コロナショックによって直接の接客が難しくなってしまった事業者も少なくありません。そんななか、「Web接客」という言葉に注目が集まっています。この記事では、Webサイト上でお客さまにおもてなしを施すWeb接客とはどんな仕組みなのか、メリットや利用するツールは何なのか、という点も含めて詳しく解説していきます。

Web接客とは

「Web接客」とは、Webサイト上でお客さま(ユーザー)に対しておもてなしを行うための仕組みを指します。ちょうど良いタイミングで最適な情報を提供することで、ユーザーから居心地良くサイトを楽しんでもらい、満足して帰ってもらおうというのがWeb接客の考え方です。それを満たすために、方法は大きく2つあります。

・ポップアップ型
・チャット型

ポップアップ型

ポップアップ」とは、画面上に不意に表示されるメッセージや画像のこと。その時にユーザーが欲しい情報や新商品の情報を届けます。

実際の接客に照らし合わせると、洋服を見ているときに店員さんが話しかけてきて「今年のトレンドは◯◯で、こちらの服などが良いですよ」とオススメしてくれる感覚に近いでしょう。あるいは、コンビニで「◯◯揚げたてです、いかがでしょうか」とレジから聞こえる声のように、ユーザーの注意を引きながらオススメできるのが魅力です。

デメリットとしては、どうしても一方通行になってしまうこと。ユーザーにとって全く興味の無い内容だった場合、煩わしいことこの上ありません。とはいえポップアップを控えめにしてしまうと訴求力を失うので、バランスが難しいです。

洋服屋の店員さんのように「この人は話しかけても良い人か」を見極めることもできないので、上手く活用しないと離脱率が上昇してせっかくのユーザーを手放してしまう可能性も孕んでいることを理解しておきましょう。

チャット型

サイト上でチャットができるサービスを導入すれば、チャット型のWeb接客を実装できます。画面右下などからチャット画面が伸びてくるようなサイトに出会うことがありますが、まさにそれがチャット型のWeb接客を導入しているWebサイトです。

基本は「チャットボット」と呼ばれる自動対応のAIが対応しますが、必要に応じて人間とチャットできるように切り替えたり、簡単なFAQをチャットボットに任せたりといった使い方ができます。サイトを閲覧しているユーザーに困りごとがないか確認しつつ、顧客満足度(CS)を高められる手法として、多くの企業が取り入れていると考えられます。

1:1の接客ができる反面、チャットボットでは反応が画一的になってしまうことがデメリットです。これを解消するために、「◯分以上サイトに滞在しているユーザーにのみ表示」するなどの施策を取り入れることで、チャット対応を求めているユーザーに対してのみ声を掛けられるようになります。

Web接客が求められる背景

Web接客が求められるようになった背景には、Webの発達が起因しています。Webの発達によってEC市場が成長し、多くのモノをWeb上で購入できるようになりました。法人個人を問わずにネットショップを開けるようになり、最近はD2Cに参入するメーカー企業も増加したことで、更にWeb上での売買は加速していくと予測されています。今後は、「何を売るか」だけではなく「どう売るか」というのも成否を分ける大きな要因の一つとして考えなければなりません。

同じ商品を揃えているコンビニが2つあった場合、競合店と差別化するには「接客に力を入れる」などのソフト面の強化が大切です。これをWebに当てはめたのがWeb接客です。より買い物しやすいサイトがあればそちらを選ぶのがユーザーの心理です。

そのため、多くのネットショップが参入してきた昨今は、多くのネットショップがWeb接客を取り入れて他店との差別化を図っている、という背景があるのでしょう。

Web接客のメリット

購買率(CVR)を高められる

購買率はネットショップ運営における指標の一つです。お店(サイト)に訪れた人のうち、何人が商品を購入して帰ってくれたかを把握・改善していく過程においてWeb接客を活用することで、購買率を高められるようになります。

最適なタイミングで最適な商品をPRできれば、その商品をはじめとして他の商品にも興味を持ってもらえるでしょう。Web接客を導入していない場合に比べてより大きなインパクトを持って訴求できるので、CVRを高めたい方はぜひWeb接客を検討してみましょう。

ユーザー分析のデータを獲得できる

CVRCTRといった数値は、ユーザーの心理や動向を表す手がかりです。Web接客を導入して、こちらから顧客に働きかけることで、「どういう訴求が自社のユーザーに適しているのか」「どんな内容であれば興味を持ってもらえるのか」といった情報が手に入りやすくなります。

Web接客を導入しなくてもデータ自体は取得できますが、Web接客という形で直接ユーザーに働きかけることで、よりユーザーの動向がはっきりと見えてくるでしょう。Web接客を通して、今後の戦略策定や仕入れ、マーケティングの最適化にも活かせるデータが手に入るかもしれません。

顧客との関係性を高められる(CRMの最適化)

Web接客という形で顧客とコミュニケーションを取ることで、顧客との関係性を育成・強化できるのもメリットの一つ。こちらから話しかけなければ、ECサイトのユーザーと運営者は非常に希薄な繋がりです。

しかし、Web接客を通してたった一つでもこちらから話しかけることで、顧客との間に一つの繋がりが生まれます。そこから発展してリピーターになってくれる可能性もありますし、少なくとも顧客の注意を引くことはできます。そこに込めるメッセージや内容によって自社の立ち位置を明確に顧客に伝えられるので、より記憶に残りやすくなる、というメリットも期待できるでしょう。

Web接客を実現する方法

MAツール

MA(マーケティングオートメーション)とは、その名の通りマーケティング業務を自動化してくれるツールの総称です。見込み顧客を自動的に抽出したり、Web上での動向をまとめたりといった機能を持ったものが一般的で、それらの情報をマーケティングに活かして、効果的な施策を打つためのサポートをしてくれます。

こうしたMAツールの中にWeb接客として活用できる機能が搭載されているものも存在するので、いくつか比較して自社に最適なものを選びましょう。

Web接客ツール

Web接客専門のツールもたくさんリリースされています。先ほど紹介したように、Web接客には大きく「ポップアップ」と「チャット」という2つのタイプが存在しますが、どちらかに特化したサービスが散見されます。

既存のサイトに簡単に導入できるものばかりなので、「どんなサイトにしたいのか」「ユーザーにどんな価値を提供したいのか」をはっきりとさせてからツール選びに移りましょう。

Web接客で”Withコロナ時代”を戦い抜こう

Web接客はWebの発達とともに生まれた概念ですが、コロナショックによってさらにWebでの買い物は増加すると見込まれています。Web上でユーザーの満足感を向上させるために、Web接客という選択肢は非常に有効と言えるでしょう。

顧客との長期的な関係構築にも一役買うWeb接客、この記事を参考にぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

参考:MA(マーケティングオートメーション)とweb接客ツールの違い、利用すると出来ることとは

オススメのWeb接客ツールは?

Web接客ツール11選!実店舗に負けない接客レベルを実現しよう

Web接客ツール11選!実店舗に負けない接客レベルを実現しよう

一人ひとりの顧客のデータを把握し、それに応じたきめ細やかな対応を可能にしてくれるのが、Web接客ツールです。Web接客ツールを活用することで、顧客の訪問・購入パターンを分析することはもちろん、リアルタイムで実店舗のような接客を行うことも可能です。今回は、Web接客ツールの概念と、オススメのツールを11個ご紹介します。