「あつ森」とSNSの親和性

ここまで見てきたデータから、「SNSと親和性が高いことも、爆発的大ヒットの一要因だったのではないか?」という仮説を提起できます。そもそも、「あつまれ どうぶつの森」の世界観とは、現実と同じ時間軸の下、ゲームの世界で人と交流できる「もう一つの現実」「バーチャルリアリティー」という設定です。その世界観、外出自粛で人との交流を制限される人々の欲求をバーチャルで満たしたために大ヒットを達成した、という点が挙げられます。

さらに、「そのバーチャルリアリティーの中でできること(デザインやゲーム、人との交流、インテリア作り、マイレージ集めなど)や、可愛らしい世界観そのものを、ユーザー自らがSNS上に投稿してばら撒いた」という事実が先述のデータから浮かび上がってきます。

その、ばら撒く動機は「世界観やゲームデザインがカラフルで可愛らしい、キャッチーだから、SNSに投稿しても映える」「ゲーム内でのファッションや住居、家具などのデザインについて、デフォルト時よりもっと自分なりに創意工夫を凝らすことができた達成感」といった側面ではないでしょうか。

つまるところ「承認欲求(いいね!をしてほしい、注目してほしい)」に集約でき、「あつまれ どうぶつの森」は見事なまでにSNSとの親和性を背景に秘めていて、その性質が人々の間で上手くワークしている、と言えるのではないでしょうか。

その結果、まだゲームを買っていないユーザーにとっても、日常的に眺めているSNS上で「あつまれ どうぶつの森」との接触機会がある状態が続きます。そうすると、自分もだんだんと気になって「あつまれ どうぶつの森」をネット検索したり、実際にソフトやNintendo Switchゲーム機本体を購入する行動に誘引されていく、という仮説を立てられるのではないでしょうか。

FacebookのHorizon構想

「SNSとバーチャルリアリティーゲーム」という切り口でいくと、Facebookの「Horizon」構想も発表されています。2019年9月、Facebook社が独自の仮想現実世界「Horizon」を構築中であると発表しました。ユーザーは、自分のアバターを作ってそこで友達と遊び、交流したり、探索したり、ゲームをしたりできるとのことです。これは正式リリース前なので現時点でまだ詳細はわかりませんが、「あつまれ どうぶつの森」にもよく似た世界観だと言えそうです。

また、2020年末に発売されるSONYの次世代ゲーム機「Play Station5」ではVR機能の搭載有無も注目され、話題に上っています。VR機能の実装が正式に発表されたら、「あつ森」や「Horizon」のような仮想現実交流ゲームタイトルの登場も想像に難くありません。
 
参考:FacebookのHorizonは巨大なVRマルチプレイヤーワールド
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