事例から見る成功メソッド

ferret:
では、逆にUGCをうまく活用して成果を出している企業はどのような取り組みをしているのでしょう?

村岡氏:
では、まずメンズスキンケアブランド「BULK HOMME」を展開するバルクオムさんの事例をもとに解説します。

コメントでユーザーとの関係をつくる

村岡氏:
バルクオムさんでは利用したいUGCの許諾を取る際に、*「素敵な投稿をありがとうございます」*のコメントからコミュニケーションを始め、利用許諾を取っているのがポイントです。

利用許諾を求めるコメントがついている投稿

ferret:
このコミュニケーションにはどのようなメリットがあるのでしょう?

村岡氏:
そもそもユーザーが商品やサービスをSNSに投稿するのって、その企業やブランドに多少なりともロイヤリティがあるからこそ生じる行動ですよね。そこにまずきちんと感謝の気持ちを示すことで、ユーザーと良好な関係を築けます。

さらに、コメント欄でコミュニケーションをとることで、他のユーザーもこのコミュニケーションが見れるため、この良い関係が他のユーザーへと伝わっていきます。

ferret:
確かにいきなり利用許諾を求められるとちょっと抵抗感が生まれてしまいますね。

サイトに馴染むようにUGCを編集して掲載

MG_6955(1).jpg

村岡氏:
バルクオムさんは、Instagramの広告クリエイティブにもUGCを活用しています。

こちらは、ユーザーが投稿した商品の写真をそのまま転載するのではなく、「#毎日使える」 のような商品の特徴に関するハッシュタグ風のテキストを写真に加えることで、CPAを約1/2まで削減できたそうです。

ferret:
ハッシュタグ風のテキストは、クリエイティブを見たユーザーにどのような影響をもたらしたのでしょう?

村岡氏:
Instagram広告への出稿だったため、そのままのクリエイティブでは企業アカウント広告として想起されませんが、ハッシュタグ風のテキストを画像に加えることによって、商品の訴求力が高まるとともにブランドの権威付けもできたことがCPA削減要因として考えられますね。

LPにコメントごと埋め込むことで離脱を防ぐ

村岡氏:
バルクオムさんでは、自社サイトのLPにもInstagram上のUGCを埋め込んで活用しています。

バルクオムLP
引用:FACE CARE COURSE|BULK HOMME(バルクオム)

ferret:
この埋め込みにもポイントはあるのでしょうか?

村岡氏:
このLPでは、Instagramの写真だけでなく、投稿者のコメント部分もLPに埋め込んでいます。

コスメやアパレルの商品では、商品を見たあとに「肌に合うかどうか」や「他の人はどう使っているのか」と検討の段階が入るため、通常であればSNSやブログなどで口コミを確認し、LPからは離脱してしまいます。

UGCをコメントごと埋め込むことで、その検討もLP上で済むため、離脱率が下がりCVRは引き上がったそうです。

成果のカギは最適化

村岡氏:
バルクオムさんの「コメント付きUGC」もですが、UGCって効果検証を繰り返して最適化させていかないと中々成果につながらないんです。

ferret:
具体的にはどのように最適化をすすめていくのでしょう?

村岡氏:
たとえば先程のバルクオムさんでは、UGCを埋め込む際に「コメントの有無」でABテストを行いました。

シャンプーブランドであるBOTANISTを展開するI-neさんも、LPにUGCを埋め込んで利用しており、よりCVしやすいUGCを上部に表示させたりしています。こうしてUGCの最適化を進めていくと、その過程でユーザーインサイトを掴むこともできます。

ferret:
インサイトを掴むとは具体的にどのようなことでしょう?

村岡氏:
*CVしやすいUGCって、何らかの特徴を持っていて、それがユーザーに刺さるということなんですね。*なので最適化を繰り返していくと、どんな訴求がユーザーに刺さるのかが分かってくるんです。

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例を挙げると、女性向けコスメのEC企業では、CVRの高いUGCを検証していた際に、化粧品をコスメポーチの横に並べて撮影したUGCのクリエイティブが他とくらべてCVRが高いことが判明しました。

これは女性消費者は「その化粧品が自分の化粧ポーチやバッグに入るか」を検討の際に考えているということを表しています。このポーチの横に並べたUGCを目立つ部分に掲載することで、大きさを調べようとするためにGoogleやSNSで検索をしてユーザーが離脱することを防げるだけでなく、このようなインサイトを今後の商品や広告訴求のヒントにできますよね。

マーケティングチームとの連携が重要

ferret:
ここまでお話を聞いていて、LPなどでUGCを活用する大きなメリットは「離脱が起きづらいこと」かなと感じました。

村岡氏:
そうですね。冒頭に述べたようにSNSが消費者に与える影響はどんどんと強くなっています。つまり、消費者の検討段階でSNSの情報をこちらから先に提示しないと、ユーザーはSNSへ離脱してしまうんです。

ferret:
ということはつまり、ユーザーの入り口となる広告などのタッチポイントからLP、フォームまでの全体設計が大切になってきますね。

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村岡氏:
おっしゃる通りです。なのでマーケティングチームとUGCの運用チームが分断されていると、そもそもクリックすらされなかったり、クリックしても遷移先のページのテーマやトンマナが違うと離脱されてしまったり、ユーザーが検討段階のときにきちんとUGCを出していなかったりと、全体を通してのユーザー体験の設計ができなくなってしまうので成果が出づらくなってしまうんですね。

きちんとマーケティングチームとUGC運用のチームが共通認識をもって、ユーザーの購入までの段階すべてをきちんと設計するとより高い成果が出せるでしょう。