近年、女性向けサービスが盛り上がりを見せています。
昨年は、女性向けメディアの「MERY」と「iemo」がDeNAに50億円で買収され、女性がメインターゲットであるフリマアプリの「メルカリ」や「Frill」が大型資金調達を実施し、TVCMを行うなど盛んにプロモーション活動を行っています。

参考

DeNAがiemoとMERYの2社を計50億円で買収、キュレーション事業に参入 - TechCrunch

メルカリ、23億6000万円を調達--米国展開加速、お台場でリアルフリマも開催へ - CNET Japan

フリマアプリ「fril(フリル)」が10億円を調達 ー テレビCMなどで攻勢をかける | Shopping Tribe

「メルカリ」は既に1,100万DLを突破し、その勢いは留まるところを知りません。

女性向けのWebサービスはまだまだ可能性を秘めています。
今回は、「Similar Web Pro」を利用して、女性がメインターゲットである美容業界のアクセス状況(2015年度2月分)を分析してみました。

※今回分析した「美容業界」は「美容室関連サービス」「化粧品関連サービス」を対象としています。

1.ドメイン別シェアランキング

ドメイン別シェアランキング
1位はリクルートが運営するHot Pepper beautyで全体のシェアの20%を占めています。2位はYahoo! BEAUTYで18%と2つのWebサービスで全体の流入の約3分の1を占めています。3位の資生堂は9%のシェアをとっており、ポータルサイトが上位を占める中、単独企業でこれだけの流入を獲得しています。

2.リファラル(流入元)ランキング

美容業界全体の流入元の約4割を占めるのはYahoo! BEAUTY

Yahoo!beauty
美容関連Webサービスへの流入元ランキングです。
1位はYahoo! BEAUTYで、美容業界のシェアの4割強を占めています。
Yahoo! BEAUTYは、美容関連の情報を配信するメディアで、@コスメやスキンケア大学、iemoなどの人気サイトのコンテンツを配信しており、そこから各メディアへの流入に繋がっていると予測できます。

Yahoo! BEAUTYの流入元は?

Yahoo!beautyの流入元は
こちらはYahoo!beautyのチャネル別流入割合です。
リファラル(他サイトからの流入)が7割強を占めています。

Yahoo!beautyリファラル内訳
リファラルの内訳を見てみると、やはりYahoo!本サイトからの流入がほぼ全てでした。
Yahoo! BEAUTYへの導線はYahoo!トップページの左側のカテゴリにあります。
Yahoo!トップ

Similar Web Proで調べたところ、Yahoo!は月間約2億のアクセスがあります。Yahoo! BEAUTYは500万程度なので、TOPページにカテゴリがあるだけでもそれだけの流入が得られるのかもしれません。
ただ、Yahoo!のTOPページ検索エンジンとしての機能も持っているため、検索流入がリファラルに含められてしまっている可能性もあります。
実際、Yahoo! BEAUTYの検索エンジンの利用割合を見てみると、Yahoo!からのアクセスはほぼありません。
Yahoo!beauty検索エンジンシェア

しかし、国内のWeb全体でのYahoo!検索エンジンシェアは約8%なのに対し、美容業界においては約11%と割合的には少し高くなっています。
それにも関わらずYahoo! BEAUTYの検索エンジンシェアにおいてYahoo!の割合がほぼゼロなのは、先ほど書いた通り検索流入がリファラルに含まれてしまっているからではないかと推測されます。

いずれにせよ、国内最大のポータルサイトであるYahoo!は未だ圧倒的なプラットフォーム力を保持していることが分かる結果となりました。

3.検索ワードランキング

自然検索ランキングではHot Pepperのブランド力があらわに

HotPepperのブランド力
自然検索ワードランキングでは、「ホットペッパービューティー」という単語のみで全体の5%を占めています。上位10位以内にHot Pepper関連のキーワードが4つもランクインしており(通常のHot Pepperの検索も含まれている可能性はありますが)、Hot Pepperのブランド力がわかります。

有料キーワードランキングでは資生堂の広告戦略が明らかに

資生堂
一方、有料キーワード(リスティング広告)のアクセスランキングでは、資生堂が広告にかなり力を入れていることが見てとれます。「資生堂」というキーワードが、美容業界で流通している広告のアクセスの約10%を占めています。
自然検索ランキングでも「資生堂」というキーワードが4位にランクインしており、世界有数の化粧品開発企業である資生堂への信頼の高さが見てとれます。
有料キーワードランキングでは、8位に「イプサ」、13位に「マキアージュ」と、資生堂系列のブランドが2つランクインしています。資生堂は多数のブランドを保持していますが、主力ブランド(イプサ、マキアージュ)に集中して広告費を投入していることが窺えます。

4.ディスプレイ広告ランキング

Hot Pepper beautyはディスプレイ広告に注力

ディスプレイ広告ランキング
ディスプレイ広告ランキングにおいては、1位が資生堂、僅差でHot Pepper beautyが2位となり、なんとこの2サイトで全体のディスプレイ広告の6割を占めています。

ディスプレイ広告はインタレストマッチ(ユーザーが閲覧しているホームページのテーマに関連した広告が表示されるシステム)のため、検索連動型広告であるリスティングほどニーズにマッチした広告は出ないにせよ、リターゲティング(一度閲覧したサイトの広告が他サイトでも繰り返し表示されるシステム)やRTB(リアルタイム入札。広告のインプレッションが発生した瞬間に、ユーザーの属性を見極め、表示する広告を決めるシステム)により、精緻なターゲティングを行えるようになったことでディスプレイ広告の可能性が広がっています。

5.メルマガ流入ランキング

メルマガではHot Pepper beautyの圧勝

メルマガ
メルマガ流入ランキングでは、Hot Pepper beautyが約40%と大幅なシェアを獲得しています。
Hot Pepper beautyではメルマガ会員限定の割引サービスを実施しており、それが開封率、アクセス数につながっていると考えられます。

まとめ

美容業界においては、美容室などのサロン関連はリクルートが運営するHot Pepper beautyが、化粧品関連では資生堂が圧倒的なシェアを持っていることが明らかとなりました。

Hot Pepper beautyはリファラル(流入元)としても大きなシェアを占めており、サロン業界のプラットフォームと化しているようです。
化粧品関連では、国内有力ブランドである花王やKanebo関連のキーワードがほとんど出てこないことから、資生堂がいかにネット戦略を重視しているかがわかります。(ターゲットによって、重視するチャネルは異なるので、そういったことも関係していると考えられます。)

美容関連のサービスを展開している方は、これらの情報を元にWebマーケティングを行ううえでどの分野に注力すれば自社サービスをより発展させられるかを考えてみてはいかがでしょうか。

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