ferret編集部:2015年4月17日に公開された記事を再編集しています。

「フリ―ミアム」という言葉、皆様は聞いたことがあるでしょうか。
フリーミアムとは、基本的なサービスは全て無料で提供し、一部の機能を有料で提供するビジネスモデルを指します。
基本的に無料と聞くとあまり収益が見込めなさそうなイメージがあると思いますが、今成功しているWebサービスの多くはフリーミアムモデルを採用しており、スマートフォン向けアプリに至っては、全世界の売上の9割以上をフリーミアムモデルアプリが占めています。

「全世界アプリの売上92%がフリーミアム、有料市場は縮小」AppAnnieが語るアプリストア9つのトレンド。D2CRアプリセミナー | アプリマーケティング研究所

今回は、成功しているフリーミアムサービスのキャッシュポイントをまとめてみました。新規サービスの企画を考えられている方は是非参考にしてみてください。

フリーミアムとは?

フリーミアムとは、「Free」と「Premium」を組み合わせた造語です。
2006年、アメリカの投資家であるフレッド・ウィルソンによって提唱され、ライフスタイル誌「WIRED」編集長のクリス・アンダーソン氏が2009年に出版した著書『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』のヒットにより広く認知されました。

冒頭でも紹介したとおり、フリーミアムは基本的なサービスは全て無料で提供し、一部の機能を有料で提供するというビジネスモデルです。
無料会員→有料会員に促すタイプと、ソーシャルゲームのような都度課金するタイプに分けることができます。

人はどういう時に有料プランを選択する?

フリーミアムの定義を知ると「ほとんどの機能を無料で使えるのであれば、わざわざ有料プランを利用しなくてもいいのでは」と思う方もいるでしょう。
実際、フリーミアムは大多数の無料ユーザーと一部の有料ユーザーという形で成り立っているものがほとんどです。

【App Annie・IDC調査】フリーミアムモデルの課金者の割合は2~5%が最多 | Social Game Info

一部とはいえ、基本無料のサービスに課金するよう誘導するには、それ相応のメリットをユーザーに感じてもらわなければいけません。
人は何があれば、課金しても良いと思うのでしょうか?

成功例から傾向を導き出すために、国内で成功しているフリーミアムサービスはどのようなキャッシュポイントを設けているのかをまとめてみました。

広告収入モデルの無料サービスもフリーミアムの枠組みに入ると定義されることもありますが、今回はユーザー課金型のサービスに絞ってご紹介します。)

フリーミアムのキャッシュポイント

有料会員タイプ

有料会員タイプ
無料会員から有料会員に誘導し、月額課金で収益を得るタイプです。
一口に有料会員といっても、登録する動機となる部分はサービスによって異なります。各サービスの有料会員への導線となるポイントをカテゴリ分けしました。

1.利用可能な機能が増える

該当サービス

@cosme
Evernote
Similar Web
Skype
STORES.jp
食べログ
ナビタイム
Backlog

最もスタンダードなのが、有料会員になれば使える機能が増えるというところをトリガーにするタイプです。
より自分にフィットした情報が得られる高度な検索機能などです。例えばevernoteの場合、自分以外の人間が閲覧できないようロックをかけられる、evernote内に保存されているword文書やPDF内の文書まで検索できる機能が付与されます。

2.機能制限が開放される

該当サービス

COOKPAD
schoo
食べログ
チャットワーク
ニコニコ動画
はてなブログ
ライブドアブログ

1番目の項目と類似していますが、こちらは有料会員になれば制限されている機能が開放される、という点を有料課金への導線に設定しているサービスです。
1度くらいはホームページ上にある機能を利用しようとした際に「この機能は有料会員限定です」というような表示を目にしたことがあるのではないでしょうか。
機能制限に関しては、COOKPADがかなり緻密な計算のもと進めているようです。

こちらの記事では、COOKPADの有料会員獲得のための施策が解説されています。
スタートアップ必見!クックパッド&Zaimで効果を上げたお金をかけずに出来るグロースハック事例-D2CRアプリセミナー | アプリマーケティング研究所

3.使用可能な容量がアップ

該当サービス

evernote
COOKPAD
Dropbox
Backlog
はてなブログ
ferretplus
ライブドアブログ

クラウドサービスでよく見られる形式です。
利用できる容量を増やしたいというヘビーユーザーを有料会員として呼び込む仕組みです。
Dropboxは、既に利用しているユーザーに対し、友達紹介してくれたら容量が増えるといったキャンペーンを行った結果、無料会員数が爆発的に増加し、そこから有料会員にアップグレードするユーザーを多数獲得することに成功しています。

フリーミアムの勘所が5分でわかる!【成功事例6選と失敗事例2選付き】

4.有料会員限定コンテンツ

該当サービス

@cosme
COOKPAD
cakes
NewsPicks

有料会員のみが閲覧できるコンテンツを有料会員特典として置いているサービスです。
インターネット上には、毎日膨大な量のコンテンツが飛び交っています。新聞や雑誌などの紙媒体と違い、インターネット上のコンテンツは基本無料で閲覧できることが当たり前となっています。
そこに対し、お金を払ってまで見たいとユーザーに思わせるには、いかにクオリティの高いコンテンツを生成できるかが重要です。
中でもNewsPicksは、有料会員になると有料コンテンツが読める、という特典のみで月額費用は1,500円に設定されており、他のフリーミアムサービスに比べればかなり強気な価格設定となっています。

しかしその分著名人の連載や時事ネタを深く掘り下げた分析記事など良質なコンテンツが豊富に揃っています。

NewsPicksを運営するユーザベース代表の梅田氏は、「値下げをするのは簡単。でも、全く新しいメディアのビジネスモデルを作りたいと思って1500円と決めた」と語っており、今後、1つの経済メディアに留まらないよりスケールの大きいサービス提供を想定しているようです。

NewsPicksに1,500円払うのは高すぎ? スタンプは必要? | サイボウズ式

5金銭的メリットがある

該当サービス

Amazon
@cosme
COOKPAD
SPIKE
食べログ

有料会員になることで割引特典やランニングコスト削減が可能なタイプです。
Amazonや@cosmeなどのネットショップ機能を持っているサービスはサイト内で利用できるクーポンを、食べログは飲食店で使える大幅な割引クーポンを配布しています。

都度課金するタイプ

都度課金タイプ

該当サービス

amebaピグ
LINEスタンプ
ソーシャルゲームのゲーム内課金

都度課金タイプは、ソーシャルゲームのように瞬間風速的に射幸心を煽ることで課金を促すサービスと相性が良いようです。
LINEのフリーミアム戦略は圧倒的で、2011年に無料のメッセージアプリ「LINE」をリリース後、あっという間にメインのコミュニケーションツールとして台頭し、全世界で5億を超えるユーザーを獲得しました。
LINEは「スタンプ」という独自のコミュニケーションツールを提供しており、有料スタンプの売上は2014年の段階で月間10億円を超えています。
LINE スタンプ売上は月間10億円 昨年の3倍に