場所や時間にとらわれない働き方「テレワーク」の需要が高まっています。パーソル総合研究所の調査(2020年3月23日発表)によると、新型コロナウイルスの感染防止策の一環として、正社員の13.2%がテレワークを実施しているとのこと。そのうち47.8%が「現在の会社で初めて実施した」と回答しており、約半数がテレワーク初体験。さらに、テレワークを実施していない人のうち33.7%は「テレワークを希望しているができていない」と回答しています。

テレワークができない最大の理由は「社内制度の未整備」。いまだにテレワーク実施に課題を抱えている企業も多いのが現状です。そこで今回は、テレワークの流れで、Web会議ツールの次に需要が高まるであろうオンラインツールを紹介します。オンラインツールを活用してテレワークの環境を整え仕事を効率化し、不測の事態や働き方改革に対応できるようにしましょう。
参考:テレワーク実施、正社員は13% 半数が「初」、民間調査

グループウェア

グループウェアは、組織内の情報共有や業務効率化を目的としたシステムソフトウェアのことです。共有ネットワークに接続されたコンピュータ同士で、メンバーのタスクやスケジュールなどの業務にまつわる情報を共有できるようになり、オンライン上の共同作業場に。テレワークでお互いが同じ場所にいなくても連携作業がしやすくなります。

Office365

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出典:Office365|Microsoft

マイクロソフトが提供するグループウェア「Office365」は、PowerPointやWord、ExcelなどのOfficeアプリケーションとスムーズに連携できるのが特徴です。ほかにもOutlookやOneDrive、OneNoteなども対応しています。

パソコンだけでなくタブレットやスマートフォンなど、ほかのデバイスでも確認できるため、OneDriveにファイルを格納し共有しておけば、どこにいても作業可能です。全てのファイルを一括管理できるので、最新バージョンの共有漏れなどのミスが起きにくいことがメリットと言えます。

それぞれのメンバーのスケジュールを一覧で確認でき、誰が何をしているのかすぐにわかるのもテレワークに適しています。また、サブスクリプションを購入すると最新のOfficeアプリケーションを使用可能。クラウド型のため、更新プログラムが即時に適用されます。無料プランはなく有料プランのみで、法人向けは1人当たり月額540円から利用できます。
参考:Office365|Microsoft

G Suite

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出典:G Suite|Google

「G Suite」は Googleが提供するグループウェアです。 GmailやGoogleドキュメント、Googleドライブ、Google カレンダーなどのサービスと連携できます。全て1つのパッケージになっていて一括管理ができ、パソコン以外にもタブレットやスマートフォンなどの別デバイスからアクセス可能。メンバー間の共有もスムーズです。
こうした特徴は基本的に「Office365」と同様で、Officeアプリケーションとの連携を重視するのか、Google系サービスとの連携を重視するのかで選ぶといいでしょう。ビジネス用のGmailアドレスを作成したり、Google ドキュメントでファイル共有し、メンバー間で修正やコメントをするなどの共同作業をしたりと、業務改善に貢献します。

G Suiteも有料サービスのみで、料金は1人当たり月額680円から。最初の14日間だけ無料体験ができるので、上手く活用しましょう。
参考:G Suite|Google

人事労務ツール

テレワークの最大の壁とも言えるのが「人の管理」。目が行き届かない分、きちんと働いているのか、業務が進んでいるのかなどの確認がしにくくなり、マネジメントのハードルが上がるため、テレワーク適用に二の足を踏む企業も多いです。

こうした際に活用したいのが、オンラインの人事労務ツールです。オンライン上でタイムカードを押したり、タスク管理や進捗確認をしたりと、時間の共有や生産性の向上に活用できます。こうした人の管理の課題を解決することで、移動時間が削減できて効率化に繋がり、働き方改革にも貢献するでしょう。

TimeCrowd

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出典:TimeCrowd

「TimeCrowd」は業務効率化に活用できる時間管理ツール。データを記録することでチーム全体の業務時間を可視化し、そこから効率化に向けた業務の見直しを行うことで、生産性向上が期待できます。

とてもシンプルな見た目で、タイムトラッキングによりどこにどれだけ時間が使われているか一目でわかります。メンバーの稼働状況がわかる機能や、金額計算を自動化する単価計算、ChatworkやSlackなどとツール連携も可能。

ワンクリックでスタート・ストップを記録できたり、メンバーが記録したタスクがすぐに把握できたりとユーザビリティが高く、スマホからも操作できます。逐一確認しなくてもメンバーの動きがわかり、管理しやすくなるでしょう。

導入費用は、個人であれば無料。チームだと1人当たり月額500円でレポート機能が活用できます。
参考:TimeCrowd

ジョブカン

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出典:ジョブカン

「ジョブカン」はクラウド型の勤怠管理・シフト管理・有給管理を行うシステムで、オンライン上での勤怠管理が可能になります。メンバーの出勤や退勤の記録はもちろん、人事労務の手間になる打刻ミスの修正や残業時間の算出まで自動化できるため、一般的なタイムカードよりも効率的です。

有給休暇管理機能により、2019年4月から施行された有給休暇法令に対応しているのもポイント。有給申請状況や有休の取得日数、残日数などを一覧表示して自動計算し、有休を年5日以上取得できていないメンバーに自動でメールを送信したり、イレギュラーな有給日数の自動計算をしたりと、面倒な作業を自動化できます。有給休暇法令に違反すると企業へのペナルティが課せられるので、大きなリスクヘッジにもなるでしょう。

ほかにもシフト申請や作成などのシフト管理を行ったり、変形労働・フレックス・裁量労働などのあらゆる勤務形態に対応していたりと、複雑な作業を効率化して人と時間の削減に貢献します。
料金プランは無料から用意されていて、最大で1人当たり月額500円まで。1か月の無料お試し期間もあります。
参考:ジョブカン

SmartHR

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出典:SmartHR

クラウド人事労務ソフト「SmartHR」は、人事労務を効率化するツール。たとえば社員名簿の管理、雇用契約、年末調整、ウェブ給与明細の発行、社員の契約更新などさまざまな労務手続きをオンライン上で行えます。従業員が直接入力できるため会社で対応する必要がなく、ハンコと紙が不要でペーパーレス化できるのも魅力です。

また、メンバー数が多くなると名簿管理が煩雑になりますが、情報を一元管理して常に最新の社員名簿を共有できます。住所変更などの手続きを行う場合は、自動で情報更新されるため、手続きが簡単に。退社手続き時の書類もすぐに作成できます。人事情報を集計した「ラクラク分析レポート」を確認することで、業務改善に繋げることも可能です。

料金は30人までなら無料プランがあり、有料プランもそれぞれ15日間無料トライアルができます。内容によって料金が変動するため、検討時には見積もり依頼しましょう。
参考:SmartHR

営業ツール

テレワークだと営業がしにくい、と感じる方も多いでしょう。営業の基本は対面ですが、ツールを活用して新しい人脈を獲得したり、顧客との関係性を深めたりすることも可能です。対話は電話やWeb会議を通じて行えるので、オンライン上に営業先のデータを取り込んで一元管理することで、かえって営業活動がしやすくなるかもしれません。

Sansan

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出典:Sansan

クラウド名刺管理サービス「Sansan」は、スキャナーやアプリケーションで名刺を正確にデータ化し、人脈の管理や共有ができるビジネスプラットフォームです。社内の名刺を一括管理できるため、営業部や他部署間で連絡先を共有するのにも活躍します。

Facebookのような投稿ツールもあり、タイムラインで名刺交換した人の近況も確認したり、転職状況を把握できたりできます。紙の名刺だと相手が退職したらそれまでですが、Sansanで繋がっていければ新しい情報に更新され、関係が持続するのです。
さらに、オンライン上で名刺交換することも可能。直接会えなくても気軽に名刺交換でき、テレワークでも円滑なコミュニケーションをとりやすくなります。新しい営業ツールとしても活用できるでしょう。Sansanは法人向けサービスですが、個人向けに同様のサービス「Eight」も展開しています。

料金は名刺の枚数によって変動しますが、ライセンス金額は月額5万円から。スキャナーのレンタル代が月額1万円で、初期費用としてライセンス金額1年分がかかります。
参考:Sansan
クラウド名刺管理サービス Sansan、「オンライン名刺交換機能」を発表

「テレワーク」という選択肢のメリットは大きい

テレワークは導入時のハードルこそ高いものの、実現すれば生産性の向上、業務効率化、コスト削減、ダイバーシティ、人材確保、事業継続性向上など、働き手にとっても企業にとってもたくさんのメリットをもたらします。また、介護などで生活が不規則になりがちな人も働きやすくなり、これからの少子高齢化にも対応しやすく離職率を下げることも期待できるでしょう。

社内制度だけでテレワークを実現するのには限界があるため、必要に応じてオンラインツールを導入し、場所や時間にとらわれない労働環境を構築するのがおすすめです。まずはテレワーク導入の課題を洗い出し、どうしたら課題解決できるか明確にしてからツール検討し、テレワークという新しい選択肢を作りましょう。

テレワークを快適にする「Web会議ツール」は?

テレワークでも快適に働くために。自社に適した「Web会議ツール」の選び方

テレワークでも快適に働くために。自社に適した「Web会議ツール」の選び方

2019年4月から始まった働き方改革や昨今の新型ウイルスの影響により、働き方の見直しが早急に進められています。テレワーク(時間と場所を選ばない働き方)もその一助を担っており、オフィスにいなくても自宅やシェアオフィスで働くメンバーと、オンライン上で会議ができる「Web会議ツール」の需要が高まりつつあるようです。