「プロダクトプレイスメント」というマーケティング用語をご存知でしょうか?

映画やテレビドラマなどのコンテンツの中に、商品を溶け込ませることでアピールする広告手法として知られています。近年発展著しいインターネット広告においても、このプロダクトプレイスメントの考え方が応用できるとして、議論されています。

今回は、プロダクトプレイスメントをデジタルマーケティングに活用するための基本概念を解説します。

プロダクトプレイスメントとは?

プロダクトプレイスメントとは、映画やテレビドラマなどの作品の中に、実在する商品や企業を登場させる広告手法のことです。

登場人物が実在する商品を使ったり、実在する企業の名前を作中に登場させたり、セリフに盛り込むなどして、イメージアップや認知向上など目指します。

プロダクトプレイスメントが始まったのは、1955年にハリウッドで制作された映画『理由なき反抗』と言われています。劇中で主演のジェームス・ディーンが櫛で髪型を直すシーンが何度もあり、使用している櫛がどこで買えるのかと問い合わせが殺到したというエピソードがあります。

このことから新しいビジネスモデルとして、プロダクトプレイスメントという手法が確立されていきました。

日本映画でもプロダクトプレイスメントが実施されている映画は数多く存在します。
実在の商品が作中に登場する作品から、街中の風景にスポンサー企業の看板が登場するなど、さまざまなパターンがあります。

スタジオジブリのヒット作『魔女の宅急便』も、スポンサーとしてヤマト運輸が提供しています。「宅急便」というのはヤマト運輸の登録商標であり、主人公の友達として黒猫のジジが登場することから、間接的にヤマト運輸の宣伝効果に繋がっているのです。

プロダクトプレイスメントの考え方は、デジタルマーケティング時代に活きてくる

プロダクトプレイスメントの良い点は、受け取る側の広告を無理やり見せられているというストレスがなく、良質なコンテンツ自体が広告となっている点です。

露骨に商品を紹介したり特定の商標を前に出すのではなく、さりげない形でストーリーに溶け込ませることで、間接的なアピールができる点が特徴となっています。

そのため、映画やドラマなどのストーリーが優先にされ必然性がないと成立しません。ストーリーの流れを無視して企業の商品の訴求をしてしまうと、作品としての魅了を低下させてしまうことに繋がってしまいます。また、作品の中で事件の犯人役や悪役が商品を使用していると、逆にイメージダウンにつながってしまう場合もあります。

広告となり得る表現をコンテンツの中に溶け込ませることで、広告として認識させずに商品やブランドのイメージアップにつなげるというのが、プロダクトプレイスメントの特徴です。この考え方は、デジタルマーケティングにおいても適応される考え方と言えます。

インターネット広告の種類の中に、ネイティブ広告と言われる広告があります。ネイティブ広告も、押し付けがましく目立つバナー広告ディスプレイ広告と違い、記事などのコンテンツの中に広告を溶け込ませることで、広告広告とあまり意識させない形で表示します。

タイアップ記事広告の企画にも同じ考え方が適応できる

ネイティブ広告とは、メディアやコンテンツに溶け込ませる形での広告手法の総称であり、様々な手法が存在します。その中でも、プロダクトプレイスメントの考え方を応用できる手法として記事広告があります。

記事広告とは、記事コンテンツを掲載するメディアが報酬をもらい、広告主の商品やサービス、ブランドなどを紹介する記事のことです。タイアップ記事といった呼ばれ方もされます。

記事内容は、インタビューや対談記事、実際の商品を使用したレビュー記事、サービスを利用した体験記事など、様々な企画が考えられます。
読み物として面白いものであれば読者の興味を引くことができ、記事の中身を通してメッセージを伝え商品やサービスの理解を促すことができます。

記事広告の場合、掲載先のメディアが紹介してくれるという形を取るため、メディア側の既に持っている信頼を借りることができます。あくまで客観的な紹介になるため、直接的な売り込みよりも信頼感が高くなるのもメリットの一つです。

また、すでに読者の人がついていたり、メディア内の別記事からの回遊などがあり、ある程度のページビュー数を確保できる場合もあります。
映画やテレビドラマで行われるプロダクトプレイスメントと同じように、Webメディア上の記事コンテンツでも企業のアピールをすることができます。

コンテンツの面白さが直結した広告

記事広告の目的やマーケティングとしてのゴールは、ブランドイメージのアップや販売促進になりますが、記事コンテンツである以上、読者にとって面白く、有益である必要があります。映画やドラマの場合でも、見る側は広告映像をわざわざお金を払って見るのではなく、あくまでストーリーや作品自体を楽しんでいます。

Webマーケティングの担当者の目線だけだと、記事広告を単にマーケティング手法と捉えてしまい、直接的な売上につなげることばかりを追求してしまうといったケースがあります。しかし具体的な数値ばかりを追ってしまうと、記事コンテンツとしての面白さが薄れてしまい、一般的なランディングページとなんら変わらなくなってしまいます。

あくまで記事コンテンツと面白い読み物を読者に提供し、その中で商品やサービスの魅力を盛り込むことでアピールしていきましょう。コンテンツとしての面白さそのものが、広告となっているという状態が理想的です。

「ステルスマーケティングの危険性」は必ず理解しておく

記事広告を制作する上で必ず把握しておかなければいけないのは、「ステルスマーケティング」が孕むリスクについてです。

「ステマ」という言葉であれば、聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

ステルスマーケティングとは、広告料が発生しているにも関わらず広告であることを隠して商品をプロモーションする手法を指します。
例としては、通販サイトの口コミに一般消費者のフリをして好意的なコメントを記載したり、飲食店の口コミサイトなど自作自演の高評価をつけるなどがあります。また、芸能人に報酬を払っていることを隠しながら、中立的な立場を装ってサービスを紹介させたとして問題になったケースもあります。

インターネット広告において、「広告と感じさせない広告手法」は非常に有効な手段ではありますが、広告であることを意図的に隠す、消費者を意図的に欺く行為は厳しく批判されます。

参考:
ステマとは?絶対にやってはいけない理由3つ+事例3選|ferret [フェレット]

記事広告をはじめとしたネイティブ広告を配信する際には、必ず広告であることを明記する必要があります。

記事コンテンツの中に「PR」という表記を入れるやり方が一般的です。記事広告であれば、外部メディアという中立的な立場から商品を紹介してもらうことができますが、広告として金銭のやり取りがある場合にはPR表記をしなければいけません。

これらはソーシャルメディアを活用したマーケティングにも言えることで、インフルエンサーを起用した紹介投稿も、金銭のやり取りがある場合は広告としての表記をする必要があります。

まとめ

インターネット上は今やさまざまな広告で溢れ、ユーザーの心を動かすにはあらゆる工夫を凝らさなくてはなりません。
デジタル技術が発展していきさまざまな広告手法が確立されていってはいますが、コンテンツの面白さを今一度見直し、ユーザーを楽しませることに重きを置いてみると可能性が拓けてくるかもしれません。