的なのが、深い関係性を顧客と築いている点です。2人のコミュニティマネージャーが絶妙な距離感とフラットなコミュニケーションで、顧客との親密な関係性を構築できています。そのため、コミュニティを取り巻く雰囲気はとにかくあたたかく、心理的安全性が担保されているのです。コミュニティに参加する顧客は積極的に発言したり、交流しあったり、ノウハウを共有するなど活発に活動しています。

その秘訣について聞いたところ、緻密な戦略が設計されていて驚きました。大きく「交流」と「学習」の二軸で動機を区分けしており、分断しがちなその二軸をうまく使い分けてシナジーを生み出しているとのことでした。オフラインのユーザーイベントを開催した際に、深いコミュニケーションを取りながら、その場の状況や空気感、タイミング等を見計らって、交流/学習にそれぞれフォーカスする時間をコントロールしているそうです。

具体的に言うと、以下が「交流」「学習」のコンテンツ例になります。

①「交流」のコンテンツ

自己紹介や、機能に関する雑談の話をコミュニティマネージャーとユーザー、またはユーザー同士で行っています。ユーザーが参加する勉強会でも状況に応じて雑談を交えるなど、積極的に双方の交流を生み出しています。

②「学習」のコンテンツ

EC運用に合わせたナレッジについて「成長を加速する」を軸に、ウェビナー開催、ユーザー同士の相談会、3か月ブートキャンプ実施など、ユーザーが学べる機会を設けています。実際にウェビナーのアーカイブ動画とプレゼン資料を見て、EC運用について体系的に学び即実践したユーザーは、当初の売上が100万円だったところ、瞬く間に4000万円に大きく跳ね上がり40倍の売上効果を出すことに成功しました。

これらの事例や、成功したユーザーを中心に、成功モデルを求めてユーザーが集まり交流サイクルに移り変わります。その交流を通じて、さらなる成功ケースを生み出しています。

コミュニティの展望について、コミュニティマネージャーに聞いたところ、「コミュニティを活用することによって成功事例への解像度がグンと上がり、将来の可能性が広がった。今後はコミュニティを活用して事業をグロースさせたい」とのこと。これからもコミュニティ「Booster」の動きに注目していきたいと思います。