次世代DMとは何か

続いて鈴木様より、次世代DMの事例として、ディノス・セシール様の取り組みをご紹介いただきました。

ECパッケージには、カート落ち後にステップメールが自動配信される仕組みがありますが、これをEメールではなくDMでできないかという発想から、カート落ち後最短24時間以内にカートの商品データを自動で印刷・郵送するという次世代DMの施策です。

この実験を行った結果、Eメールに比べて20%のリフトアップ効果が出たと言います。

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資料:株式会社マルケト(スライドPage24 ディノス・セシール)

次世代DMは、何が次世代なのでしょうか。これまでは“事業者が”DMを送るタイミングのトリガーを引いていたのに対し、次世代ではカート落ちという“ユーザー行動”がトリガーを引いているのです。

鈴木様は「コミュニケーションの4大要素『ターゲット・タイミング・クリエイティブ・オファー』の中で、マーケティングオートメーションによって『ターゲット』と『タイミング』がデータドリブンでわかってくるようになりました。つまり、『誰に』『いつ』コミュニケーションをとればいいのか、データが教えてくれるのです。

もう高いコストをかけて大量のDMを送らなくても、送るべき人にだけDMを送ることができる。デジタルとアナログが統合したコミュニケーションができるようになったという、非常に幸せな状況なので、みなさんもぜひこういうところにフォーカスをしていきましょう」と語りかけました。

さらに、このようなマーケティング施策をどう回していけばいいのか、PDCAプロセスについて説明がありました。

「一番大事なのはシナリオの設計です。デジタルとアナログを組み合わせる際には、シナリオを新たに作るのではなく、Eメールで成功しているシナリオにDMの実験を追加することで、DMのリフトアップ効果がよくわかるようになります。

その際のポイントは、DMの効果を計測する仕組みをちゃんと作っておくことです。例えばすべてのURLをユーザーごとにユニークにしたQRコードを付けておきます。そうすることで、一人の顧客をトラッキングして、コンバージョンまでわかるようになるからです」(鈴木様)

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資料:株式会社マルケト(スライドPage29 PDCAプロセス)

「ビークルテストというのは、DM・Eメール・LINE・テレビなどコミュニケーションツールであるビークルについてのテストです。次世代DMと言ってもなかなか予算が取れないときに、DMの効果測定をしてみましょうということですね。事例でもご紹介したように、デジタル施策とまったく同じキャンペーン設計で、デジタルとDMを比較してみてください」(鈴木様)

デジタルとアナログの融合は実践あるのみ

DMとメールの組み合わせについてだけでしたが、顧客とのタッチポイントは他にもたくさんあります。オムニチャネルというのは、以下の図の真ん中の赤い部分「店頭・スマホアプリ・コールセンター・EC」の顧客化チャネルに関する議論ですが、「本来であれば、メディアもオムニ化すべきではないか」と鈴木様は語ります。

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資料:株式会社マルケト(スライドPage32 チャネルもメディアもオムニ化が重要なのでは。)

「オムニの思想は生活者が“欲しいものを・欲しいときに”買える環境を作ることですが、メディアも同様に“欲しい情報を・欲しいタイミングで・欲しい人に・欲しいクリエイティブで”お届けできる環境を作れたら、広告はもはや嫌われ者ではなく有益な情報になるはずです。オムニメディアの実現は、マーケターの責務だと考えています」(鈴木様)