新型コロナウイルスの影響はビジネスのあらゆる領域に波及していますが、マーケティング領域も例外ではありません。ferretの人気記事の傾向を見ても、最近は動画・アニメ広告ブログ(note含む)などコンテンツマーケティングまわりの記事の注目が顕著に上がってきています。

この背景には「マーケ予算は縮小されたが、目標数字は下げるわけにはいかない」という状況の中、マーケター自らがパフォーマンス改善を日々行い続けていく必要に迫られているためだと推察されます。ただ、これまで実施部分は代理店や外部デザイナーに依頼していたような業務についてはいきなりうまくできるわけではありません。

そこで、この状況下でも順調に成果を伸ばし、昨年比で3倍ものリード獲得を実現している「ferret One」マーケティングチームの「リアル」な取り組みを紹介することで、日々の打ち手の解像度を上げる参考にできればと思い、弊社マーケティングチームの川鍋と野口に日々の取り組みについて話を聞きました。

ferret Oneとは、ferretを運営する株式会社ベーシックが提供するSaaSです。Webページ制作からメール配信、LP制作、サイト解析までがワンストップでできるCMSツールであるferret Oneの見込み顧客を、いかに日々の施策で拡大していくか。小さな工夫で大きな成果を生み、それを積み重ねる。その改善の日々の実態に迫ります。

訴求軸の整理とサービスサイトの修正

ferret編集部:リード獲得の向上に向けて、どのような取り組みをしてきたのでしょうか?

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川鍋:日々サービスサイトの改善に取り組む企業様は多いと思うのですが、ferret Oneでもこれまでさまざまな変遷をたどっています。

改善前の2019年1月頃は、サービスサイトのトップページはかなりシンプルな作りだったのですが、2019年3月頃に一度フルリニューアルしました。当時、事業全体をBtoB企業向けにフォーカスしていこうという方針の転換もあって、サイト全体の構成などを見直したんです。2ヶ月ほどかけてリニューアルを行い、当時サイトのコンバージョンレートは、およそ1.4倍に伸びました。

そこからはベースはあまり変えずに、メインビジュアルやコピーを変えたり、コンテンツをリニューアルしたりと、3ヶ月から半年ほど小さなPDCAを積み重ねて今の形に至ります。
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ferret編集部:サイトリニューアルと日々のPDCAでは、最終的にはどちらがインパクトがありましたか?
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野口:サイトリニューアルでコンバージョンレートは1.4倍になりましたが、その後の小さなPDCAによりそこからさらに2倍に上がりました。結果としては「リニューアル」と比べて、「サイト改善の積み重ね」の方が改善幅が大きかったと言えます。
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これはリニューアルが決して悪いということではありません。リニューアルして終わりではなくて、そこからしっかりと環境やターゲットの変化に合わせて改善を積み重ねていくということが非常に大事だと考えています。

実際に行った施策は細かくいうといくつもあるのですが、インパクトとして大きかったものを2つご紹介します。

改善その①:メインメッセージ・メインビジュアルの見直し

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まずメインメッセージとメインビジュアルの改善です。もともとferret Oneは「必要な機能がこれひとつで」というメインメッセージを訴求していたのですが、よりできることを具体的に打ち出していこうということで「Web制作から集客・広告・顧客管理まで」という内容に変更しました。

併せて、CTAは「お問い合わせ」を前面に出していのですが、少しハードルが高いと思ったため、「資料ダウンロード」に変更しました。結果、当時これ以外のコンテンツなどは一切変えていない中で、コンバージョンレートが1.48倍に改善しました。

改善その②:フッターCTAの見直し

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次にサイトのフッターCTAの改善を行いました。メインのCTAの導線ですが、こちらも改善前は「お問い合わせ」をメインに設置していました。これを「資料請求」をメインに変更し、加えてデモ体験や導入事例集など、ユーザーのニーズに合わせた設計にしました。

こちらはかなり影響が大きく、CVRが1.7倍に改善しました。当然どういうメッセージを出しているか、どういう広告を出しているかなども影響度としては大きいですが、受け皿のサービスサイトの作りをどう改善していくかというのは非常に重要なポイントだと感じています。

サイトの構築や編集はferret Oneを使って行っているのですが、こういった細かい変更や修正が、非エンジニアでも、社内で対応できるので、施策の改善スピードが非常に早いです。そのほかにも、事例の追加、料金ページの改善など、自分自身で少しづつPDCAを積み重ねました。

インサイドセールスをマーケ部内に異動し、訴求軸のPDCAを高速化

ferret編集部:なるほど。細かいサイト改善により、パフォーマンスを上げてきたわけですね。サイト改善以外でインパクトの大きかった施策はありますか?

川鍋:この1年で行った大きな施策の1つとしては、インサイドセールスの組織体制の変更があげられます。ferret Oneチームでは、2019年の7月、それまで「セールス部」に所属していたインサイドセールスグループを「マーケティング部」管轄へと移動させました。

SaaS事業において、マーケティングとインサイドセールスは決して切り離すことができません。両グループを同じ部におき、定期ミーティングを始めとする細かな情報共有を行うことで、施策実行のスピードを上げつつ改善効果を高めようと考えました。

チーム連携において、重要なのはKPIの設定です。リード数が増えても受注に繋がらなくては意味がないため、インサイドセールスグループだけでなく、マーケティンググループでも、アポ数や案件化数といった、アポ獲得以降の数値を目標に置くことが大切です。

ferret Oneチームの場合も、同じ部として同じ指標を持つことで、マーケティンググループが施策を打ち出す際にインサイドセールスグループへ相談したり、リードアプローチ後のフィードバックを求めるなど、本質にそった連携ができるようになりました。

コンバージョンユーザーの動きから、細かくLP内容の調整を行う

野口:その上で、我々が取り組んでいるのが、ferret Oneの機能を活用しながらのインサイドの適切な対応と、マーケティングの訴求軸の改善です。

私たちのチームでは、ferret Oneで作成したフォームとSlackを連携させ、コンバージョンした際にSlackに通知しています。お問い合わせや資料ダウンロードがあった際リアルタイムで検知し、インサイドセールスが5分以内に架電する仕組みです。

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ferret Oneでのコンバージョンを通知したSlack画面

また、ferret Oneを使うとユーザーの行動履歴を見ることができるので、どのチャネル/訴求からコンバージョンしたのか、さらに過去のサイトへの来訪履歴など、顧客の動きに合わせてセールストークを変えるなど工夫しています。架電後は、チャネルや訴求別にアプローチ結果をまとめて、インサイドセールスグループからマーケティンググループにフィードバックしています。

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ferret Oneのユーザー行動履歴画面

この行動履歴機能についてはマーケティンググループでも頻繁に活用しており、コンバージョンユーザーの動きを見て、コンテンツ広告改善などの参考にしています。

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このようなインサイドセールスグループとの連携や各機能の活用を元に、頻繁にLP調整も行っています。同じ切り口のLPをいくつか作り、インサイドの声を元に最適なものを選択したり、訴求後もアポイントの獲得状況やユーザーの属性を見ながら、細かい文言を調整します。

顧客ニーズの変化に合わせて訴求軸を最適化

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ferret OneのLP編集画面

野口:また、広告の切り口自体も複数準備し、顧客の属性に合わせて、訴求別のLPを複数作成しています。例えば、従来は「簡単にサイト更新ができる」という訴求が勝ち筋でしが、インサイドの声やユーザーの行動を分析すると、徐々に「リード獲得」に対するニーズが高まっていることがわかりました。ferret OneではLPを簡単に作成、編集できるので、市場のニーズに合わせてどんどん追加、更新を行っています。

このような訴求軸の検証と対応により、CPAが最大40%低下、マーケティング部のKGIである案件化数がコロナ禍においても過去最高記録を叩き出すなど、成長を続けています。

CMSの手軽さを伝える動画クリエイティブ

ferret編集部:サービスの魅力を効果的に伝えるための工夫の中で、特にうまくいったものを教えてもらえますか?

野口:ferret Oneの強みの1つとして、「非エンジニアでも自由に編集・更新できるCMS機能」があります。マーケーター自身が思い立った時にすぐ施策をWebサイトに反映できるため、導入いただいたお客様にも大変好評な機能です。

しかし、CMSの手軽さを画像やテキストやで訴求するには限界があり、「ferret Oneを使ったことがない人に、使いやすさを伝えづらい」という悩みがありました。そこで導入したのが、動画コンテンツです。

ferret Oneでは、2019年10月から、実際にWebサイトを更新・編集をしている様子を録画して、動画コンテンツを作成しましました。活用を始めから約1ヶ月で、広告CTRが1.23倍、CVRが25.8倍まで伸び、大きな効果を実感しています。

動画コンテンツの活用場所は多岐に渡ります。まずはLPですが、サイトが簡単に作れること、誰でも更新できるCMSとしての機能などを押し出した訴求において、その効果を発揮しました。キャッチコピーのすぐ下に動画を配置し、「プログラミング不要」「誰でも更新可能」など、イメージしやすい言葉で補足しています。その結果、CVR25.8倍という結果につながっています。

次にFacebook広告での活用です。それまでは画像を活用していたのですが、動画コンテンツができてからはクリエイティブを切り替えました。変更後CTRが1.23倍になり、CPAを1/5以上圧縮することができています。

その他、セールス部での商談時や、カスタマーサクセス部でのお客様の対応時にも活用しており、「わかりやすい」「イメージが湧きやすい」などの声をいただけるようになりました。

認知向上に向けての取り組み

同時に弊社で力を入れているのが、認知向上への取り組みです。ferret Oneでは、2020年1月からタグラインを「BtoBマーケするなら ferret One」に定め、ロゴやサービスサイト、各種資料などに反映しました。コンテンツをさらにBtoBに寄せ、SNSや、展示会、ノベルティなど、さまざまな場面で押し出しています。

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ferret Oneの展示会出展ブース(2019年)

野口:ferret Oneに所属する各メンバーのTwitterのフォロワー数も増え、記事の拡散や、外部登壇による露出との相乗効果が生まれています。おかげさまで以前に比べ、「ferret One」というサービスを知った上でお問い合わせいただくケースも増えました。

2019年からは「One Tip 」というBtoBマーケに特化したブログページも本格始動し、指名検索は右肩上がりになっています。この「One Tip」は、ferret Oneのサービスサイト内に設置しており、TopページやLP同様、ferret Oneで更新をしています。ferret Oneにはブログ機能が搭載されており、記事の更新、タイトル、ディスクリプションやOGPの設定、URLの変更なども、簡単に行うことができて便利です。

また、各ページPV数や、キーワードごとのSEO順位もferret Oneの管理画面上でチェックすることができるので、更新時はもちろんのこと、日々のサイトチェックでも活用しています。

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ferret OneのSEO順位チェック画面

セミナーの改善/事例の強化

川鍋:この1年では、セミナーも大きな変貌を遂げました。2019年まである程度安定的に受注獲得ができていたセミナーですが、リモートワークの普及に伴うウェビナーの実施で、大きく状況が変わりました。

幸いなことに、ferret Oneチームでは新型コロナウイルス拡大前の2020年2月から、潜在層や遠方の方に向けたウェビナーを実施していたため、運用については大きな戸惑いはありませんでした。3月時点ではウェビナー経由のアポや案件化進捗も順調で、引き続き継続を考えていたのです。

しかし、2020年4月ごろから、環境の変化を受けてウェビナーの申込数が3倍ほどに増え、その一方で、アポは取れても案件化に繋がらないという状況が生まれ始めました。個人的な情報収集や勉強目的の方の参加が大幅に増えたことが原因として考えられました。

野口:そこで、次の3つのステップで改善をはかりました。

【STEP1️】セミナー開催前: セミナー資料、事前公開の徹底
【STEP2️】セミナー当日 : ターゲット向けの内容に大幅変更
【STEP3️】セミナー開催後: Webアンケートの内容変更+即コール体制

1つ目は、セミナー資料の公開徹底です。それまでも集客のため、「ユーザーに興味を引いてもらうこと」も目的として資料の一部を公開していましたが、4月以降は「何となくの申込みをさせない、ターゲットセグメントのための施策」として、目的を切り替え資料選定を行いました。LP内でよりニーズが絞られる資料に切り替えたり、メールマガジンに差し込むGIF動画を変更するなど工夫しました。

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ferret OneのセミナーLP編集画面

2つ目に、セミナー当日の内容変更です。従来は「BtoBマーケティング」や「サイト構築/改善」などに興味のあるユーザーに向け、全体像やノウハウを中心にお話していました。しかし4月以降は「リード獲得に興味のあるユーザー」「新型コロナを機に、オフライン(展示会)からオンライン(Web)への切り替えを検討している企業」と、よりターゲットを絞り、具体的な課題を持つユーザーに向け、切り口を変更しました。

企業の課題に落とし込みながら、枠組み的な話からより具体的な施策に絞った内容に切り替え、ferret Oneサービス紹介についても「この金額でここまで出来る」というイメージを伝えるようにしました。

3つ目が、Webアンケートの内容変更と、インサイドセールスでの即コール体制の構築です。リモートワークの影響で電話が繋がりにくいお客様も増えたため、Webアンケートの時点で個別相談が可能な時間帯を選択してもらいつつ、アンケート回答の通知がきたらすぐにインサイドセールスと連携して架電を開始する仕組みにしました。

このような取り組みの結果、ウェビナー経由でのアポ数、案件化数、受注数は、リモートワーク拡大前の通常セミナーを含めても、過去最大の結果となることができました。

ferret編集部:なるほど、サイト改善から動画・セミナー活用までの一つひとつについて、丁寧に改善を積み重ねていくことで、リード獲得の大きな基盤ができるのですね。ありがとうございました。