仕事をある担当者が抱えてしまって、その担当者でないと案件の詳細が分からなくなってしまう、という事態を*「仕事が属人化してしまう」*といいます。顧客対応の現場でも、担当者が複数いる場合は、お互いにどんな対応をしているかが分からなくなってしまうケースはよくあるようです。

しかし、チームで仕事をしている以上、顧客対応も属人化から解放されたほうがよい、と考えているマネージャーもいるでしょう。その場合には、共有メールボックスが使えるサービスの導入から始めてみてはいかがでしょうか。

今回は、共有メールボックスが使えるサービス7選をご紹介します。似たようなサービスでも使い勝手が異なるため、自社のニーズに合ったものを探してみましょう。

なぜ共有メールボックスを使うべきなのか?

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問い合わせ窓口用としてのメールを設置している企業はほとんどだと思いますが、あなたの会社ではどのようなワークフローで問い合わせを処理していますか?

メールボックスが一つしかないと、誰が処理しているか分からなくなったり、メールのご送信が増えてしまいます。しかし、異なるユーザーがメールボックスを共有できれば、以下のようなメリットが生まれます。

1. 仕事の属人化を防ぐ

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複数アカウントで1つのメールボックスが共有できるようになると、このメールは誰々が処理中、というように担当者が明らかになり、責任の所在が明確になります

問い合わせ件数が多くなって大量のメールをさばかなければならない場合、責任が曖昧になってしまうことも多々あります。しかし、担当者ごとにアカウントを割り振り、メールボックス上で誰が対応中かが分かれば、他のメールの対応に回ることができます。

2. 業務が可視化される

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誰がどの業務に対応しているのかが分かれば、業務が可視化されるので、対応効率も上がり、丁寧かつスピーディーにお客様への問い合わせに対応することができます。

全体像が把握できていないと、それぞれの担当者があとどれだけの問い合わせをどれくたいのスピードでこなさなければならないのか、全体像が見えなくなることがあります。しかし、共有メールボックスで担当者の紐付けが行われれば、1人あたりの仕事の効率も見えてくるため、質の高いカスタマーサービスを提供することが可能になります。

3. 過去のやりとりも確認できる

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カスタマーへの対応の担当者が変更になったとき、メールで大体の内容を伝えて担当者を引き継ぐことはあるでしょう。しかし、過去のやりとりの「全て」を共有するまでは至らないケースのほうが多いのではないでしょうか。

共有メールボックスは、すべての担当者のすべてのメールのやり取りを確認することができるため、担当者が変更になっても安心です。もちろん、マネージャークラスだけがすべてのメールを見られる、といったように権限を細かく設定できるサービスもあるので、用途に応じてサービスを選んでみるのもいいでしょう。

共有メールボックスが使えるサービス7選

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「共有メールボックス」が使えるサービスは限られているので、ここではオススメの共有メールボックスが使えるサービスを7つご紹介します。

1. 安心の国産グループメーラー「サイボウズ メールワイズ」

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引用:サイボウズ メールワイズ

サイボウズ メールワイズは6,500社以上が利用している共有メールボックスが利用できるグループメーラーサービスです。

メールワイズには月額500円で2ユーザーから利用できるクラウド版と、新規ライセンス5ユーザー298,000円から利用できるパッケージ版がありますが、最近では導入が簡単なクラウド版がより選ばれているようです。クラウド版だとメンテナンスもサイボウズで行ってくれるので、管理コストもかからないというのが魅力です。

また、クラウド版では、サイボウズのビジネスアプリ作成プラットフォームkintoneとも連携することができます。例えば、kintoneで顧客情報を管理するCMSを作っていれば、CMSとメール情報を紐づけることが可能です。さらに、JavaScriptによるカスタマイズや、自動返信・自動転送機能もあり、かゆいところに手がとどくサービス内容です。

2. 軽快でシンプル「Inbox by Zendesk」

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引用:Inbox by Zendesk

Inbox by Zendeskは、カスタマーサービスのさまざまなツールをオンラインで提供しているZendeskが提供しているサンフランシスコ・シリコンバレー発のサービスです。

スタートアップならではのシンプルで軽快なデザインは、多くのスモールビジネスが選ぶ重要なポイントになっています。もちろん、軽いだけでなく、メールの全履歴を簡単に確認することも可能で、大量のメールに対して1つも見逃さず処理することができるでしょう

スマートフォンやタブレットにも対応しているので、パソコンの前に座っていられない、少数のチームにも向いています。未返信のメール数も上部にしっかりと表示されるので、未処理のメールを意識しながらカスタマーサービスに当たることができます。

社内チームのメモ用に*「@ユーザー名」*を使用したインライン通知も可能です。メンションされたユーザーには、メールやブラウザ、またはiOSのプッシュ通知で通知が届きます。

3. Gmailでの利用なら「Hiver」

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引用:Hiver

Hiverは、日頃から利用しているGmailを活用して共有メールボックスを作成し、カスタマーサポートを行えるようにするサービスです。共有メールボックス用に新しくポラットフォームを用意するのが面倒というチームに向いています。

それぞれのユーザーがGmailを開くと、共有メールボックスが作成されます。メールにユーザーをアサインし、顧客対応をします。内部だけにCCやBCCを送ることもあるでしょうが、Hiverを使えばCCやBCCはつける必要はありません。

よくある質問などには、「Email Template」でテンプレート化した文面を活用しましょう。ルーティーン化されている対応は、テンプレートを活用することで、顧客対応にかかる時間を大幅に短縮することができます。

iOSAndroidにも対応しており、G Suite対応もしています。14日間無料体験することができます。

4. 欧米で人気のグループメーラー「ReplyManager」

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引用:ReplyManager

ReplyManagerはイギリス・アメリカ・カナダを中心にB2Bで多くの顧客を持つ、比較的歴史のある信頼できるグループメーラーサービスです。

共有メールボックスを作成し、メールごとにチームメンバーをアサインすることができるのは、他のサービスと変わりません。ただし、ReplyMagagerの場合は、手が空いているユーザーにアサインを自動化することができるので、アサインにかかる手間も省くことができます。もちろん、マネージャーが担当者をアサインすることもできます。

また、ハッシュタグを使って、テンプレートにユーザー名を差し込んでメールを送信することができます。例えば、「こんにちは、#customer_name#様。」というハッシュタグであれば、「#customer_name#」に顧客名が流し込まれるので、「飯様」→「飯様」、「藤様」→「藤様」と旧字体を打ち間違えることもなくなるでしょう。

5. コラボレーションで顧客対応「Missive」

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引用:Missive

Missiveは、これまで紹介したグループメーラーとは一線を画す、画期的なグループメーラーサービスです。

基本的に、共有メールボックスサービスは、担当者を「アサイン」して割り振るのが一般的です。しかし、Missiveは基本的に*「コラボレーション」*を前提としており、チームでリアルタイムに共同編集しながらメールを作成できます

メールの右(あるいは下)にはMessengerのようなチームチャットもあるので、チャットをしながらチームで最適な文面を作り上げていきます。*「こんな文面はどうだろう?」「こちらがテンプレです!」*といったやりとりをしながらメールを作成できるので、結果的に一人で対応を考えるよりも質の高いカスタマーサポートが可能になります。

6. SNSのリプライまで対応可能「Front」

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引用:Front

Frontは、Slackライクな共有グループメーラーです。日頃Slackをメッセージングツールとして利用しているチームにオススメです。

Frontでは、メールアドレスごとに*Channel(チャンネル)*を作成できるので、問い合わせを種類ごとに割り振ることができます。もちろん担当者の「アサイン」や「コメント」も可能です。

また、サードパーティー製のサービスと*Integration(統合)*することもできます。Salesforceの顧客情報と結びつけたり、ToDoサービスでタスク管理を行うこともできます。

さらに、SNSも統合することができます。Twitterのリプライの返信、Facebookのコメントの返信も、カスタマーサポートで、たった1つのウィンドウで行うことが可能です。SNSに加えて、携帯電話番号を使ったSMSにも対応しています。

7. 見た目までSlackにそっくりな「Kayako」

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引用:Kayako

Kayakoは、見た目までSlackにそっくりなカスタマーサポートツールです。他のツールとは違って、共有メールボックスはKayakoのサービスの一つでしかなく、Kayakoは高機能でさまざまなニーズを満たすことができるでしょう。

例えば、SNSのリプライ返信や、ホームページに設置しているテキストチャットなども、すべてKayako上で返信することができます。顧客の対応チャネルが増加している今、それぞれのチャネルごとにツールを使い分けるのは効率が悪くなってしまいます。

Kayakoなら、顧客のリアルタイムなアクティビティを確認することができるようになります。StripeやShopifyなどの外部サービスとも連携することができるので、コマースサイトのカスタマーサポートには特に相性がよいでしょう。

まとめ

大量のメール処理に追われて、本来やるべきことができていない。現場がそんな風になっているのであれば、カスタマーサポートの体制を見直してみてはいかがでしょうか。

共有メールボックスが使えるようになると、顧客対応のスピードも質も、量も以前より圧倒的によりよいものになるでしょう。