離脱率の低い動画制作のコツは?

岡山氏:
17secondsの動画は「RICHKA(リチカ)」という動画作成サービスでフォーマーットを作っていて、記事を書いた人が簡単に動画作成ができるようになっているのですが、そこの担当者さんが驚かれていたのが「動画の離脱率が低い」ということです。

動画って最初の3秒ぐらいでほとんどの人が離脱するそうなのですが、その最初の3秒の離脱がほとんどないんですよ。

ferret:
離脱率を下げるために意図的にやっていることはあるのですか?

岡山氏:
まだ試行錯誤している状態でこれが正解だとは思っていないのですが、できるだけ動画内にテキストを詰め込んでいます。表示秒数でギリギリで表示できる行数、文字量を意識しているんですね。そうすると、文字を読み切った…ぐらいですぐに次の写真・テキストに変わるので、次々と追いかける必要があります。これをやると、最後まで文章を読むような感じで、動画を最後まで見ていただけるんですよ。

なので17秒の動画とは言っているのですが、体感だと6〜7秒ぐらいに感じるのかなと。

先ほど17秒は短いって話をしましたが、例えばCMと同じ15秒であっても見たくない人は見たくない。体感時間を長く感じさせない工夫は必要かなと思います。

ユーザーに「3つの記事タグ」を選んでもらう理由

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ferret:
サイトリニューアルにあたり、様々な機能やデザインの改修をされたと思います。個人的に気になったのが、70seedsのサイトの記事下にあるタグ選択の機能です。

記事にタグ付けをして関連記事などを表示させたり探しやすくしたりというのは、ほとんどのメディアがやっていることかと思います。ただ70seedsの場合は、3つのタグをユーザーに選んでもらって記事検索ができるようになっていますよね。

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引用:70seeds

この「3つのタグを選ばせる機能」を導入しているのはなぜでしょうか。

岡山氏:
タグを3つ選ぶことによって、その人の本質がよりわかりやすくなるのではないかと考えています。例えばケーキバイキングのサービスがあったとして、「ケーキ食べ放題です」って言われると、自分の好みとは関係なしに、「食べたことない」という理由でどんなケーキでも食べちゃうんですよ。でもこれが「3個まで1,000円」になると、その3個をすごく厳選するようになります。「これは食べたことがないけどあまりいらない」「これは好きだけどこの間食べたからいいや」「先日も食べたけど大好きだからこのケーキだけは外せない」みたいな。

捨てなきゃいけない環境を作ると、自分が本当に欲しいものがわかりやすくなるのではないかと……。だから、タグ1つよりもその人の好みがわかる、なおかつ多すぎない、タグ3つを選択する形式にしています。

ferret:
そのタグ選択をデータ解析して、よりパーソナライズ化させていくという予定はあるのでしょうか。

岡山氏:
そうですね。ちょうどこれを初めて少し経ってデータも溜まってきたので、やっていこうと思っています。

ただ関連記事の表示に関しては、読みたい記事の傾向を「自分で選んでもらう」というのもアリだなって。なぜならば閲覧傾向から関連記事を表示させて「あなたにおすすめの記事はこれ」みたいなことしても、あまり読まないんじゃないかと感じているからです。

70seedsも当初はテキストマイニングして、「その記事を読んでる人にはこれが合う」みたいな出し方をしていました。でもそうではなくて、例えば「このライターが書いた記事を読んだのであれば次はこれを読んで」というようにテキストの最後に直接書き手のおすすめを入れるようにしてみたところ、クリック率が10倍ぐらいになったんです。

これを見る限りだと、少なくともうちの読者には自動レコメンド機能っていうのは刺さらないんだなと思いました。だからもう一歩進んで、こちらがおすすめを提示するよりも、「読者が自分で好みを選んで提案される」という体験をしてもらって、読者も楽しめる形で巻き込んでった方がいいのかなと考えています。