ファンベースとキャンペーンは補完関係にある

キャンペーンを実施する際にもファンベースを行う必要がありますが、一方で、ファンベースには以下のような問題点があると佐藤氏は指摘します。

【ファンベースの問題点】
・結果が出るまでに時間がかかる中長期施策
・新商品や無名の商品には向かない
・小さく安定してしまう場合がある
・世代も地域も狭くなりがち
・そもそもファンができにくい商品がある

これらの問題を補完するのがキャンペーンです。
キャンペーンは短期で成果が出るうえ、ネットを利用していない人にも広く訴求できます。
そもそもファンができにくい(人に勧めにくい)商品のプロモーションにも有効でしょう。

ファンベースとキャンペーンは、互いに欠点を補完しあう関係にあります。

「だから、キャンペーンとファンベース、言い換えると短期施策と中長期施策を組み合わせて強くしていこうと。
これが僕の中では最適解に近いですね。」(佐藤氏)

自社の価値観に賛同するのがファン=全ての人がファンになることはない

佐藤氏は、ファンを*「自社企業が大切にする価値に賛同する少数の人」*と定義づけています。

出会う人全員と価値観を共有できることはほぼあり得ません。
全員をファンにしようとはしない方が賢明です。
パレートの法則に則ると、ファンになるのは全体の約2割です。

全員を取り込もうとすると、価値観がぶれて逆にファンは離れていきます。
「ファン以外の8割は究極どうでもいい。他にいい商品が出たら移っちゃう浮動層だから」(佐藤氏)

ファンベースを実際に行うために共感・愛着・信頼

中長期ファンベースの施策は、大きく2つに分けられます。

・ファンの入り口に立った人をファンにするための施策
・ファンをコアファンにしてLTVをあげる施策

ファンの入り口に立った人をファンにするためには「共感・愛着・信頼」を得る

ファンになってもらうためには、まず共感・愛着・信頼を強めていく必要があります。
佐藤氏はそれぞれを強めていくためのポイントを以下の通りまとめています。

【共感】
まずファンの言葉に傾聴し、フォーカスする。
ファンであることに自信を持たせる。
ファンを喜ばせる。新規顧客より優先する。

【愛着】
商品にストーリーやドラマを纏わせる。
ファンとの接点を大切にし、改善する。
ファンが参加できる場を増やし、活気づける。

【信頼】
それは誠実なやり方か、自分に問いかける。
本業を細部まで見せ、丁寧に紹介する。
社員を最強のファンにする。

ファンミーティングなどリアルな場での交流を通じてファンの声に耳を傾けることがポイントのようです。
また、ファンとの全ての接触チャネルに誠意を持って対応することも重要です。
迷惑メールや過剰な広告配信は、ファンの信頼を損ねる可能性があります。

コアファンの条件は「熱狂・無二・応援」

ファンからコアファンに引き上げるためには、「ファンとの共創」「ストーリーテリング」がポイントになるようです。

【共感→熱狂】
大切にしている価値をより前面に出す。
身内として扱い、一緒に価値を作り上げていく。

【愛着→無二】
忘れられない体験や感動を作る。
コアファンと共創する。

【信頼→応援】
人間性をもっと見せる。カリスマやスターを作る。
ソーシャルグッドを追求する。ファンの役に立つ。

ファン度を上げようとすると、場合によってはファンに媚びたりへりくだったりしてしまうかもしれません。
ファンと企業はあくまで対等で、へりくだる必要はないと佐藤氏は指摘していました。
「神様扱いを要求してくる人は、ファンではなくクレーマーです。あくまで身内と捉えましょう。」(佐藤氏)