昨今、デジタルマーケティング領域においてCRMという言葉をよく目にする、耳にする人も多いことでしょう。これから「CRMツール」の導入を検討している会社も少なくないかもしれません。

CRM」とは、「ITツール」のことを指す場合と、デジタルマーケティングにおける「考え方・戦略」を指す場合とがあります。この記事では、主に「考え方・戦略」の側面にフォーカスして解説していきます。

CRM導入に前向きではあるが、「高い買い物なので失敗したくない」といった理由から、決断に踏み切れない、あるいは、上司を説得できていない人に向けて、CRMを今、導入する必要性を時代背景に鑑みて改めて理解していきましょう。

そして、導入後にうまく軌道に乗せるためのポイント、失敗に陥らないために押さえておくべきポイントについてもお伝えします。

なぜ、今CRM活動が重要なのか?

CRM」とは「Customer Relationship Management」の略語です。直訳すると、「顧客との関係を管理する」といった意味合いになります。

中には、この「CRM活動」の専門部署を置いている企業も存在します。例えば大手EC事業者などで、「新規顧客獲得より、既存顧客のリピート購買を伸ばしたい」という目的を持って活動している例などが見られます。

なぜ昨今、「CRM活動」がそれほどまでに重要視されているのでしょうか?

新規顧客獲得に注力するより、「既存顧客囲い込み」が重要な時代である

例えば自社の直近の売上について、「売上の大部分を支えているのは、お客さんのうち何%の人たちですか?」と聞かれて、数値をパッと明言することはできるでしょうか。

上記のような問いに対する興味深い仮説があり、それはパレートの法則と呼ばれるものです。「パレートの法則」とは、「売上の80%を占める部分を、20%の顧客が支えている」という考え方で、「80対20の法則」とも呼ばれています。

これはあくまで「仮説」であり、これまでの社会におけるビジネスの歴史などから導き出された経験則として考えてください。しかし、自社の「売上額」「顧客の購買行動」を細かく分析していった場合、大まかには当てはまるとも言えるものです。

こういった、「自社の売上に関する数値」「自社の顧客の購買行動」といったものを「見える化」して、日頃から分析を行い、企業としての次の打ち手を客観的なデータに基づいて判断することこそが「CRM活動」なのです。

もし本当に数値面で、「自社の売上の80%を、20%のコアなお客さんが支えてくれている」ということが明らかになったら、その「20%のコアなファン」に対して日頃からもっとおもてなしをしたり、サービスを手厚くするなど、繰り返し買ってもらうための施策に注力するべきです。

「1人のお客さんが、一企業の商品・サービスについて生涯を通して何回繰り返して購入するか」ということをマーケティング用語でLTV(Life Time Valuie=顧客生涯価値)」と言います。

お客さんのLTVをどんどん上げて、自社の売上を支えてもらうためには、「20%のコアファン」を追いかけるほうが効率的だという見方もできます。残りの80%は「ファン度合いが浅い人」であり、こちらから頑張って追いかけても「すぐ離反するかもしれない、つまり、生涯を通して自社であまり買ってくれない人」だからです。

現代社会は「情報化社会」などと言われて久しいですが、特に近年はSNSやレビューサイトの影響で、一般消費者は溢れるほどの商品・サービス情報に日常的に触れています。

その観点からも、「すぐ他社に浮気する大多数の人」を追いかけるより、「自社の熱心なファンである少数の人」をさらに熱く育てること、つまり、「既存顧客の囲い込み」が重要性を増していると言えるのです。

その「囲い込むべき対象者」をまずは洗い出してリストアップすることが、CRM活動の第一の基本となります。

多様なニーズへの対応が必要な時代である

前述した仮説「パレートの法則」に沿って考えると、「20%のコアファン=自社と積極的に接点を持ちたい人」「80%の低関与顧客=自社と積極的に接点を持とうとは思っていない人」とも言えます。

現代の消費者ニーズは、多様化・細分化してきています。全員のお客さんに対して、一様に同じアプローチをかけることが正解とは言えませんし、効率的な顧客育成活動だとも言えません。

具体的に言えば、例えば以下のようなアプローチの仕方が考えられます。

20%のコアファンに対して

イベントやセミナー、工場見学招待など、他の消費者とは一線を画すようなVIPなおもてなしをして、自社に対する関与度・ファン度をますます熱くしていく

80%の低関与顧客に対して

メルマガやLINE、SNSなど、顧客の日常に自然に溶け込む形で、煩わしいと思われない程度を見定めて情報発信していき、接点を維持していく「CRM活動」を自社に導入することで、このように顧客を明確にセグメント化し、各顧客に対して細分化された最適なアプローチを行っていくことも可能になるのです。

客観的データに基づいた「打ち手」を繰り出すことに寄与

これまで述べてきたように、「CRM活動」では顧客一人一人の購買行動を可視化し、スコアリングし、明確にセグメント化することが可能になります。

それによって、「データ」という客観的な指標に基づいた「次の打ち手」を繰り出すことができるようになるのです。つまり、日々の営業活動が効率的になるという、プラスの効果が期待できます。

CRM活動」が自社内でうまく軌道に乗れば、たとえ営業部門に人手が少ない会社であっても、効率的な営業活動をアシストしてくれるものとなるのです。