その昔、文字は情報を伝える手段であり、瓦版がメディアとしてパワーを持っていました。それが今、情報はインターネットにより発信され、その手段は動画や写真など多岐にわたる時代に進化を遂げました。

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特に若年層のメディア接触はインターネットが大半を占めており、これまでのマスを軸としたマーケティング戦略からパラダイムシフトを受け入れざるを得ない状況と言えるでしょう。事実テレビCMの出稿費は下がっており、東京オリンピックを境に全体金額の5割を下回ると噂されています。

ではインターネットに流れる広告費用はどのように活用されるのでしょうか。真っ先に思い浮かぶのがバナー広告やアドセンスなどですが、これらの広告では伝えられる情報に限りがあるため、感情を揺さぶるような訴求をするには、非常に緻密なコミュニケーションの設計が必要となり、簡単に実施できるものではありません。

こうした課題に対して、期待以上の効果をあげる可能性があるインターネット上の広告商品がインフルエンサー・マーケティングです。

なぜインフルエンサーが注目されているのか

メディアシフトにおいて重要なファクトはスマートフォンのデバイス普及です。1人1デバイスの時代がおとずれたことで、個々がメディアを選択できるようになり、CGMサービスが急成長を遂げ、メディア接触時間の変化を引き起こしました。

「何をいうか」ではなく「誰がいうか」

スマートフォンの普及によりSNSを通じた情報発信が持つ影響力は既存メディアを脅かす存在となりました。これは、これまでのメディアでは視聴者だった大多数が発信者となったためです。

結果的にメディアパワーはテレビや雑誌といった枠組みから、個人へシフトしました。
その顕著な例が「インフルエンサー」です。

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インフルエンサーを定義すると、「WebやSNSを通じて世間に大きな影響力を持つ人物(もしくは人格を持つアカウント)」と言えます。
例えばYouTubeで大きな影響力を持つ「ユーチューバー」は、子供のなりたい職業ランキングでも上位に入るなど、既に若年層への認知は高い状態にあります。

そんなインフルエンサーを起用した商品プロモーション手法が「インフルエンサーマーケティング」と呼ばれています。

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加速するインフルエンサーマーケティング

インターネットメディアを軸として人気を拡大してきたインフルエンサーの中には、総フォロワー数が1,000万人にも及ぶことも珍しくなくなってきました。

そんなインフルエンサーを活用した商品プロモーションが、大きな成果を得るケースが増えており、全世界的に「インフルエンサーマーケティング」への関心が高まっています。

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インフルエンサーが活躍するプラットフォーム

インフルエンサーマーケティングとは冒頭で紹介している通り、企業が消費者への情報発信や購買へ繋げるためのインフルエンサーを起用するマーケティング手法です。
一言でインフルエンサーマーケティングと言ってもその種類は様々であるため、マーケターは、プラットフォームの理解とともに、最適な選定をしていく必要があります。
以下はそれらプラットフォームの一例とその特徴です。

YouTube

動画の配信プラットフォーム。概要欄にリンク設置し、商品LPへ誘導することが可能なため、スムーズな導線作りが可能。

Instagram

画像投稿及び短尺動画の配信プラットフォーム。ハッシュタグによる拡散など、広範囲への認知拡大に適しブランディングに役立つ。

Twitter

テキストを軸とした短文投稿プラットフォーム。「バズる」を生みやすいこともあり、キャンペーン企画で他メディアと併用して用いられることも多い。

TikTok

リップシンクコンテンツ配信プラットフォーム。投稿するお題が用意されているため、動画配信のハードルが低く、大量のコンテンツ投稿を獲得。話題作りで用いられることが多い。

その他

「ブロガー」やLIVE配信を行う「ライバー」などプラットフォーム(媒体)が多様化し、様々なインフルエンサーが存在。

マーケティング活用されるYouTube

インフルエンサープラットフォームの中でも、商品理解や購買に大きな影響力を及ぼすのがYouTubeです。スマートフォン所持者の8割近くがアクティブと言われる動画プラットフォームは若年層以外にも多大な影響力があると言われています。

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YouTubeは動画という、視覚的に訴えかけられる点がテレビと類似しつつ、インフルエンサーという発信者のファンに情報を提供することでコンテンツへの興味も高いということがマーケティング活用の背景にあります。

YouTuber活用の背景

万能に見えるYouTuberを活用したプロモーション(以後、YouTubePR)ですが、実は細かな企画戦略が重要になります。YouTuber活用のポイントを確認しましょう。

メリット

  • 視聴者(ファン)との距離が近い
  • 商品理解の促進

YouTuberは大前提としてファンの確保が重要となります。そのため、ファンに喜んでもらうコンテンツ作りという側面から商品アプローチへと繋げることが、結果的に視聴者の興味を引くことに成功しています。
また、そうした関係値があるからこそ、広告主が伝えたかったメッセージがより理解されやすくなるというメリットがあります。

デメリット

  • 依頼するYouTuberの選定が難しい
  • 広告の効果指標が分かりづらい

国内のインフルエンサーは100,000人以上に膨れ上がり、新しいYouTuberも続々と登場しています。そんなYouTuberの人気は浮き沈みが激しく、確認しなければいけない変数が非常に多くなっています。その中からROIが高くなりそうなYouTuberを見つけるのは非常に難しいと言えます。

また、直接購買に繋がったり、間接的に購買貢献したりと、広告効果を追うことが難しい点もデメリットとして挙げられます。そのため、企画に沿ったKPI設定は変動することもあり、こうした確認をしていくことは知識・経験を求められるのです。

YouTuberの活用事例

2018年に最もYouTuberを起用してPRを行ったゲームの「荒野行動」を見てみましょう。(提供:株式会社BitStar[2019.6.19現在])

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上位6動画だけで2,000万回を超える視聴があり、トップ動画は1,000万再生に迫っていることがわかります。

この動画はみてわかる通り、ただ商品紹介をした訳ではなく、その世界観をYouTuberがCGで表現したことにより動画自体がバズりました。
結果的にゲーム理解に繋がり、広告としては期待値を超える効果があったと思われます。

まとめ

SNSやインフルエンサーの活用は全世界的な流れとして、拡大しています。一方で、事前の理解や戦略なく実施した結果、多くの失敗例があるのも事実です。
また、アドフラウドと呼ばれるようなフォロワーの水増し行為も少なくありません。

これらを進める上で、重要なことはデータ・ドリブンな思想です。
定量的なデータからインフルエンサーの選定を行うとともに、定性的なインフルエンサーの特性を理解し、マーケティング戦略に落とし込むという一連の流れです。

今回紹介したインフルエンサーマーケティングのポイントを簡単にまとめると以下の2点に集約されます。

  • マーケティング戦略にマッチするインフルエンサーの選定
  • インフルエンサーに合わせたストーリー作り(企画)

マーケティング活用において、インフルエンサーの選定を「好きだから」「有名だから」といった理由で選ぶと大きな失敗に繋がってしまいます。
正しい理解と戦略の上で、インフルエンサーのマーケティング活用をしていきましょう。