動画広告のブームが到来しつつある現在、多くの企業が動画広告を打ち出しています。従来の広告に比べて費用対効果が高いと言われている動画広告ですが、掲載した動画をそのままにしておくのではなく、通常の広告と同じように効果測定を行い、より改善するための施策を繰り返していくことが求められるでしょう。この記事では、動画広告を効果測定する方法やコツ、ポイントを詳しく解説します。

動画広告の効率を高める「効果測定」とは

動画広告に限らず、広告業界では「効果測定」という言葉をよく耳にします。これは、広告の「効果」がどれくらいあったのか「測定」する、という意味。

基本的には

・インプレッション(認知)
・トラフィック(誘導)
・レスポンス(獲得)

の3つの行動を促すために広告を打ち出していると言えます。

そのため、効果測定では「インプレッションがどれくらいあったのか」というように、可視化された数値を確認し、その数値からユーザーの心理を読み解く必要があります。

例えば、動画広告のインプレッションが10、トラフィックが1だとします。この数値が高いのか低いのか、という観点に加えて、「なぜ9人は誘導されなかったのか」を考える思考を持たなければいけません。

いくつか仮説を立てて、検証、改善していく流れを含めて効果測定、と呼ぶこともあります。

動画広告を効果測定する際の手順

実際に動画広告を効果測定していくためには、どのような手順を踏むのでしょうか。一つずつ確認していきましょう。

キャンペーンによって得たいゴールを明確にする

まずは打ち出すキャンペーン(動画広告で伝えたい内容)に注目して、「どんなゴールが得たいのか」を明確にしましょう。

例えば、あるフリマアプリが「1ヶ月間は利用手数料が無料になります!」というキャンペーンを打ち出すとします。フリマアプリは、このキャンペーンによって「新規利用者の獲得」や「市場商品の増加」などを狙っていると言えますね。

こうした「キャンペーンを打つ目的」を明確にしておきましょう。

動画広告がどのような役割を担っているか確認し、KPIに落とし込む

先ほどの例にて、明確化した「キャンペーンを打つ目的」をもう一度思い出してみます。

・新規利用者の獲得
・市場商品の増加

この2つの目的を達成する上で、動画広告はどんな役割を担っているのか考えてみましょう。

「初めて名前を知る人に好印象をもたせる」
「思わず視聴してしまうようなキャッチーな内容にする」
「手軽に登録でき、すぐに売買がスタートできることをアピールする」

といった役割が設定されるのではないでしょうか。

いずれにせよ、フリマアプリの強みを上手く伝えつつ、「登録してみようかな」と思わせる構成に仕上げる必要がでてきます。しかし、こうしたユーザーが受け取る感情は可視化できません。

そこで必要になるのが、ユーザーの心情や動画の出来栄えを評価するために設定する数値、KPI(Key Performance Indicator)です。マーケティングや経営の分野ではよく耳にする言葉ですが、広告ひとつひとつにもKPIを設定することが必要です。

例えば、「思わず視聴してしまうようなキャッチーな内容にする」という指標は、どうやって測定すればよいのでしょうか。この場合、「視聴時間」を指標として設定し、「平均視聴時間が15秒以上になる」ことをKPIとして設定すれば、動画の内容の良し悪しを判断できそうです。

このように、抽象的な目標を具体的な数値を用いて指標にしていく作業を進めます。

Google アナリティクスやツールでPVやエンゲージメントを可視化する

KPIが設定できたら、いよいよ測定を開始します。Google アナリティクスや動画広告の分析ツールを用いて、PVエンゲージメント、視聴時間といった数値を確認していきます。

KPIをクリアできていない場合はセグメントごとに改善点をあぶり出す

KPIをクリアできていない部分があったら、仮説を立てて検証していきます。後述しますが、動画広告の効果測定は「セグメントごとに切り分けていく」ことを意識しましょう。

例えば、思わず視聴してしまうようなキャッチーな内容にする、という役割を達成しているか確認する際に「CVR」や「視聴回数」では効果測定は難しいかもしれません。

むしろ「視聴時間」や「トラフィック」といった数値を確認したほうが、動画の内容がキャッチーになっているか、という点については評価できそうです。

動画広告の効果測定では、役割ごとに見るべき指標を変える「セグメンテーション」がポイントと言えます。

KPIをクリアするために改善を重ねる

KPIを達成している場合はさらなる改良を、達成できていない場合はクリアするための改善を重ねていきます。

視聴時間が伸びていない、と感じる場合は、どの部分で離脱されているのか分析してみたり、動画の構成を見直したりといった施策が有効になるでしょう。

数値からユーザーの心情を読み解き、マーケティング思考を用いて改善していきます。

効果測定で押さえておきたいポイント4つ

ここからは、動画広告の効果測定を行う際に押さえておきたい4つのポイントを紹介します。

動画広告の目的は「ブランドリフト」と「ダイレクト獲得」の2つ

動画広告の目的は、大きく「ブランドリフト」と「ダイレクト獲得」の2つに大別されます。

「ブランドリフト」はブランドの認知や好感度向上を狙うことで、「ダイレクト獲得」は直接狙った行動(会員登録やメルマガ登録など)を起こしてもらうことです。

動画広告の結果が出ていない場合は、この2つのうちどちらを狙っているのか、いま一度考えてみるとよいでしょう。大まかな方向性が固まれば、動画の内容もおのずと定まり、訴求力のある広告が作れるようになります。

「目的」に合わせて「指標」を設定すれば「見るべき数値」がわかる

先述したように、動画広告には「目的」が必要です。その目的にあわせてKPI(指標)を設定することで、初めて見るべき数値がわかってきます。

逆に、目的やKPIが曖昧なまま作成した動画を効果測定しようとしても、どの数値を見ればよいのかわかりません。いま出ている数値が良いのか悪いのか、ということも判断しづらくなってしまいますし、改善策も見えにくくなります。

源流となる「キャンペーンの目的」から一つずつ整理していくことで、より実質的な効果測定や改善が行えるようになるでしょう。

ターゲット含有率を確認してターゲティングの精度を高める

動画広告は「どんな人が視聴したか」を確認できるというメリットがあります。

例えば、フリマアプリのターゲットが20代後半の女性だった場合、動画広告のターゲットも20代後半の女性となるでしょう。

ターゲット含有率は「視聴者のうち20代後半の女性が占めている割合」と言い換えられますが、この数値が高ければ上手くターゲティングできていると言えます。逆に数値が低い場合は、ターゲティングが失敗している可能性があるので、出稿について見直す必要がありそうです。

Google Consumer Surveysでブランドへの態度変容をキャッチする

Google Consumer Surveysは、Googleが提供する「市場調査ツール」です。低予算で市場調査を行いたい企業が活用しています。

オンラインサイト上でアンケートを配信できるサービスで、サイトを訪れたユーザーは、アンケートに回答することで、見ていたサイトの詳細や記事の内容を見れるようになります。

そのためユーザーからの回答が得やすく、年齢や性別、地域といった大まかなターゲティングをした上でアンケートを配信できるので、狙った潜在ユーザー層へ、打ち出した広告がどのような影響を与えているのか可視化できるという特徴があるのです。

特定の広告キャンペーンに紐づいたアンケートの配信はできませんが、ある程度のフィードバックと態度変容を確認できるのでぜひ活用してみましょう。

効果測定のノウハウを身につけて効果的な動画広告配信を

近年の動画コンテンツの充実も手伝って、動画広告はこれからますます隆盛していく分野として注目を集めています。この記事で紹介した効果測定の方法を参考に、ぜひ自社の打ち出した動画広告をテストしてみましょう。

参考:動画広告のKPIはどのように決めるべきか――Google BrandLabが提案するKPIの設定から効果測定、最適化まで

動画広告の効果はどうやって測定するの?動画広告の基本指標11種類

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動画広告を自分でつくってみよう!低予算で作成できるツールを3選

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