消費者行動プロセスとは、消費者が商品を購入するまでに起こす一連の行動をモデル化し、マーケティングやプロモーションに活かすための考え方です。
時代に合わせて変化をしていったものなので、時代の背景と照らし合わせると理解が深まります。

消費者行動プロセスの変化で垣間見えるユーザ心理

1.AIDA(アイーダ)モデル

Attention(注目)
Interest(興味)
Desire(欲しい)
Action(購買行動)

アイーダの法則ともよばれ米国のE・K・ストロングが1920年に提唱したもっとも古いといわれる消費者行動プロセスの一つと言われています。
なお、この後紹介する他の消費者行動プロセスの基礎となっているケースが多く、時代の変化に応じて行動を加えられたり、その加えられたものがさらに変形して別のモデル化されたりなど多岐にわたって応用をされています。

2.AIDMA(アイドマ)モデル

Attention(知る)
Interest(興味 )
Desire(欲しい)
Memory(記憶)
Action(購買)

恐らくマーケティングやソリューション提案の仕事をされている方であれば一度は耳にしたり、また実際に提案書などに利用したことがあると思われるほど、有名なモデルです。
なお「M」を「Motive」(動機)とするモデルも存在していますが、提唱したサミュエル・ローランド・ホールが著書中で示したものは「Memory」と言われています。消費者行動モデルはそのサービスや製品がおかれた環境により変化するものなので、一概に誤りとはされていません。

3.AIDCA(アイドカ)モデル

消費者が企業や商品の広告を見てから、

Attention(注目)
Interest(興味)
Desire(欲望)
Conviction(確信)
Action(購買行動)

にいたる消費者行動プロセスを示したモデルです。
先述のAIDMAモデルの派生形で、記憶(Memory)ではなく、行動に確信(Conviction)が必要だろうとした考え方です。確信が必要な購買というのは比較的値段の高い商品やサービスを利用するケースに起きる行動になりますので、マーケティングに活用する場合はこの金額感によって使い分ける必要があります。

4.AIDCAS(アイドカス)モデル

Attention(注目)
Interest(興味)
Desire(欲望)
Conviction(確信)
Action(購買行動)
Satisfaction(満足)

AIDCA(アイドカ)モデルに、「Satisfaction:満足」が加わった消費者行動プロセスです。
人は購買に満足をすると、リピーターになる可能性が高まり、口コミや紹介など、新しい購買を引き寄せることがあります。ネットショップなどで商品を販売している場合は、この満足を高める行動も必要になってきます。
一時期携帯電話のキャリアがこのSatisfactionを広告に多用していた時期がありました。
満足という感覚は、お買い得に手に入れたというケースや、値段以上のサービスや価値を得られたと感じたときなどいろいろなシーンで考えられます。Satisfactionを発生させるためのマーケティングプランを考える際にはこの消費者行動プロセスを基準に考えると良いでしょう。

5.AIDAS(アイダス)モデル

Attention(注目)
Interest(興味)
Desire(欲しい)
Action(購買行動)
Satisfaction(満足)

AIDCASモデル同様、AIDAモデルに「S(Satisfaction:満足)」を加えた消費者行動プロセスのモデルです。
満足というプロセスを追加したのは、先述のとおり、その製品やサービスに応じて消費者行動が異なることを理解し、要素を追加した結果と言えます。それにインターネットというインフラが普及したことも大いに影響を与えているでしょう。

6.AIDAC(アイダック)モデル

Attention(注目)
Interest(興味)
Desire(欲しい)
Action(購買行動)
Comment(コメント)

人は商品に満足したり、逆に要望や不満などがある場合は、「C(Comment:コメント)」をするだろう、という論理を加えたモデルです。
このコメントはインターネットに誰もがアクセスできる時代だからこそ生まれたモデルで、ソーシャルメディアなどを利用すれば瞬く間に全世界にコメントを発信できるからこそ、注目されるようになりました。今日の商品やサービスで、利用した後に全く何も感じないというものはほとんどなくなったのではないでしょうか。
その意味でこの消費者行動プロセスは、あらゆる商品やサービスに活用できるモデルと言うことができます。

7.AMTUL(アムトゥル)モデル

Aware(認知)
Memory(記憶)
Trial(試用)
Usage(本格的使用)
Loyalty(ブランド固定)

を略したもので、短期間の消費者行動プロセスを示したAIDMAと違い、購買までの長期のプロセスを示したモデルとなります。
商品やブランドのファンとなりエンゲージメントを高めるためには、ある程度期間を考慮したマーケティング計画を構築する必要があります。
例えば、たまたま興味を持った商品を、今は様々な方法で比較検討することが可能になりました。このためそのプロセスに「試用」を設けたことがこのモデルの特徴と言えます。

8.AISAS(アイサス)モデル

Attention(注意)
Interest(興味・関心)
Search(検索)
Action(行動)
Share(共有)

2005年に株式会社電通が提唱、商標登録されています。
AIDMAモデルで紹介していたDesire(欲望)とMemory(記憶)を置き換えた形であり、インターネット利用が当たり前になった現代ではよく使われる消費者行動プロセスのモデルです。
これらも他の消費者行動プロセスと同様、商品やサービスに応じて使い分けられるモデルであり、検索行動が必要のない購買に関しては適しません。また感想を共有されにくいサービスでも同様で、コンビニで買うコーヒーにこのプロセスはあてはめることは難しいと言えます。

9.VISAS(バイサス、ヴィサス)モデル

Viral(口コミ)
Influence(影響)
Sympathy(共感)
Action(購買)
Share(共有)

Facebookが日本でも流行をし始めた2010年ごろ、芸能人の方や一般の方が身に着けている洋服やアクセサリー、はたまたイベントへの参加や日々の活動に共感し「いいね!」がにわかに流行語になった時期がありました。
それは「いいね!」を販売する業者まで出てくることになりましたが、それほどこのViralは消費者の行動のなかに重要なポジションを持つようになりました。その結果、提供サービスによっては検索エンジンよりソーシャルメディアからの流入からのほうが、商品の購買やサービスの利用率が上がるビジネスも出始めました。これらの流れから、検索エンジンでのプロセスを含んだAISASモデルよりも、現在はVISASモデルの方が消費者行動にマッチしていると唱える方もいます。

10.AISA(アイサ)モデル

最後にご紹介するのは、VISASモデルでご紹介したようなソーシャルメディアが隆盛したこの時代にマッチした消費者行動プロセスの一つです。

Attention(注意)
Interest(興味・関心)
SocialFillter(ソーシャルフィルター)
Action(行動)

の頭文字をとったモデルです。
ソーシャルメディアがたくさんのトラフィックをもたらす前は、これまでもご紹介した通り、Googleなどを利用した検索行動により商品を購買するかを検討していました。

しかし、この消費者行動プロセスでは「ソーシャルフレンドがどういった反応をするか?」という一種の「フィルター」を通して決断を行う傾向がみられるようになりました。確かにFacebookなどを見ると、「これどう?」といったポストは結構見かけます。同じくTwitterなどでも写真と一緒にフォロワーに問いかけるなどして反応を聞き、それを理由にして結果「買いました!」という流れも珍しくありません。これらの一連の行動を表した新しいモデルがこのAISAモデルです。