こんにちは、株式会社ヘノブファクトリーの谷脇です。

前回の記事では、サイト育成を行う6つのステップについて説明しました。

今回は、「物販型のサイト」にフォーカスして、物販型サイトにありがちな失敗談、取り組むべきポイント、サイト育成の事例を紹介します。

▼前回の記事▼
伸び悩むWebサイトを育てる!「サイト育成」の6ステップを解説

情報を伝える順序が間違っている物販型サイトは多い

物販型サイトの目的は、訪れたユーザーに購買意欲をもってもらうことです。

そのようなサイトを育成するためにWebサイト担当者は「お客様の立場に立って、まったく知らないWebサイトを訪問して買い物をするときの感覚」を想像し続ける必要があります。

なぜならば、そうした感覚なしに売り手側が伝えたいことだけを伝えていると、押し売りのような物販型サイトになってしまうからです。

「購買心理の7段階」を意識して、物販サイトを育成しよう

ご存知の方も多いと思いますが、人がモノを買うときの気持ちの移り変わりを表現した「購買心理の7段階」という法則があります。

具体的には、ユーザーは以下の7つの段階を経て、購買を決めるというものです。

1.注意
2.興味
3.連想
4.欲望
5.比較
6.確信
7.決断

物販型サイトでユーザーが購買を決断するときにも、この法則は当てはまります。しかし実は、こうしたユーザー心理を考えられていない物販型サイトは多数あります。

例えば「ユーザーはまだ商品に興味すらもっていない状態なのに、TOPページで価格ばかり訴求する」といった具合です。

購買心理の7段階をユーザーが順を追って体験できる物販型サイトでなければ、ユーザーの心を動かし、お財布を開かせることはできません。

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提供:株式会社ヘノブファクトリー

物販型サイトが取り組むべきサイト育成とは?

それでは、「購買心理の7段階」が意識された物販型サイトとは、どのような導線になっているのでしょうか?

まずユーザーは、何かしらのキッカケで物販型サイトを訪問します。このときは、まだ『注意』の段階です。そのため、次の段階である『興味』をもってもらえるような情報をランディングページ(人がたくさん入って来ているページ)に配置しましょう。

例えば、誰のための、どんな商品であるかといったわかりやすい説明文と、売上本数や人気No.1といったような目をひく情報です。

そして、興味をもったユーザーが、自分が商品を使用している様子を『連想』できるように、商品のレビューや使用方法について説明しているページへと誘導します。人はこの「連想」が働くと、ぐっと「欲しい!」という意欲が高くなります。『欲望』の段階にきたユーザーを商品詳細へと誘導し、詳しい商品情報を伝えます。

この段階まできてようやく、ユーザーが『比較』するための材料として、商品の価格や送料などの情報を伝えます。その結果、ユーザーが『納得』したら、『決断』のフェーズであるカートや決済のページへと誘導します。

このように、物販型サイトはユーザーの心理に寄り添うことが非常に重要です。

現在Webサイトに載せている情報は、本当にお客さんが知りたい情報でしょうか?売り手が伝えたいだけの情報ではないですか?

そのような視点で、自社サイトをもう一度「流れ」を大切にしながら、見直してみましょう。

物販型サイトが注目すべき指標とは?

物販型サイトでまず効果を高めるために注目すべき指標は、商品一覧・商品詳細・TOPページの直帰率です。

直帰率が高い原因として、ユーザーが求めている情報がそのページにはなかった、もしくは目立っていなかった、ということが挙げられます。

例えば、商品詳細の直帰率が高い場合は、商品について理解を高められる情報が足りていなかったり、ユーザーがその商品をこの場で欲しいと『納得』にいたるまでの情報が足りていなかったりするかもしれません。

その場合は、「商品詳細ページに足りない情報がないかを考えてコンテンツを追加する」というのもひとつの施策です。並び順を変えると購買意欲が高まるケースもあるため、どの順番でユーザに情報を伝えるか、整理してみましょう。

また、現時点で売上が向上していても直帰率が高いページがあれば、そのページを優先して改善していくこともおすすめします。直帰率を改善できれば、さらなる売上アップにつながる可能性が高いからです。

ショッピングカート選びは重要

物販型サイトの場合、どのショッピングカートシステムを選ぶかが非常に重要です。
ショッピングカートの仕様によっては導線が悪く、せっかくユーザーの購買意欲が高まっても、離脱してしまうこともあります。

カートに入ってからの離脱が多い場合は、別のショッピングカートを使用してサテライトサイトを制作したり、作り直したりしなければならないこともあります。

当社がよく使用しているショッピングカートは、『EC-CUBE』と『shop serve(ショップサーブ)』です。これらのカートシステムはカスタマイズの汎用性があり、デザインを修正したり、便利な機能を後から追加できます。

物販型サイトでモノを売るときには、オリジナリティが必要です。将来的にオリジナリティのあるサイトに育てていきたいと考えている場合には、将来的に「サイトを充実させていける汎用性」があるカートシステムをおすすめします。

関連記事:
ネットショップモール出店金額とカート料金まとめ

1年で180%以上の売上アップを実現した物販型サイトの育成事例

最後に、当社が手がけた物販型サイトの育成事例を紹介します。
かつお節やだしの製造販売を行う、創業300年を超える老舗企業である、株式会社にんべん様のECサイトの事例です。

にんべん様はWebサイトへの集客施策やコンテンツの充実、定期的な商品登録などを進められ、丁寧にWebサイトを運営されていましたが、サイト育成、特にデザインの改善にはまだ着手していませんでした。

そこで、当社はデータを解析した上でデザイン改善を提案しました。

まず、課題だと考えたのはWebサイト全体の直帰率の高さでした。

こちらが2016年当時のにんべん様のWebサイトと、現在のWebサイトのデザインです。

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(左が2016年、右が記事執筆時点のもの)
提供:株式会社ヘノブファクトリー

私たちが2016年にWebサイトを初めて見た時、TOPページでユーザーに見せるべき情報が整理されていない印象がありました。直帰率が高いのはユーザーが見たい情報が理想的に並んでいないからだと考え、以下の施策をひとつずつ実行していきました。

・老舗らしいブランド感を意識したデザインテイストに変更(少しずつ反映)
・ヘッダーナビゲーションから商品カテゴリへの導線を設置
・商品ナビを追加
・Webサイトの色を統一
・商品詳細のフッダーに関連商品の情報を追加
・商品サムネイルの文字数を減らして見栄えを整え視認性を上げる
・ランキングエリアを追加
                       など

こうしたサイト改善を毎月行い、KPI改善を試みた結果、直帰率が下がって、ユーザーの回遊率がアップ。欲しい情報を的確に届けることで、Webサイトの売上を1年で180%以上成長させられました。

改善できるポイントはまだありますので、さらに売上を伸ばしていけると考えています。

まとめ

「どんな施策を打ったらいいのか?」
私たちが、いつもお客様に聞かれる質問です。

この質問にはいつも、「施策は無限にあります。仮説に基づいて、思いついた施策は全部やってみましょう!」と答えています。

Webサイトによって成功パターンは違いますし、絶対に効果がアップする正攻法があるわけではありません。Webサイトのデータを解析した上で考えた施策なら、どんどん実行して効果を検証しましょう。そのサイクルをまわしていくうちに、独自の成功パターンが見えてきます。

もし、効果が悪くなってしまったときは元に戻して、一喜一憂せず次の施策に取り掛かりましょう。小さな効果を積み上げていくことで、少しずつですが確実に効果はアップします。

むしろ、小さな施策が効果アップにつながる可能性を秘めていることが、サイト育成の醍醐味です。