チャットbotでもっと面白い遊びを開拓したい

ferret:「Twitter DM CONTENTS」を開発しようと思ったきっかけは何だったんですか?

岡田氏:技術としては以前からありますが、プロモーションに上手く使いこなせていなかったと思います。私たちが売り始めたのは2018年の末くらいからです。

泉氏:Webキャンペーンって、公開から1週間〜1ヵ月くらいで終わってしまうのに、どのクライアントも制作会社も当然、ゼロからWebサイトを力を入れてつくっていますよね。だけど、毎回ゼロから同じようにつくるよりも、本当は使い回した方が双方にとって効率がいいんじゃないかと考えました。そこで、新しくパッケージ的な売り方を考えてみようという会社の意向もあり、チーム結成に至りました。エンジニア、プロデューサー、プランナー、全員で10人くらいの少数精鋭のチームでやっています。

あと、カヤックがなぜ今「Twitter DM CONTENTS」に力を入れているかというと、カヤックは、今年で創業21年目でWeb制作会社としては老舗みたいなポジションです。移り変わりの激しいWeb業界で、いかに新しいプラットフォームや新しい技術で面白く遊べるかということを模索してきた会社であるという自負があります。

今、チャットコマースのベンチャー企業がいっぱい出てきていますよね。カスタマーサポートとかAIによる機能補助みたいな使い方もありますが、我々は、チャットbotでもっと面白い遊びを開拓したい想いから、分岐コンテンツ、分岐小説、分岐漫画などをTwitter DM botと組み合わせたんです。多分事例として世の中にあんまりないんですよ。海外で「Twitter DM CONTENTS」みたいなものがあるのか調べてみたんですが、ないんです。「こうやって使ったらもっと面白くなるんじゃないの?」ということを考えて、これからも、いろいろと試したいと思っています。

ferret:実際に企業が導入してみて反響などはありましたか?

岡田氏:大きな反響を呼んだのは、2019年の1月に行なったコクヨさんの整理できない青春キャンペーンでした。DM上で漫画が分岐するコンテンツで、ボタンを押すとストーリが始まって、漫画を読み進めていくと選択肢があって、選ぶとまたストーリーが分岐して……という感じで進めていって終わり方を4パターン用意しました。

この漫画、結構長いんですけど、ストーリーが面白くつくられていて、予想外のオチになるんです。シミュレーションゲームみたいな感じで選んでいくので、新しい感覚でユーザーに楽しんでもらえたと思っています。実は、このコクヨさんのキャンペーンの反響が大きくて、Twitterのシステム上限を超えたため一時的に公式アカウントのDM機能が止まっちゃったんですよ(苦笑)。

商品がバインダーだったので「バインダー買う、このストーリー面白い」とか「この展開すごい」「DMでできるなんて天才か」など、ストーリーに対してもユーザーから面白いと大好評でした。「Twitter DM CONTENTS」に対しても、この仕組みは面白いって高い評価をいただきました。プレゼントキャンペーンはプレゼントに当選したいからシェアする人が多いんですが、コンテンツが本当に面白いからシェアしてくれたってことを実現できたかなと思います。コクヨさんも想定していた反応の約10倍あったとおっしゃっているほどです。

▲整理できない青春キャンペーンTwitterページ。迎えた結末をシェアすると抽選でバインダーセットがもらえるキャンペーン(※キャンペーンは終了しています)