11月2日、勝手にマーケティング大学様による「日本と地方を元気にする!共創マーケティングの最先端を知る!」をテーマにしたワークショップ型イベントが開催されました。

ウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」カタリストの椎谷氏と、一般の生活者を巻き込んだマーケティングを実践されている「Blabo」の坂田代表を迎え、これからの地方創生に欠かせないであろう「共創マーケティング」を参加者全員で実践しました。

勝手にマーケティング大学とは?

横山氏が主宰する「勝手にマーケティング大学」は、学生からプロのマーケターまで、マーケティングに関心のある全ての人を対象に、無料の勉強会・講演を開催されています。
コミュニティ内での交流も図れるため、同じ課題を抱えている人と交流したい、マーケティングのプロに相談したいという方にもオススメです。

主催者

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横山 弘毅氏
マーケティングに関するあらゆるノウハウが学べる「勝手にマーケティング大学」主宰。毎回多種多様な業界からトップランナートを招き、不定期で勉強会・講演を実施。

登壇者紹介

チームラボ株式会社 カタリスト

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京都精華大学共創デザイン研究員  
椎谷 ハレオ 氏

ウルトラテクノロジスト集団・ チームラボの個性あふれるクリエーター・プログラマー集団を率いるイノベーションデザインのスペシャリスト。これまでTVCV 300本、アプリ500本をプランニング、ディレクション、プロデュース。

株式会社Blabo代表取締役CEO 坂田 直樹 氏

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株式会社Blabo代表取締役CEO 坂田 直樹 氏

日本最大級の「共創マーケティング」プラットフォームを運営。
2015年グッドデザイン賞受賞鳥取県、キリンビール、ハウス食品等、自治体・上場企業とのコラボも続々。

共創マーケティングプラットフォーム「Blabo」とは

坂田氏:
僕は元々外資系消費財メーカーでマーケティングをやっていました。
CM作ったり、新商品開発をしてたんですが、社内で同じメンバーで商品を作っているとアイデアが出なくて煮詰まってしまうということを自分の課題として感じていて
、その時に、一般の消費者と一緒に作ることができないかないう問題意識を7年ほど前に持ち始めて、「共創」といっても誰もわからないような時期からこの分野でやらせていただいてます。
その後、エニグモというベンチャーに転職して、そこでBlaboを作って今は独立しています。

最近だと、キリンビールやハウス食品や森永乳業など、生活者の発想から商品をリデザインする仕事をやっています。
そんなことをやっていたら、鳥取県や神奈川県の自治体から、素材は良いけど規格がない商品がたくさんあるからなんとかしてほしいというような、特産品のリデザインの依頼が来たりして、最近はそういった自治体とのお付き合いもさせていただいてます。

Blaboには、逆に、「企画はあるけど機会がない」という一般方が13,000名ほど登録されています。
Blaboはどんなサービスかというと、企画会議ができるオンラインのプラットフォームで、たとえばキリンビールの企画会議のフロアがあったり、
鳥取県のフロアがあったりとか、自分の興味のある企画会議に参加して、アイデアを出して、それが実際に採用されて商品になるというような仕組みです。

僕が消費財メーカー時代に感じていたのは、同じ商品を作り続けると、素人発想がわからなくなってしまうんですね。
玄人の発想になってしまう。
この辺はできないよなあとか、競合はどうだとかという話を同じメンバーでやっていると発想が広がらない、という時に、
お茶の間の発想がいつでも会社に持ち込めるような、例えば会議室のドアが開いていて、生活者がいつでも会議に参加できる仕組みがあったらいいなという
7年前の僕の妄想からBlaboは始まっています。
そこから、オンライン上でお題を投げると誰でもアイデアを言えるという仕組みができました。

よく、素人発想で何ができるんだとか、プロの方が知見や経験があるから、プロだけで考えた方がいいんじゃないとか言われますが、
素人の発想も玄人の経験や実行力どちらも重要なので、その掛け合わせが共創するうえで重要なのかなと思います。

僕達のやっている共創の仕組みは、アイデアがたくさん集まってきているので、一見素人発想でなにかを創ると思われがちなんですが、
実際はユーザー発想と企業の強みを掛け合わせて商品化しています。

コンセプト=受胎

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企画するときによく使われる「コンセプト」って何なのかというところを調べたんですが、概念や考えという意味合いの他に、「妊娠」「受胎」という意味もあります。
企業側の思いだけでなく、ユーザーのニーズと掛け合わせたような、精子と卵子を融合させたものがコンセプトになりえるので、
どちらかだけでは共創にはなりえないんですよね。
なので、その2つが重なりあうポイントを創れたらいいなと考えています。

今日はBlabo上で実際に出しているお題を皆さんで考えられればと思うんですが、企業側の思いだけでなく、ユーザーとして自分であればどんなものが欲しいかという、そこのちょうどいい塩梅を見つけることを目標にやっていただければと思います。

鳥取の餅屋を変えた生活者の発想

鳥取県とどういう取り組みやっているか紹介できればと思います。
鳥取県て人口が60万人ほどしかいないんですよね。
なかなか、鳥取県だけで作ろうとすると、生活者の発想がなかなか得られない。
だから、全国の生活者からアイデアを集めていろんな商品をリデザインするという取り組みをやっています。
例えば、お餅屋さん。皆さんお餅って正月しか食べないと思うんですが、やはり依頼を受けたお餅屋さんも正月しか売れなくて、そこから通年で売れるようにしてほしいと依頼を受けました。

ただ、ユーザーに向けて、売上を10倍にしてほしいと投げかけてもなかなかアイデアは出てこないので、そこで問いかけを変えてアイデアを集めるということをやっています。

僕たちは問をつくるということを大切にしていて、企業の売上を上げるという課題をもらっても、そのまま生活者に直接投げても興味持ってもらえないので、
生活者が思わず参加したくなるような問いに変換してアイデアを求めます。
今回の場合、厚さ4ミリほどの名刺サイズのしゃぶしゃぶ用のお餅が対象だったんですが、
「どんな使いみちや食べ方を提案されたら、思わずあなたも食べたくなりますか?」という自分事で発想できるような質問を投げたところ、1週間で300ほどのアイデアが集まりました。

例えば、朝、スープを毎日飲んで会社に行くお父さんが、「スープだけだと小腹が減るからスープに2,3枚お餅を入れた「スープ餅」と提案されたら思わず食べたくなる」とか、お母さんが「餅でアイスを包んで雪見大福のように食べればいいんじゃないか」とか、全く鍋とはちがうようなシーンが生活の中には潜んでいて、このような発想を束ねていきます。

名前もユーザーに「毎日食べたくなるようなお餅のネーミングは?」と募集したところ、「毎日がもちようび」という名前がつきました。
我々の方でパッケージもリデザインして、実際に発売されました。

素人発想から商品が生まれたという部分もニュースにしたり、価値として世の中に出していって、実際に売上が5倍ほどになりました。

参考:
Oisixで発売決定!100人のアイデアから生まれたスライスされたお餅「毎日が、もちようび」 - 共創のBlabo! (ブラボ)

このように、普通の人の考え方って案外面白いんですよね。
我々は一般の生活者にスポットライトを当てて、自分はこう思うけどなかなか言う機会がないなという方々が
プランナーになって、実際にアイデアを出したり商品開発に携わるということができるプラットフォームを作っています。

横山氏:
ちなみに、なんでBlaboって言うんですか?

坂田氏:
これもユーザーにつけてもらったんですよ。
最初は名前付けられなくて、皆の企画会議室(仮)という名前で出してて、皆さんにネーミング募集してみたら、「ブレインの集まるラボ」という意味で「Blabo(ブラボー)」という名前を神戸の会社員の方がつけてくれました。