LIGブログ
いろいろな会社から「オウンドメディア」が立ち上がっている中で、頭ひとつ抜け出すことは至難の業。
オウンドメディアが数多く登場している中、急成長を遂げているメディアがあります。上野にあるWeb制作会社のブログとして運用されている『LIGブログ』です。

LIGブログの編集長の朽木誠一郎氏と、Webマーケティングのことをわかりやすく伝えるマーケティングメディアの『ferret』の編集長である飯高悠太。同世代2人の編集長にそれぞれのメディアの裏側について語ってもらいました。

メディアの立ち上がりからこれまで

ーーー『LIGブログ』と『ferret』は同じオウンドメディアとして運用されながらも、その立ち上がり方には違いがあります。『LIG』と『ferret』はそれぞれどのように立ち上がったのでしょうか。

ferret 飯高
「ferretは、元々「Ferret plus」というWeb担当者に向けたツールを提供していました。そのサービスは現在も提供しているのですが、去年9月にWeb担当者のマーケティングに関する悩みを解決するメディアとして立ち上げたのが「ferret」始まりです。LIGブログは最初、どういった経緯からスタートしたんですか?」

朽木氏
「元々、LIGブログは「自分たちはWeb制作会社だから、Web制作会社にとって役に立つ記事を作ろう!」というのと、「楽しいことをやったらみんな楽しいはず」というところから始まっています。今でこそ当たり前のことかもしれませんが、当時だと一歩進んでいたかもしれません。そこに時代が追いついてきた感じがあります。先行者利益もあって、取り組み始めるのが早かったことでノウハウやコンテンツが蓄積されています。」

ferret 飯高
「先行して取り組んでいたことのメリットは大きいですよね。当時のLIGブログはかなりバズっていた「伝説のウェブデザイナー」の記事や「秒速結婚」の記事が記憶に残っています。」

伝説のウェブデザイナー

伝説のウェブデザイナー

LIGが有名になったきっかけのひとつ「伝説のウェブデザイナー」。1万以上ツイートされ、7000以上のいいねがつくという大きなバズを生んだコンテンツです。

結婚のご報告。30年彼女がいなかった僕が、秒速で結婚できた理由。

結婚のご報告。30年彼女がいなかった僕が、秒速で結婚できた理由。

エイプリルフールからスタートした一連の企画の最後のコンテンツ。なんと約3.5万いいね、ツイート数7000以上という話題を読んだ記事になりました。

朽木氏
「最初は単なるWeb制作会社のブログとしてスタートした後、あの2つのバズが生まれたことで、翌月のPVが大きく成長しました。そのときにLIGは、「バズればPVって上がるんだ!だったらもっとバズらせよう!」と考えるようになったんです。みんな素直だったんですね(笑)そして、PVが成長していき、100万PVを越えたころから記事広告の問い合わせが来るようになりました。その後は、これまた素直に「PVが上がると記事広告がとれるんだ!記事広告の案件をとれるようにしよう!」と考えるようになっていきました。」

それぞれのコンテンツの特徴

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ferret 飯高
「LIGの記事広告は何を一番の目的として設定しているんですか?ブランドの構築?それとも、最終的なリードにつなげること?」

朽木氏
「僕が見ているのはおもしろ系の記事広告でなく、まじめ系の記事広告なのでそれについて説明すると、まずはコンバージョンを目的としています。クライアントさんがメインで狙ってはいないものの、関連しているキーワードを設定し、そのキーワードで集客する記事を作成しています。作成する記事はテキストのLPを作成するようなイメージです。」

ferret 飯高
「LIGの記事広告にはストーリーがあって、読んでいくと最後にツールの紹介があったりしますよね。テキスト版LPという表現はしっくりきます。」

朽木氏
「キーワード獲得を目的に記事広告を作成したものだと、たとえば「お中元 ギフト」で検索すると上位に表示される記事や「フリーランス 請求書」で検索すると上位に表示される記事などを作成しています。これらは毎月数万〜十数万PVほど流入があり、こうした記事広告をこれまでに50件以上作成しています。」

正しい時期はいつ?取引先へのお中元・お歳暮マナー10ヶ条

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企業のお中元・お歳暮を1社1社オリジナルで制作している「働くお菓子」の記事広告。「お中元 マナー」で検索すると、検索結果上位に。

フリーランスが請求書を作成するときの見落とし防止チェックリスト

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ビジネス向けクラウド請求書ソフト「MFクラウド請求書」のサービス提供をしているマネーフォワードの記事広告。「フリーランス 請求書」で検索すると、検索結果上位に。

朽木氏
「うちは記事広告などでマネタイズに取り組んでいますが、「ferret」のマネタイズはどう考えているんですか?」

ferret 飯高
「うちは元々、ツールを提供していたので、そちらでマネタイズはある程度はできています。メディアを立ち上げて、こちらも数字が伸びてきているので、メディアとしてもマネタイズに取り組もうと考えています。マネタイズを考える上では、LIGを参考にさせてもらってます(笑)」

朽木氏
「そうなんですか(笑)」

ferret 飯高
「実はそうなんです。うちは記事広告をやるイメージはあまりないのですが、成長していて売上を上げているものはそれだけニーズがあるということだと思うので、参考にできたらなと思っていて。ferretには会員という資産があるので、それをうまく活かしてマネタイズをしていきたいと考えています。」

メディアの影響力とブランド

LIGブログ編集長の朽木氏

朽木氏
「セールスやマーケティングに従事している人は、ferretをよく見ている印象があります。社内でもセールスやマーケティングの人間からは「ferretには抜かれるなよ」と言われていて(笑)それって特定の職種の人たちに対して、意識させるだけの存在感を発揮しているということだと思うんです。
一方で、LIGブログというメディアのイメージやブランドはどうかを考えると、僕はまだ弱いと思っています。「LIGに頼みたい」という雰囲気はもしかしたら作れてきているかもしれませんが、LIGに頼んだら何ができるのかはまだはっきりしていない状態ですよね。そのブランドも作っていきたいと考えています。」

ferret 飯高
「最初のころのLIGブログは、「オモコロ」に近いイメージがありました。段々とコンテンツの質が変化してきて一時LIGを見なくなっていたんですが、定期的に公開しているメディアの数字を見ていると、数字は伸びている。バズらせるだけではなく、戦略的にメディアを運営するようになったんだろうなと思って、去年末くらいから愛読しています(笑)」

朽木氏
「よく見られてますね(笑)ちょうど僕がLIGに入ったタイミングで、SEOを意識したライティングにも取り組み始めました。記事タイトルのキーワードを意識することで、PVも右肩上がりに伸びていきました。」

ferret 飯高
「うちも検索のトラフィックは意識していますね。ferretの目的は、マーケティングを実践する上での方法や考え方を、マーケティングができていない人に届けること。
そのためには、SEOに力を入れて、ターゲット層との出会いを創出することが重要だと考えています。検索ボリュームが中規模のキーワードを取りにいき、検索でferretに流入するようにする。カリキュラムへの導線を作成して、会員登録を促すという流れを作っています。」

ferretのカリキュラムページ

朽木氏
「きれいな流れですね。うちとは大違いです(笑)」

ferret 飯高
「あと、これはLIGもやっていることだと思うんですけれど、まずソーシャル上でバズらせて、検索順位が上がってから、タイトルを修正するということもやっています。他には、とりたいキーワードのマトリクスを作成して、リスティング等と組み合わせて検索順位を上げたり。」

朽木氏
「本当によく見られてるんですね(笑)うちでも同様の施策を行っています。メディアの成果はいろいろな施策を組み合わせて上げていくことが重要ですよね。記事タイトルのチューニングもそうですが、外部対策や内部対策SEOを上げたり、写真のギャラリー機能やページネーションなどの施策で回遊率を上げたりすると、数字はかなり上がる。狙って数字を伸ばせるとなると、メディアの影響力ってなんだろうなと少し考えてしまいますね。」

クリエイター集団によるメディアとマーケター集団によるメディア

ーーー立ち上がりの経緯から、メディアを運営する目的も異なる2つのメディア。その違いはチームメンバーの構成にも影響を与えているようです。

ferret 飯高
「うちは最初から狙いが明確でメディアをスタートさせましたが、LIGはけっこうインバウンドで、ニーズや流れをつかみながら成長してきたんですね。」

朽木氏
「そうですね。試行錯誤を繰り返してきた結果、今起きているのは、LIG内にサイト制作者とライターはいるものの、全体像を描くプロがいないという状態。中にいるのはクリエイターだけになってしまっています。ferretは最初から明確なビジョンがあって、その達成のための施策を打ち続けてきているのですごいですよね。」

ferret 飯高
「うちはLIGの状況と逆で、コンテンツメーカーが不足しているんです。ferret立ち上げにあたり、ライターの役割を設けて、記事を書くようになったばかり。」

朽木氏
「クリエイターが運営しているメディアと、マーケターが運営しているメディアという感じですね。この対比は面白いな。」

ferret 飯高
「クリエイター中心と、マーケター中心だと多少チーム構成にも影響が出てそうですね。LIGブログはどういう体制で運営しているんですか?」

朽木氏
「LIGは、LIGブログの運営の他に、Web/IT人材に特化した求人メディア「Poole(プール)」を自社で運営していたり、外部のメディアの運営を請け負うなど編プロ機能も持っていたりします。コンテンツをたくさん作る必要があるので、コンテンツを作る人間を内製化しないといけません。最近ではライター専業の人材や、編集者を積極的に採用しています。」

Web/IT人材に特化した求人メディア「Poole(プール)」

ferret 飯高
「うちも内製化はしていますね。発信するコンテンツが、誰でも書けるというものではなく、マーケティングがわからないと書けないものがほとんどなので。外部に依頼することがあったとしても、ECやソーシャルメディアなど特定の専門家に寄稿をお願いするという形になっています。
ただ、ferretにとってコンテンツを発信することも重要なのですが、一番大事なことはどうやって会員になってもらうのか。この目標の達成に向けて、試行錯誤をしていかなければならないので、メンバーにはコンテンツを作る以外の部分にもコミットしてもらっています。」

それぞれのこれから

ーーー立ち上がりから現在に至るまでの経緯、何を目的にしてメディアを運営するかによって、違いが生まれるところと、共通するところがありました。異なった道を歩んできたメディアは、今後どういった方向に進んでいくのでしょうか。

朽木氏
「この先はそもそもの企業理念に立ち返り、“Life is Good”の概念を伝えるためのプラットフォームに近づいていくのかなと思います。“Life is Good”つまり人生は素晴らしいと思えるようにするためには、単純な話ではありますが、素晴らしいものを増やすか、素晴らしくないものを減らすかしかありません。
素晴らしいものを増やすのが、例えばいいWebサイトの紹介であったり、おもしろ企画であったり。素晴らしくないものを減らすのが、ライフハックだったり、ビジネスハックだったりするのだと思います。そういものを伝えていくためには、やはり幅広く扱っていくのがいいのかなと思って、他社のコンテンツなども自社ドメインに置いていく方向性で新しいメディアの形を考えていますね。」

ferret 飯高
「この先もこれまでと変わらず、「集客方法がわからない、コンバージョン施策がわからない」などといった、企業のWeb担当者がWebマーケティングに関することを知りたいと思った時に解決できるメディアを目指していきます。LIGがいろいろな形でユーザーにアプローチしていくのであれば、ferretはWebマーケティングのみでユーザーにアプローチします。
そして、我々には会員資産があるので、ここを活用してこれまでにないメディアのマネタイズをしていきたいと思っています。」

ーーー様々な会社で「オウンドメディア」が立ち上がっています。なんのために作られたメディアなのかによって、コンテンツの目的や運用体制、チームメンバーも変化してきます。自社でオウンドメディアを運用してみたいと考えている方は、この特徴的な2つのメディアを参考にしながら、自分たちに合うスタイルを考えてみてはいかがでしょうか。

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