ロングテールというWebマーケティング手法をご存知でしょうか。
大手インターネット通販サービスのAmazonもロングテールを用いて今の成功を手にしたことで、その手法が注目されるようになりました。
今回は、Webマーケティングにおける基礎戦略ともいえるロングテールを解説します。

目次

  1. ロングテールとは
  2. ロングテールの成功事例
  3. ロングテールの弱点
  4. ネット販売におけるロングテールSEO
  5. ロングテールが幻想という考え方も
  6. ロングテール戦略で利益を伸ばそう!

SEOにおいてのロングテールについての記事はこちら

ロングテールSEOとは?対策方法と考え方

ロングテールSEOとは?対策方法と考え方

地道ながら費用をかけずに検索順位の上位取得を狙えるロングテールSEOについて、わかりやすく解説します。

ロングテールとは

ロングテール(the long tail)とは、主にネットにおける販売においての現象で、売れ筋のメイン商品の売上よりも、あまり売れないニッチな商品群の売上合計が上回る現象のことです。

アメリカのWired誌編集長のクリス・アンダーソンが提唱したもので、「売れ筋商品」と「それ以外の商品」を軸に並べたとき、その売上の少ないほうの商品郡(テール)が、低く長く図示され恐竜のしっぽに、売れ筋商品が恐竜の頭に見えることから、ロングテール(長いしっぽ)と称されました。

ロングテールは2割の優良顧客だけを見ていた時代の終焉を意味していた

今まで、実店舗などの販売は、全体の2割ほどを占める売れ筋商品に注力する手法がとられていました。これはパレートの法則(別名 80:20の法則)と呼ばれる、「売上の8割は2割の優良顧客が生み出している」という考え方の元、2割の優良顧客を優遇するマーケティングが取られていました。

これは、人的リソースを全員に満遍なく割こうとすると、その分コミュニケーションコストが比例して上がっていくためです。万人に割いたとしても、売上のほとんど(8割)は2割の優良顧客がもたらすため、それであれば2割に集中しようという考えが元になっています。

参考:パレートの法則とは〜売上の8割を生み出す2割の重要顧客を見つけよう

ロングテールはコミュニケーションコストが0に近づくことで実現した

しかし、ロングテールは反対で、ほとんど動かないようないわゆる「死に筋商品」がその総合計としては、人気商品の売上に迫る、ということで注目されました。

インターネットでの販売の場合、仕組みを作ってしまえばコミュニケーションコストは限りなく0に近づきます。例えば、Amazonは商品の登録作業などは人の手が入っているでしょうが、売れるまで人がずっと付いている必要はありません。このためコストがほとんど掛からなくなったのです。月に1冊しか売れないような「死に筋商品」でも様々な種類を持っていれば、結果的に人気商品の売上を逆転してしまう。これがロングテールの考え方です。

ロングテールのメリット

ロングテールのメリットには3点挙げられます。

❶ 売り上げが安定すること

一つの商品に依存しているわけではなく、そこそこの人気の多くの商品によって支えられているために売り上げが安定します。
流行やブームといったものに左右されずに必ず売り上げを出し続けられる、ということが強みです。

❷ コストパフォーマンスがいいこと

導入に際し、在庫の仕入れ以外の初期費用がほとんどかかりません。サイトを作るコストのみで始めることができます。
さらに、ウェブを通して運営を行うために人的コストもほとんどかかりません。
もちろん、サイトの更新は売れ続けるために必要ですが、逆に言えばそのコストのみで長い間安定した売り上げを挙げ続けられます。
長期的に見てコストパフォーマンスがいいこともロングテール戦略の強みです。

❸ 不良在庫という概念がなくなる

全ての商品がウェブ上で商品として提示されており、売り上げをあげる可能性を内包しているために不良在庫という概念はなくなります。

ロングテールの成功事例

ロングテールの成功事例 Amazon

ロングテール戦略が注目されるきっかけとなったのが、米国大手通販サービスAmazonの成功です。彼らは圧倒的な種類の商品をホームページに掲載しました。そして、それら1つ1つは少数しか売れないものの、その総売上として莫大な売上を生み出したのです。

その秘密は、検索エンジンからのアクセスが圧倒的だったことにあります。

大手検索エンジンGoogleで、「site:ドメイン」と検索しますと、Googleに登録され検索対象となっている(インデックスされている)ページがわかります。

site:ドメイン名
例)site:ferret-plus.com

これが検索エンジンからホームページの入り口ということになります。当然、その入口は多ければ多いほどアクセスを呼び込める可能性が高まります。

これは、売り場面積という制約がほとんどないホームページならではの戦略として、大いに注目され、その後のWebマーケティングに大きな影響を与えました。

ロングテールの成功事例 Netflix

そもそも、ロングテールの提唱者のクリス・アンダーソンにロングテールという名前を使うように薦めたのはNetflixの創業者のリード・ヘイスティングスだったそう。

Netflixの強みは、そもそも在庫がないということ。
データを取り扱っているので商品を収納しておく倉庫がそもそも必要でなく、場所的な制約は一切ありません。
そのため、Netflixはマイナーな映画やテレビ番組まで取り扱うことができ、それによって集客力を高めました。

Netflixの仕組みでは、ランキングが5万位の商品でも売り上げをあげることが可能なのだそうです。

ロングテールの弱点

ネット通販でも、ロングテール戦略には致命的な弱点があります。それは通販である以上、テール商品の在庫は少数しかおけないというものです。ロングテール戦略は、たまに売れるロングテール商品が、多くの種類集まることで効果があるというものです。
たまにしか売れない商品で大量の在庫をかかえてしまったら、経営がパンクしてしまう可能性だってあります。

ロングテール商品を扱ったとしても、その在庫数はわずかしか確保できないということは、そこでヒット商品がでたとしても在庫がすぐにはけてしまいチャンスロスとなり、結果としてヒットになることが難しいということになります。つまり、それらをすぐに補充できる物流や仕組みがなければ、弱点はカバーできないということになります。

弱点を解消したリアル店舗 鹿児島のスーパー A-Z

近年、リアル店舗でもロングテール戦略で売上を伸ばす企業が出てきています。

鹿児島にあるスーパー「A-Z」は、東京ドーム6個分という広大な店舗面積に、ありとあらゆる商品を取りそろえ、周辺人口が減少するなか毎年増収を続けています。普通のスーパーの在庫量が数万点にも関わらず、A-Zの在庫数は37万点以上です。
リアル店舗でも、「売り場面積」という課題をクリアすれば、ロングテール戦略を実現できる事例といえます。

弱点を解消したリアル店舗 IKEA

IKEAは実店舗を持った販売形態ながら、ロングテール戦略で成功しています。
IKEAの成功の秘密は、おしゃれな家具を取り扱っており一度で家具の買い物を済ませられるために集客力が高く、郊外に店舗を構えられるというところにあります。

地価の安い郊外に倉庫と一体化した店舗を構えられるために店舗を巨大化しやすく、ロングテール戦略の条件が整えられているのです。

ネット販売におけるロングテールSEO

ネット販売において、ロングテールを実行するためには、検索エンジンで上位に表示されるページを大量にもつ、ロングテールSEOを実施する必要があります。そのためには以下の4点をおさえる必要があります。

  1. 検索エンジンの推奨するページ作り
  2. GoogleSearchConsoleにホームページを登録
  3. 定期的にページを増やす仕組みを作る
  4. 専門知識コンテンツを増やす

1.検索エンジンが推奨するページ作り

ページはただ作るだけでなく公開後、検索エンジンインデックスされることが重要です。
そのためにGoogleが奨めているのは、標準的な技術仕様にもとづいてページをつくることと、それらをより察知しやすくするために彼らの用意したWeb担当者向けのサービスGoogleSearchConsoleを活用することです。

参考:SEO対策とは〜初心者でも分かるSEOの基礎〜

2.GoogleSearchConsoleにホームページを登録

ホームページGoogleSearchConsoleに登録し、Googleが見つけやすいように準備をします。
参考:Google Search Console

具体的には上記のGoogle Search Consoleカリキュラムに記載しておりますが、ホームページ全体のページ一覧リスト(サイトマップファイル)をつくり、それをGoogleSearchConsoleに送信すればOKです。

こうすることで、あなたが立ち上げたホームページ検索エンジンに登録され、検索対象になる=インデックスされていきます。

Googleはこれらに関する情報は日々公開していますので、ぜひほかの情報も見ておきましょう。

<公式>SEOが必要なケース - GoogleSearchConsole ヘルプ
<公式>PageSpeed Insights ※ホームページ表示テスト・ツール

3.定期的にページを増やす仕組みを作る

さらに重要なのは、「ページを増やす=入り口を増やす」ことを仕組み化することです。GoogleSearchConsoleを活用しても、インデックス数=入り口が定期的に増えていかない状況で、競合がそれをうわまわるページ数を公開してきましたらリスクとなります。

具体的には、「スタッフでブログを書く、定期的に商品を追加する、関連情報を外部のライターをつかって情報追加する、イベントや派生商品の開発」などを定期化すると良いでしょう。

そして、ページが増えきてきましたら、前述の「site:ドメイン」検索で確認をし、つねにその施策が適切かどうかチェックしながら、ロングテール戦略を進めましょう。そうしますと、気づけば徐々に集客が増えていきます。

4.専門知識コンテンツを増やす

専門的な知識が必要なコンテンツの場合、素人の意見はあまり信頼されにくいものです。そのような場合は、専門家にインタビューし、実際に書いてもらうなどをしましょう。専門家が提供するコンテンツを増やしていくと、ユーザーからの信頼を獲得し、Googleからの評価も高めることができるでしょう。

ロングテールが幻想という考え方も

これまでのビジネスモデルの中では、ニッチな商品群で売上を狙う「ロングテール」が売上に大きく貢献すると言われてきました。しかし、近年は「ロングテールは幻想であり、実際に売り上げの多くを占めるのは、多額の資金や広告を投じたヒット商品(ブロックバスター)である」という意見が出てきています。う話もでてきました。

限られた在庫スペースしかないオフラインから、豊富な在庫を持てるオンラインへと変化したものの、テールは細長くなってしまい、ロングテールが売上に大きな貢献をするというアンダーソンの予測通りにはなっていないというデータも出ています。

ニールセンが集計した再生音楽の販売情報によると、2011年に音楽配信でダウンロードされたシングルトラックは800万曲あり(大多数がiTunesストアで、0.99ドルか1.29ドルで購入された)、そのうち94%にあたる750万曲は100ダウンロード未満で、32%、つまりおよそ3分の1がなんと1回しかダウンロードされなかった
(中略)
100万ダウンロードを記録した曲は102曲あり、販売総数の15%を占めた。その年にダウンロードされた800万曲のうちの0.001パーセント(決して入力ミスではない)が、販売総数のおよそ6分の1を生み出したことになる。
引用元:ロングテールは幻想!人気商品の独り勝ち | ハーバードで教えているメガヒットの法則 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

ブロックバスターとは

ブロックバスターとは、売れ筋商品やベストセラー商品を生み出すために、巨額の資金や広告に力を入れることを指します。いわゆる、「ハイリスクハイリターン」と言われる戦略です。しかし、近年はビックデータを活用することによる集中投資モデルが確立されてきました。

ビッグデータを活用することでヒット予測の精度が上がり、ブロックバスター戦略のリスクは低下傾向にあります。また、SNSの普及により、口コミが広がりやすくなり人気商品により人気が集まるようになりました。

それは、単にネット上の情報を細かく集めて、自分で分析することが面倒くさくなった結果だと言えます。簡単に言えば、「大多数の人が良いと言っているもの」=「私にとってもいいもの」という方程式を作っているのが、ブロックバスター戦略と言えます。

参考:時代はロングテールからブロックバスターへ。ハーバードで教えているメガヒットの法則 - 電通報

リスティング広告におけるロングテールキーワードの入札

ロングテールの考え方は、リスティング広告の入札にも応用できます。リスティング広告とは、ネットユーザーが特定のキーワードを検索したときに表示されるWeb広告です。リスティング広告はキーワードに対する入札方式なので、人気キーワードともなれば数多くのライバル企業より良い条件を提示しない限り、自社の広告を有利に表示することができません。しかも、人気キーワードの費用は高く、コスト面においても負担にもなります。

対して、ニッチなキーワードになると、そもそもライバルも少ないので、表示される確率が上がります。費用も安くすみますので、たくさん広告を出稿することもできるでしょう。ロングテールを狙ってニッチなキーワードを多く入札するか、人気キーワードに絞り込むかはリスティング広告における駆け引きの1つです。
リスティング広告のキーワードの決め方を書いた記事が他にもありますので参考にしてみてください。

リスティング広告のキーワードの決め方

ロングテール戦略で利益を伸ばそう!

最近ではSEOにおけるロングテール集客のことをロングテールSEOコンテンツSEOとも言います。
しっかりとロングテールを理解して、ニッチな商材だからといって情報を出さないのではなく大きな目線でWebサービスの戦略を決めていきましょう。

SEOにおいてのロングテールについての記事はこちら

ロングテールSEOとは?対策方法と考え方

ロングテールSEOとは?対策方法と考え方

地道ながら費用をかけずに検索順位の上位取得を狙えるロングテールSEOについて、わかりやすく解説します。

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