6月25日、株式会社メタップス主催のイベント「元アップル社長 前刀禎明 × 株式会社メタップス代表 佐藤航陽 が考えるグローバルキャリアイベント」が開催されました。
ferretでは、全三回に渡ってイベントの様子をお伝えします。

第1部の前半では、ライブドアの創業者であり、Appleの日本法人の代表として日本におけるAppleの認知度拡大と復活を牽引したリアルディア代表前刀氏による、グローバルキャリアについてのプレゼンテーションが行われました。今回はその様子をお届けします。

登壇者紹介

前刀 禎明氏(さきとう よしあき)  株式会社リアルディア 代表取締役

前刀氏写真

1958年生まれ。慶應義塾大学大学院管理工学修士課程修了後、ソニー、ベイン・アンド・カンパニー、ウォルト・ディズニー、AOLなどを経て、2004年、アップル米国本社マーケティング担当バイス・プレジデント(副社長) 兼 日本法人代表取締役に就任。
日本独自のマーケティング手法で、 iPod miniを大ヒットに導く。「iPodの仕掛人」と呼ばれ、日本におけるAppleブランドを復活させて一躍脚光を浴びる。米国本社で行われるスティーブ・ジョブズ氏主催のエグゼクティブ・ミーティングに本社勤務以外の人間として初めて参加し、アップルの世界戦略の策定とマーケティングに大きく貢献した唯一の日本人としても知られる。

2007年、株式会社リアルディアを設立。創造的知性を磨くセルフ・イノベーション実践プログラム、五感ワークショップなどを提供。感性を豊かにして創造力と表現力を磨くアプリ「FACE」を開発。革新的なプラットフォームとして注目される。フジテレビ系列『めざましテレビ』のレギュラーコメンテーターも務めた。著書に『僕は、だれの真似もしない』(アスコム)、『人を感動させる仕事』(大和書房)、『心が動く伝え方』(KADOKAWA)がある。

前刀氏が語る「グローバルキャリア」

第一部の前半は、前刀氏が経験してきたエピソードも交えながら、グローバルキャリアや今後のビジネスマンに求められる資質についてのプレゼンテーションが披露されました。

SONYやウォルト・ディズニーを経て創業し、事業譲渡後にApple日本法人の代表を務め、iPod miniを大ヒットさせ、Apple復活を成功させるも2年ほどで退職し、再び起業し今に至る前刀氏の、自由な経歴とその裏に流れる一貫したポリシーには、これからの時代を生き抜くヒントが凝縮されています。

Your time is limited.(時間は限られている)

前刀氏:
前刀です。よろしくお願いします。

有名な言葉があります。

「Your time is limited, ...follow your heart and intuition.」

時間は限られている、自分の心に正直に生きろ。
スタンフォードの卒業生にスティーブ・ジョブズが贈ったことばです。
時間は限られている。他人の人生を行きている場合じゃない。
自分の人生を生きろと。

こんなことを言った人もいます。

「We keep moving forward - opening new doors and doing new things - because we're curious.」

これを言ったのはウォルト・ディズニーです。
ある時、「ディズニーがこんなうまく行っているのはなぜなんだ」と聞かれたとき、ウォルトは「何も秘密なんかないんだ。我々は新しい扉をあけて新しいことにチャレンジし続けているだけなんだ。なぜなら好奇心があるから。」と語っています。

こんなにもシンプルなことなんですが、意外とできないんです。これをできるようになった方が、いい。

「グローバル」と言っているうちはグローバルではない

今日のイベントタイトルにもグローバルキャリアとあるし、よく言われていることなんですが、そもそも「グローバル」と言っていること自体がグローバルじゃないです。

キャリアを考えるうえでグローバルなのは当たり前なんです。「グローバル」と言っている国は世界中で見ても少ない。日本はその1つです。

会社に新卒社員が入ってきたときに経営者がよく話すのが、

「グローバリゼーション」
「ダイバーシティ」
「イノベーション」

この3つですが、おそらくほとんどの企業ができていないです。残念ながら。

子供の頃のような創造力を忘れない

この会場にいらっしゃっている皆様の可能性についてお話しします。

皆、いろんな可能性を考えるんですよね。
ただ、考えているだけで現状に甘んじるか、自分の可能性を信じて挑戦するか。これによって大きく道が別れているということを考えてほしいです。

自分を解き放つということを、こういったイベントをキッカケにぜひともやってほしいと思います。

ちなみに、最近空を見上げてあの雲は◯◯に見えると考えたことがある人手を挙げていただいていいですか?―4人ぐらしかいないですね。
子供のころは誰でもやっていたと思うんですが,これは頭が固くなっているのかなと。子供のような感性が失われているのはもったいないですね。
子供のような創造力をもって自分のキャリを考えていただきたいです。

クリエイティブ思考になるための3原則

昨年の12月まで、めざましテレビに「さきつぶ」というコーナーを持たせてもらって3年弱出演していました。
最終回に、クリエイティブになれるための簡単でシンプルな3つの原則を紹介しました。

1.「もんだ」をやめる

みなさんも聞いたことはあると思います。
「もんだ」をやめるというの、例えば企業の偉いおじさんが言いがちな、「●●はこういうもんだ!だから考えずにやれ」ということをやめる。前例や常識に囚われないということです。

2.子供になる

子供は奇想天外色んなことを考えます。好奇心をもって自由に考えることを忘れないでほしいです。

3.自分を信じる

せっかくこどものように色々考えても、人が違うことを言うとすぐに流されるんですね。
特に最近はSNSで他人の意見が見えやすいですから。大勢の人が言ってることが自分の考えと思ってしまう時もある。そうではなくて、自分の考えに自信を持つことが重要です。

どんなに波瀾万丈な人生でも、右肩上がりと捉えること

「リセット&スタート」

これ、私のキーワードなんです。
人生は波瀾万丈で浮き沈みがありますが、自分の中のイメージ的には右肩上がりかなと考えると、ちょっと悪い時でも前の良い時よりもちょっとはいいかなと思えて、気持ちが楽になるんですよね。

自分のリセット&リスタートの人生の中で持っているのが、セルフ・イノベーションとチャレンジ、今日のテーマでもある「自己革新と挑戦」を続けています。
ただ、今までやってきたことは全て過去なんです。自分とって大切なのは今やっていることと、これからやることです。

自分で自分の人生を創っていく

何を欲しいかなんてそれを見せられるまでわからない
だから自分が欲しいものをつくればいい

と言ったのは、2007年にiPhoneを発表したスティーブ・ジョブズです。
それまで、電話からテンキーをなくせなんていうニーズもなければ調査レポートもなかった。
そのなかでスティーブは、「どうだ、これがこれからの電話なんだ」と発表して世の中を大きく変えました。
これは未来予測ではなく未来創造です。
個人個人の未来も、自分で考えて自分の人生を創っていくんです。

そんなAppleをなぜ私はやめたのか。
シンプルにいうとスティーブ・ジョブズの会社だったからです。自分の会社ではなかった。

今はリアルディアという会社をやっています。
セルフ・イノベーションの習慣を身につけることを目的とした「FACE」というアプリを開発しました。
日常生活のなかで感性を豊かにして創造力・表現力を磨いてくアプリで、興味ある方はAppStoreでダウンロードしてみてください。検索ワードは「REALDEAR」です。

次のアップデートでは「SELF」という、プレゼンが簡単に上手になる機能を追加する予定です。
プレゼンの作成方法は非常にシンプルで、3段論法ではないんですが、3ポイントで物事を語っていこうというコンセプトです。

あとちょっとだけ宣伝させてください。僕、書籍も出してます。

・『僕は、だれの真似もしない
・『人を感動させる仕事
・『心が動く伝え方

『心が動く伝え方』は最近出たばかりなので、興味ある方は読んでみてください。

自分には無限の可能性があるから、挑戦し続けること

私はセルフ・イノベーション&チャレンジをこれからも続けます。

どういうことをやるかというと、「ダイニング+デジタル+ドリーム」をキーワードに、新たな事業開発を行っていきます。

生きていると色んなことが身に振りかかるんですが、起きたことは、全て自分の責任だと思いましょう。他人や環境のせいにしないことです。
なぜそうしたほうがいいのか。全て自分の責任だからこそ、未来は自分次第だと思えるからです。

最後に。
自分の人生を好きになってください。
昨日の自分より今日の自分、そして明日の自分を好きになって世界を変えていってほしいと思うし、私もがんばります。

皆さんへのメッセージは、*「明日の自分には無限の可能性がある」*ということです。ありがとうございました。

まとめ

Appleの日本国内におけるマーケティングで大きな成功を収めたにも関わらず、その成功に固執することなくあっさり本社副社長と日本法人代表の職を退いて、また0から起業したというエピソードには、前刀氏がお金ではなく「自分がやりたいこと」を優先している姿勢が端的に表れています。

自分が情熱を燃やせる場はどこか。安定出来る場の無い今の時代だからこそ、自分の欲求に素直になるのが正解なのかもしれません。

前刀氏書籍紹介

前刀氏の最新著書『心が動く伝え方』絶賛発売中!

心が動く伝え方』(KADOKAWA/中経出版)

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