「ビジネス」における影響は?

ferret:
YouTubeやInstagram、Facebook、ライブコマースなど、動画をビジネス活用するというのは珍しくなくなってきました。「ビジネス」という視点で見た時に、TikTokはどのような価値があると思いますか?

高橋氏:
TikTokには、「AIでユーザーを取りこぼさない」という強さがあります。リテンションも高いですし離脱率も低い。ひとりのユーザーが離脱せずに楽しめる動画を上げ続ける、という仕組みができているんです。

広告ビジネスはリテンションの高さと滞在時間が重要です。その2つが強いので、広告ビジネスにおけるTikTokの価値は高いのではないかと思いますね。

ferret:
TikTokの離脱率が低いというのは少し意外です。ここには理由があるのでしょうか。

高橋氏:
アルゴリズムの影響が大きいと思います。ベクトルで勉強会をやる時には「とりあえず心を無にして30分ほどTikTokを視聴してみてください」とお願いしています。

というのも、TikTokは独自のアルゴリズムによって30分視聴を続けていると自分にフィットしたコンテンツが出てくるんですよ。なので、だいたいみんなハマっています(笑)

ferret:
最近だと40代の男性もハマっているというニュースもありましたもんね。

高橋氏:
「若くてかわいい女の子が多いから」と言われていますよね。確かにその通りかもしれません。

先ほどもお話したように、アルゴリズムによって関連動画として表示される優先順位も変わってきます。ですから、かわいい女の子の動画を見続けていれば、関連動画にも反映されていくんですよ。

このように、好みの動画を続けて視聴ができる結果として、年代・性別問わず受け入れられているのかもしれません。

TikTokインフルエンサーの価値

ferret:
広告の価値」という意味では、TikTokで活動しているインフルエンサーたちの価値に関しても気になります。YouTuberやインスタグラマーとの違いはあるのでしょうか。

高橋氏:
あると思います。特徴としてはトランジションですね。従来の動画コンテンツは「美男美女・お調子者」が多かったのですが、TikTokはこれに加えてトランジションが得意な「テクニシャン」が多いのも特徴的です。トランジションを最大活用してハイクオリティな動画を制作している点は、他の媒体のインフルエンサーと異なる点だと思います。

ferret:
本格的に動画編集をしようと思ったら、スキルが必要ですもんね。
TikTok内でこれらのインフルエンサーを活用したマーケティングを実施する企業は増えてくるのでしょうか。

高橋氏:
それでいうと、今のところTikTokでは「インフルエンサーが企業から頼まれた商品をTikTok内で紹介する」という行為を禁止しています。広告を出す場所は、TikTokで定めたインフィード広告枠のみなんです。

ferret:
なるほど。コンテンツを見る側からすれば快適な環境ですね。

高橋氏:
そうだと思います。TikTokとしては、サービスを害さない形での広告配信を望んでいるんです。なので、インフィード広告にTikTokインフルエンサーを起用する可能性はあるかもしれませんね。

ferret:
そこが動画配信プラットフォームと大きく異なる点かもしれないですね。