活用方法の広がり

位置情報データの活用方法は、年々広がっています。1990年代後半から2000年代後半にかけて、GPS技術を利用したカーナビなどが登場し、普及しました。

やがて、スマートフォンが一般的になってくると、位置情報とアプリの連携が進みました。地図上でより高度な検索が可能になったGoogle Mapや、位置情報を活用したゲームアプリの「Pokémon GO」など、ユーザーが位置情報サービスに触れる機会は高まっています。

また、現在は無線技術などを活用した、近距離での位置情報測定技術も発展しています。それによって、店舗やフロアなど、GPSでは測れなかった階層ごとの位置情報取得が可能になりました。

位置情報技術の進化によって、企業のマーケティング活用の可能性は広がっています。

参考:大前研一「市場規模62兆円。位置情報ビジネスの可能性」

来店者CVを測定

Googleの提供する広告サービス「Google AdWords」には、オフラインでの効果測定を可能にする機能が提供されています。飲食店など、来店を重視するビジネスにおいて、広告施策が来店につながったかどうか、どのようなキーワードで来店したのか、などを測定することが可能です。

この機能を利用するためには細かな条件がありますので、予め確認する必要がありますが、オンラインとオフラインをリンクさせながら広告施策の最適化を行っていくために有効な機能であると言えます。

先程述べたように、オンライン上での施策がオフラインでの来店につながったかどうかの測定は、店舗ビジネスにおける効果測定の1つの課題でした。

位置情報を利用することによって、Webでの施策と来店の因果関係を明らかにすることができるようになってきています。

参考:来店コンバージョンについて - リニューアル版 - AdWords ヘルプ

位置情報を活用したキャンペーン配信

位置情報を活用して、キャンペーン配信のターゲットを決めるといった施策も実施することが可能です。

例えば、ヤフー株式会社が提供する「Yahoo!チェックインポイント」は、こうした位置情報を利用したキャンペーンを行えるサービスです。

このサービスに登録することによって、店舗を訪れたユーザーに対するTポイントの付与や、クーポン、キャンペーン配信を行うことができます。決められた範囲内にいるユーザーにキャンペーンの配信が可能です。

このようなサービスを可能にするのは、Beaconという無線技術です。スマートフォンに搭載されたBeaconと、店舗などに配置したBeacon端末の通信によって、正確な位置情報が取得可能です。LINEもBeaconを用いたクーポンや情報配信を可能にする機能を搭載するなど、普及が進んでいます。

近くを通ったユーザーに対してキャンペーン配信ができるため、来店可能性の高い潜在顧客へのアプローチが可能だといえるでしょう。

参考:アプリを活用した店舗集客サービスを渋谷区、新宿区の約600店舗で開始
Beaconとは

位置情報でライフスタイルを分析

取得した位置情報をもとにした分析と、施策への反映も可能になってきています。株式会社ブログウォッチャー(リクルートと電通のジョイントベンチャー)が提供する「Profile Passport」というサービスでは、位置情報を用いた分析が可能です。

このサービスには、顧客の位置情報を蓄積した行動ログから、ユーザーが頻繁に滞在するエリアを推定して、広告配信を行える機能が存在しています。

1人ひとりのライフスタイルや行動範囲に合わせた情報を配信することで、通常よりも的確な配信が可能です。同社のソリューションページでは、同じ情報にもかかわらず、開封率が6倍になったという結果も出ており、個別化したアプローチによる効果の高さをうかがい知ることができます。

これらのように、Web上だけでは知ることができなかったユーザーの行動を可視化し、最適なタイミングで、適切なターゲットにキャンペーンを配信することが位置情報の利用で可能になります。

参考:ジオフェンス・通知機能のSDKの活用イメージ|Profile Passport(プロファイルパスポート)