近年、Web業界でもよく耳にするようになった人工知能(AI)と人工無脳(チャットボット)。
アプリデバイスなどで活用されており、身近な存在にはなってきましたが、その用途の違いをはっきり認識していない人は多いかもしれません。

今回は、人工知能と人工無脳の違いとどのように使い分けられているのかを実例をもとに解説します。

ネットショップやアプリでの導入が定着した人工知能

そもそも人工知能とは、学習・理解・推測する能力を有するもので、人間の脳を人工的に再現することを目標とした技術のことをいいます。
最近では将棋や碁などの盤面ゲームにおいて、人工知能が人間に勝利する例が続々と報じられています。
その仕組みのもととなっている「ディープラーニング(深層学習)」が注目されています。

ディープラーニングとは、最初にデータを与えておけばその情報を自動的に学び分析する機械学習の一つです。
プログラミングを要さず画像認識を得意とするので、ECサイトなどの商用利用に特に適しています。

膨大なデータからユーザー好みの商品画像をピックアップすることが可能で、AIを活用したアプリが多数登場しています。

人工知能は、こうした販売サイトのコンバージョン率を上げるアプリや検索ツール、広告ツールの使用に適しているといえます。

ついに人工知能がWebをデザインする時代へ

2016年6月、Webデザインできる人工知能「The Grid」がリリースされました。
イメージ画像やコンテンツを人工知能が判断してWebサイトを自動的に作成するビルダーです。

たとえば、ユーザーが用意した画像にある人物や景色から雰囲気を汲み取り、それに合った配色やフォントを選定、最適なデザインやレイアウトを生成します。
フォントサイズやカラーなど、具体的にどのようなアイテムを使用したのか、参考に確認できるスタイルガイドもついています。

デザインだけでなくサイトに合ったコンテンツ自体を分析選定し、他サイトやSNSから検出した事柄を自動掲載する機能もあります。
クローズドベータ状態のサービスですが、今後一般的に運用されればWebデザインの作業効率を大幅に改善できそうです。

6月にはオンラインCMSのWixも、「人工デザイン知能 ADI(Artificial design intelligence)」をリリースしました。
こちらも同様にユーザーの提示した情報からタイプを判断し、自動でサイト制作してくれるデザインアシスタントです。

人間“らしく”会話する人工無能

人工知能は金融・医療・人事・各種サービスと、さまざまな分野での活用が注目されていますが、目指すところは、人間に匹敵する知性をもった“強いAI”の実現です。

しかしながら、現在実用化されているのは自意識を持たない“弱いAI”であり、複雑な人間の知能を人工的に再現することはまだ成功していません。
その実現はあまりに遠いとされ、現状では、人工知能とは相反する目的をもつ「人工無脳」の研究開発が活発化しています。

人工無脳とは、意識はもちろん推論能力をもたないけど、あたかも人間のような振舞いをみせることが目的の技術です。

人間らしくみせるとなると、重視されるのは人間との会話をシミュレートするシステムです。
人工無脳は質問に対してデータベースからマッチするキーワードを検索し、それを返しているだけです。
チャットボットという呼び名も浸透しており、コミュニケーションの自動化するツールとして定着しました。

現在では、「ALAIN」や「ゆいぼっと」など、まるで本当に会話しているかのような錯覚に陥れる応答システムも数多く誕生しています。

人工無脳は会話をメインにしたアプリ開発で賑わっていますが、オープンソフトウェアを使えば、文章解析に応用することも可能です。

 人工無脳的なプログラムを作るJavaScriptライブラリ「Web AI」は、断片的な日本語文章からキーワードと文章を抽出することができます。
そのほかフィード取得やクエリー解析・圧縮、日本語文章作成など、文章解析において実用的な機能を有しています。

ちなみにWeb AIは、Webから取得したデータをもとに会話する「人工無脳ひまねちゃん」、キーワードからGIGAZINE風の記事を自動生成する「Cigazine」などに使用されています。

まとめ

人工知能はさまざまなジャンルに応用可能な技術です。
そのなかでも、今注目されている分野の1つに画像認識が挙げられます。
Web担当者の作業効率化を図り、サイトビルダーの役割すら担えるようになりました。

対して、現在人工無脳(チャットボット)の主戦場となっているのは会話をメインに表面的な人間らしさの演出です。
踏み込んだコミュニケーションはできないものの、自動化しても問題ない分野であれば有効活用できるでしょう。

人工知能と人工無脳、今後もそれぞれの特徴を活かした、テクノロジーの発展から目が離せません。