ベテラン社員や管理職の中でのみ蓄積されてきた知識が、若い世代に受け継がれていないと感じたことはありませんか?

例えば、特定のシステムや機械に関連した技術や取引先の情報など、個人の中でのみ認識されている「暗黙知」が社内には眠っているかもしれません。
こういった知識を体系化し、社内で共有できるようにすることを「ナレッジマネジメント」といいます。

今回は、ナレッジマネジメントの意味と、ナレッジマネジメントに使える5つのツールを紹介します。
定年まで社内にとどまる人が少なく人材の入れ替わりも激しい現代において、特定の知識が一人の人間にとどまっている状態は危険です。ナレッジマネジメントの手法を活用して、情報共有の仕組みを構築しておきましょう。

ナレッジマネジメントとは

「ナレッジマネジメント」とは、ナレッジと呼ばれる、個人が持っていた経験やノウハウを企業内で共有し、社内全体の生産性向上につなげるマネジメント手法を指します。

ナレッジマネジメントの対象となるナレッジは、過去の取引データや市場調査レポートといったデータだけではありません。
売り上げの推移から来期の売上を予測する際の分析方法や機械の故障が起こった際の対処方法といったノウハウも含まれます。また、ノウハウやデータをもとにして考え出される「知恵」も対象となるでしょう。

こういったナレッジは従来、言葉や文章としては伝えることは難しく、長年の経験によって培われるものだと認識されていました。
ですが、年功序列の企業が少なくなり、転職を行う人が多くなったことや、短時間労働やサテライト勤務といった働き方の多様化により、経験によるナレッジの伝達は難しくなっています。

そのため、今まで個人が無意識に持っていた*「暗黙知」から、言葉や文章として明確に説明できる「形式知」*へと転換する、ナレッジマネジメントが求められているのでしょう。

参考:
[ナレッジマネジメントとは何か?|ITトレンド] (http://it-trend.jp/knowledge_management/article/merit)
[ナレッジマネジメントと暗黙知|ビジネス・ソリューション株式会社] (http://www.business-sol.jp/category/1939588.html)
ナレッジマネジメント実践のための勘どころ |J-STAGE
平成14年版 科学技術白書[第1部 第3章 第3節 1] |文部科学省

ナレッジマネジメントに役立つ5つのツール

ナレッジマネジメントは社内に眠るナレッジを洗い出し、体系的にまとめることからはじまります。ですが、手順書やマニュアルとして紙のファイルにまとめ、特定の支社にのみ置いてある状態だったとしたらどうでしょうか。

そのような状態では、他の支社の人は手順書を見れず、せっかく集約されたナレッジも生かされることはありません。優れたナレッジマネジメントを実現するには、どんな場所からでもアクセスできるWebツールを活用するといいでしょう。

では、ナレッジマネジメントに活用できるツールにはどんなものがあるのでしょうか。代表的な5つのツールを紹介します。

1.資料の共有:オンラインファイルストレージ

 例)Googleドライブ、OneDrive、MEGAなど

オンラインファイルストレージとは、Web上でファイルやドキュメントなどのデータを保管できるサービスです。

Webを利用できる環境があればどこからでもアクセスできるので、社内で共有したいファイルの保存に最適です。

例えば「社内で過去に利用した提案資料や売上の実績データなど保存しておき、社内の誰でも参考にできるようにする」といった方法が想定できるでしょう。

参照記事:
【比較表有】容量だけで選んでいいの?無料オンラインファイルストレージ17選|ferret [フェレット]

こちらの記事では無料で利用できるオンラインファイルストレージを紹介しています。
合わせて参考にしてみてください。

2.ノウハウの共有・交流の活性化:グループウェア

 例)サイボウズ Live、Chatter、Qubeなど

グループウェアとは、チームメンバーの間で情報やスケジュールを共有・管理できるツールです。チャット機能やワークフローの管理、メンバーそれぞれのタスクの閲覧なども行えます。

同じ業務にあたるチームメンバー同士のナレッジ共有に向いているでしょう。

参照記事:
情報共有は円滑に行うべし!便利な機能がそろったグループウェア10選|ferret [フェレット]

こちらの記事では、グループウェアを紹介しています。無料から利用できるものもあるので、参考にしてみてください。

3.ノウハウの共有・交流の活性化:ビジネス向けSNS

 例)LinkedIn、Workplace by Facebook、LINE WORKSなど

ビジネス向けSNSは、ビジネスパーソン同士の交流を前提としたSNSです。グループウェアの一種ではありますが、より気軽に交流を行えるのが特徴でしょう。

例えば、Facebookが運営している「Workplace by Facebook」では、自分が行った投稿に対して別の人がコメントできます。フィードバックとしても利用できるので、教育にもつなげられるでしょう。

ビジネス向けのSNSは、無料から利用できるものも多くあります。
下記の記事で紹介しているので、よかったら合わせてご覧ください。

参照記事:
社内のコミュニケーションツールとして活用できる!ビジネス向けSNS7選|ferret [フェレット]

4.顧客情報の管理・共有:CRM

例)Sales Cloud、ZoHo CRM、Microsoft Dynamicsなど

CRMとは「Customer Relationship Management」の略称で、日本語では「顧客管理ツール」と訳されています。
顧客の会社情報や取引実績などをデータベースとすることで、社内での情報共有を進め、顧客との良好な関係構築につなげます。

顧客との関係構築の中では、担当者しか知らない情報も生まれるかもしれません。
そういった情報をCRMで管理すれば、担当者が急に退職した場合でも顧客とトラブルにならずにスムーズな引き継ぎが行えるでしょう。

参照記事:
顧客との関係構築に必須となりつつある顧客管理(CRM)ツール16選|ferret [フェレット]

こちらの記事ではCRMを紹介しています。顧客情報の管理に課題を持っている方は参考にしてみましょう。

参考:
実はよくわからないかも・・・営業活動を支えるCRMとSFAの違いを解説|ferret [フェレット]

5.ナレッジの検索:エンタープライズサーチ

 例)Google検索アプライアンス、Neuron、QuickSolution 10など

「エンタープライズサーチ」とは、企業内の情報を検索するためのシステムを指します。

よくある質問をまとめたFAQサイトや企業の公式ホームページなどの情報から、検索を行い、GoogleやYahoo!JAPANのように検索結果を一覧で確認できます。

社内のナレッジが大量にある場合、体系立ててまとめても検索するのに時間がかかってしまいます。こういったシステムを利用することで、自分の探しているナレッジにもアクセスしやすくなるでしょう。

参考:
Abalance Quarterly VISION - エンタープライズサーチの効果的な活用とは~ 企業内検索エンジン最前線 ~

まとめ

ナレッジマネジメントとは、個人が持っていた経験やノウハウを企業内で共有し、社内全体の生産性向上につなげるマネジメント手法です。

オンラインファイルストレージやCRMを使って現在蓄積されている資料や取引先の情報を共有するだけでなく、SNSやグループウェアを利用してベテラン社員から新人社員へ情報共有する仕組みを構築するようにしましょう。
また、蓄積した情報へのアクセスのしやすさも円滑な運営には欠かせません。エンタープライズサーチのようなシステムを生かして、検索しやすくしましょう。

優れた知識やノウハウを社内で共有することで、優れた生産性を実現できます。
社内にどういったナレッジが眠っているのか洗い出し、情報共有の仕組みを作っていきましょう。