マーケティング施策を行うとき、顧客がどのような流れでサービスを認知し、魅力を感じ、購入するのかを知るのはとても重要です。顧客の購買行動を体系化したフレームワークは複数存在しており、顧客の行動の変化によって変遷しています。
AIDMA」や「AISAS」など、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

それらのフレームワークを理解することでより有効な戦略を設計できる可能性が高くなります。ただ、語感が似ていることもあり、違いを明確に把握していない方は少なくないはずです。

今回は、購買行動を体系化したフレームワークを時系列で振り返りながら、購買行動モデルの移り変わりについて解説します。

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目次

  1. AIDOMA:基本的な購買モデル
  2. AISAS:Web時代の購買行動モデル
  3. AISCEAS:AISASをさらに細かく分類
  4. SIPS:SNSを意識したモデル
  5. VISAS:口コミ起点のモデル
  6. DECAX:有益な情報から接点を持たせるモデル
  7. Dual AISAS:「広めたい」と「買いたい」を分離したモデル

1. AIDOMA:基本的な購買モデル

Attention:認知・注意、Interest:興味・関心、Desire:欲求、Memory:記憶、Action:行動

AIDMA(アイドマ)は、1920年代にサミュエル・ローランド・ホール氏が提唱したモデルです。今でも汎用的なモデルとして、購買活動を考える際のひな形として使われています。

現在の購買行動から考えてみると、「M…Memory:記憶」には少し相違点がありそうです。インターネット上ですぐに購入できたり、お気に入りリストに登録して保存できたりするため、頭で覚える必要はそれほどありません。

AIDMAモデルに沿って具体的な施策案をリストアップしてみましょう

AIDMAのテンプレート

AIDMAのテンプレート

AIDMAのテンプレートです。パワーポイント形式でダウンロードいただけます。

2. AISAS:Web時代の購買行動モデル

 Attention:認知・注意、Interest:興味・関心、Search:検索、Action:行動、Share:共有

AISAS(アイサス)は、2005年に株式会社電通が提唱しました。前回の「AIDMA」に、インターネット上の購買活動の要素が加わっています。

あるサービスに興味をもつと、顧客はまずインターネットを使って検索(Search)します。そこでサービス内容の詳細や口コミを確認し、メリットを感じたら購入します。購入後は、その評価をインターネット上で発信し、他のユーザーと共有します。

AISASモデルに沿って具体的な施策案をリストアップしてみましょう

AISASのテンプレート

AISASのテンプレート

AISASのテンプレートです。パワーポイント形式でダウンロードいただけます。

3.AISCEAS:比較・検討する過程が入ったモデル

Attention:認知・注意、Interest:関心、Search:検索、Comparison:比較、Examination:検討、Action:購買、Share:共有

AISCEAS(アイセアス)は、2005年にアンヴィコミュニケーションズが提唱したモデルです。「AISAS」の過程を、顧客の購買心理をもとにより詳細に分類しました。

「認知段階(AI)」、「感情段階(SCE)」、「行動段階(AS)」に分けています。インターネットで検索するとより多くの情報が手に入るため、顧客の心理には比較、検討する過程が生まれます。この過程を細かく切り取って適切な施策を講じることで、自社のサービスが選ばれる可能性を高めることができます。

● BtoBサービスにオススメ

特にBtoBサービスでは検索したユーザーが社内提案や稟議にかけるため、比較・検討されることはマストだと思って良いでしょう。このモデルを参考に、複数の意思決定者が比較・検討することを念頭に置いてカスタマージャーニーを作ると良いでしょう。

4. SIPS:SNSを意識したモデル

Sympathize:共感する、Identify:確認する、Participate:参加する、Share & Spread:共有 & 拡散するpng

SHIPS(シップス)は、2011年に電通コミュニケーションデザインセンターが提唱したモデルです。「AISAS」や「AISCEAS」よりも、SNSの影響を明確にしています。

SNSに特化して生まれたモデルなので、AISAS」や「AISCEAS」と並行して活用できます

SIPSの一番の特徴は、最初の「Attention:認知・注意」が「Sympathize:共感する」に変化していることです。SNSを利用していると、全く興味のなかったサービスの情報をフォローしているアカウントから受けとることがあります。特に、その発信者が信頼できるユーザーだと、共感が生まれやすくなり、そこから需要が生まれやすくなります。

● SNS施策の参考に

同じ商品・サービスでもSNS経由でのリードを獲得しようとすると、SEOリスティング広告などの「プル型」とは全く違ったアプローチが必要になります。

企業としての信頼や好感を得られるような情報を社員みんなで発信する取組みであったり、直接的な訴求よりも共感を得られるようなクリエイティブであったり、参加したくなるようなイベントであったり、思わずシェアしたくなる企画が必要です。SNS施策を企画する際はこのSIPSモデルを意識したカスタマージャーニーを作成すると良いでしょう。

● SIPSを用いた事例

画像4-2_SNS例.png

お菓子の「きのこの山 vs たけのこの戦争」や、インスタントラーメンの「あなたは味噌派?塩派?」など、食品業界ではSIPSを用いた成功例が数多くあります。
この「どっち派?」という二択アンケートという参加しやすさの発想は、食品業界以外にも応用ができるのではないでしょうか?

5. VISAS:口コミ起点のモデル

Viral:口コミ、 Influence:影響、Sympathy:共感、Action:購買行動、Share:情報共有

VISAS(バイサス)は、2010年にITビジネス・アナリストの大元氏が提唱したモデルです。SNSを意識した「SHIPS」と似て、誰かの口コミから情報がもたらされるとしています。

AISAS」は顕在的なニーズが始まりでしたが、「VISAS」では潜在的なニーズが始まりとなっているところに違いがみられます。またここでも、インターネット上での購買を重視した過程がモデル化されています。

● BtoCではすでに多く活用

コスメ・ビューティー系の商品や、アパレル系業界などでは既に多くの成功例があります。
人気の読者モデルや、インスタグラマー・Youtuber・TikTokerと言われるインフルエンサーが気に入った商品を発信し、フォロワーが購入するという流れが定借しています。

同じように調味料や食材でも、人気の料理Youtuberが活躍し、そのYoutuberとのコラボ商品なども数多く生み出されています。

● BtoBでは各分野の「第一人者」が鍵

画像5-2_BtoB.png
BtoBサービスでは、「BtoB事業の第一人者」や「Twitter運用の第一人者」、「組織づくりの第一人者」などがインフルエンサーになります。インフルエンサーになるには長期的で質の高い情報発信の取組みが必要となります。

企業の取り入れ方としては、実際にインフルエンサーにサービスを導入して使用感や実際に上がった効果について語ってもらったり(導入事例インタビュー)、対談共催セミナーなどを通じてインフルエンサーにサービスの良さを自然に拡散して貰うといった手法がよく見られます。

ただし、単純にインフルエンサーの力を借りるのではなく、各分野の第一人者の方が本当に良いサービスだと実感して貰えるよう、サービスの磨き込みが必要です。

6.DECAX:有益な情報から接点を持たせるモデル

Discovery:発見、Engage:関係、Check:確認、Action:購買、eXperience:体験と共有

DECAX(デキャックス)は、2015年に電通デジタル・ホールディングスが提唱したモデルです。このモデルでは、顧客は企業と関係を深めてから購買するという点が強調されています。

「Discovery:発見」は、顧客が欲しいサービスを発見することではありません。顧客にとって有益な情報を発見することを指します。

例えば、ダイエットがしたい顧客がダイエット方法を調べていると、食事管理法についての情報を「発見」します。そこに商品の広告内容はありません。

有益な情報を繰り返し収集し、顧客は情報提供元の企業と関係を深めていきます。その結果、企業が提供しているサービスを確認し、検討した後に購買に至ります。

インターネット上の広告に慣れてきた顧客に対してだからこそ、一方的に売りつけるのではなく、まずは顧客にとって有益な情報を提供するためのコンテンツを用意することが大切です。

● 潜在層獲得や、競合との差別化にも

DECAXのモデルは、オウンドメディアホワイトペーパーセミナーなど、潜在層や準健在層の獲得施策の参考になります。先ほどのダイエットの例のようにBtoCサービスでも活用できますし、BtoBサービスではなおさら、企業の信頼度が重要になります。

自社サービスで解決できるユーザーの課題・悩みをリストアップし、解決するためのノウハウを書いたコンテンツ群やセミナーなどを用意し、その質の高さによって徐々に信頼を獲得して行きます。

長期的な施策にはなりますが、特に競合の知名度が高い場合は必須の取組みと言えます。競合より有益、あるいは活用しやすい情報を発信することでユーザーから競合より高い評価を得られる可能性があるからです。

7.Dual AISAS:「広めたい」と「買いたい」を分離したモデル

Dual AISAS(デュアル・アイサス)は、2015年にアタラ合同会社が提唱した「AISAS」が二重構造に変化したモデルです。従来型のAISASは前述の通り、Search(検索)とShare(共有)の要素を含めた、Web時代の購買行動モデルです。

しかし、SNSでは必ずしも購入したユーザーだけがシェアする訳ではありません。「購入していなくても、面白そうであればシェアをする」という行動も多く見受けられます。

そこで生まれたのが、消費者の「広めたい行動」と、「買いたい行動」を分離させたDual AISASという購買行動モデルです。

従来のAISASは、Attention:認知・注意、Interest:興味・関心、Search:検索、Action:行動、Share:共有。新しいAISASは、Active:起動、Interest:関心、Share:共有、Accept:許容、Spread:拡散。

● 「広めたい」 から「買いたい」につなげられるか

広めたいユーザー(コニュニケーション関心層)は、商品やサービスそのものに興味があるわけではなく、面白いコンテンツを通じたコミュニケーションに興味があります。ここでのInterestは「面白い、笑える、友達にも見せたい」という意味の興味です。

SIPSモデルで前述した食料品のようなものであれば、購買につながる可能性もありますが、高額のサービスの場合は、単純にコンテンツが面白くても購買にはつながりません。認知拡大には使えるかもしれませんが、果たしてリード獲得につなげることはできるのでしょうか?

● フリーミアムと相性がよい

Duel AISASのモデルと相性が良いのは、フリーミアムのサービスです。フリーミアムとは、基本的なサービスを無料で提供し、一部のサービスを有料化することで収益化を図るビジネスモデルです。例を上げると、弊社サービスのformrunもフリーミアムのビジネスモデルです。

フリーミアムサービスなど導入ハードルの低い商品やサービスであれば、Duel AISASのモデルに沿ってマーケティング施策を考えることもできますね。

画像7-2_フリーミアム.png
参照:https://form.run/home/pricing

まとめ

Webの購買モデルの基本はAISASBtoBサービスならAISCEASNS施策ならSIPSBtoCで成功例の豊富なVISAS潜在層獲得にDECAXフリーミアムならDual AISAS

顧客をめぐる環境は近年目まぐるしく変化しています。また新しい購買行動モデルが誕生する日も近いかもしれません。

時代だけでなく、提供するサービスやターゲットの顧客層によっても、購買行動モデルは変わります。モデルに当てはめるのではなく、あくまでも顧客を中心に最適なモデルを見つけることが重要です。

自社のサービスや戦略に合った購買行動モデルが解ったら、モデルに沿って施策を書き出していきましょう。下記よりテンプレートがダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

▼ 購買行動モデルのテンプレート

AIDMAのテンプレート

AIDMAのテンプレート

AIDMAのテンプレートです。パワーポイント形式でダウンロードいただけます。

AISASのテンプレート

AISASのテンプレート

AISASのテンプレートです。パワーポイント形式でダウンロードいただけます。