コロナ禍でビジネスの非対面化が進展する中、「Web接客ツール」に注目が集まっています。

Web接客ツールは従来は、BtoC領域のECサイトで多く活用されてきました。しかし昨今では、BtoB領域でも成功事例が見られるようになってきています。

この記事では、「Web接客ツール」を効果的に活用するためのポイントや、BtoCBtoB領域それぞれの導入成功事例をご紹介します。

▼Web接客ツールの施策事例を知りたい方へ

WEB接客ツールの施策事例(CODEMarketingCloud)

Web接客ツールの施策事例(CODEMarketingCloud)

Web接客ツール「CODEMarketingCloud」の施策事例をご紹介致します。

Web接客ツールがビジネスにもたらすインパクト

Web接客ツールとは、その名の通りWebサイト上でユーザーの行動に合わせたきめ細かな接客を行うためのツールです。従来はBtoC、特にECサイトでの導入が多く見られるものでした。しかし最近では、BtoBでの導入事例も増えつつあります。

なぜ、それほどまでにビジネスシーンにおいてWeb接客ツールへの注目が高まっているのでしょうか。

コロナ禍で「非対面」が増加 CX向上・Webサイトの収益性向上に関心が高まる

ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」は、コロナ禍における2020年7月~9月の間に、一般消費者のEC利用状況について調査を行いました。

その結果によると注文件数は「月平均66%増」、新規顧客は「2倍」に増えているというデータが明らかに。コロナ禍でステイホームが呼びかけられる状況が長期的に続き、非対面でのコミュニケーションが強く推奨されています。そんな中、人々の購買行動もECへどんどんシフトしていっていることがデータからも読み取れます。

また、一般消費者のEC利用に限らず、BtoBビジネスにおいても非対面の「Web商談」や「オンライン完結」といった側面が強く求められるようになってきています。

Web接客ツールは、自社サイトに導入することで顧客体験(CX=カスタマーエクスペリエンス)を向上させ、サイトの収益性を高めることに寄与してくれるツールです。コロナ禍という社会情勢も影響し、Web接客ツールの重要性に注目が高まってきているのです。

Web接客ツールで、例えばこんな顧客体験が可能になる

それでは、Web接客ツールを導入すると、具体的にどのような顧客体験を可能にしてくれるのでしょうか。ここからは、消費者視点で分かりやすい「BtoCの小売・アパレルECサイト」を例に見ていきましょう。

購入を悩んでいるユーザーにだけクーポンを表示

「クーポンを出すと売上が上がる」というお店でも、常時クーポンを出し続けるのはコスト負担が大きくなってしまうものです。

しかし、Web接客ツールを導入すれば「購入経験が少ないユーザー、かつ、一定数以上のページ閲覧など、モチベーションが高まっているユーザーに限定してクーポンを表示することが可能になります。

ユーザー行動に合わせてピンポイントで購入をひと押しすることで、コンバージョンにつなげることができ、クーポンの無駄打ちも回避できます。

身長などパーソナルデータを自然に取得し、コンバージョンアップ

例えばユーザーが「スタッフコーデ」を見ているときにアンケートフォームポップアップ表示し、身長などパーソナルデータを取得します。

このデータを利用して、コーデ提案やレコメンド表示などを行うことで、ユーザーはより自分に適したアイテムを選べるようになり、コンバージョンアップにつながります。

カーソルの動きで離脱を察知、レコメンド商品をポップアップ表示

PCのブラウザ上部にカーソルを当てたユーザーは今見ているタブを閉じたり、別のタブに遷移する可能性が高く、離脱しそうなユーザーと推察できます。

そのタイミングで、閲覧履歴に基づいたレコメンド商品や今売れている目玉商品など、ユーザーメリットの高いコンテンツポップアップ表示することも可能になります。これにより、離脱を防ぎ、サイト内回遊を促します。

買い物かごに商品を入れたまま離脱したユーザーに、1時間後にLINEで購入リマインド

ECでの「カゴ落ち対策」と言えば、メールでのコミュニケーションが主流です。しかし、メールはリアルタイムに見てもらえないことが多いのがデメリットです。

Web接客ツールの中には、LINE通知と連携できるプロダクトもあります。よりユーザーに見てもらいやすく、売上アップに寄与します。

お気に入り商品が値下がりしたタイミングでアプリプッシュ通知を配信、「買いそびれ」を防ぐ

Web・アプリ横断施策を投入できるWeb接客ツールも存在します。

例えば、顧客が「お気に入り」登録している商品が値下がりしたタイミングで、アプリ側でプッシュ通知を配信。最適なタイミングで顧客ニーズに合った情報を提供することは、コンバージョンにつながります。

Web接客 成功のポイント

前項で述べたような、効果的な顧客体験を成功させるためには、Web接客ツールを運用する中でいくつかのポイントを押さえる必要があります。

ペルソナを設定する

対面でのおもてなしであれば相手の姿が見えるため、年代や背格好、服装の好みなど、その場で視覚・会話などからさまざまな情報を得て、細やかな対応をできます。

一方、Web接客とは「姿の見えない相手に対して、適切で細やかなおもてなしをすること」です。

そのため、自社のWebサイトの典型的なユーザー像をなるべく鮮やかに描き出し、ユーザーに求められる接客モデルを構築することが大切です。

自社の典型的なユーザー像を描き出すことを、マーケティングの世界ではよく「ペルソナ設定」と言います。「ペルソナ」は、「ターゲット」とは異なるものです。

ターゲット例

30代女性

ペルソナ例

  • 都内で仕事をしている32歳の女性
  • DINKsか独身
  • よって、ややお金に余裕がある
  • ファッションやビューティーが大好きで、感度が高く、その領域に対する可処分所得が多め
  • 比較的単価の高いものにでもお金をかける傾向あり
  • セレクトショップが好き
  • 周りの人と一味違う、ちょっと尖ったひと癖あるファッションやヘアスタイルをしたい
  • 職業はクリエイティブ系など、「堅め・保守的ファッションの社会人」ではなく「自由で奇抜なファッションの社会人」

「ペルソナ設定」で注意すべき点は、担当者の思い込みで主観的に決めないことです。消費者へのヒアリングデータや、ブログ、SNS上での消費者のリアクションなど、なるべくデータに基づいて描き出すようにしましょう。

カスタマージャーニーを描く

「カスタマージャーニー」とは、直訳すると「顧客の旅」です。つまり、商品を認知し、Webサイトに辿り着き、購買行動に移る間の「思考」「感情」「行動」プロセスを指します

Web接客ツールによって効果的に購買行動を促すには、この「カスタマージャーニー」を描き出すことも重要です。「カスタマージャーニー」には以下4つのポイントがあります。

集客

自社商品やサービスの認知獲得フェーズ。
どうやって知ってもらい、自社サイトに来てもらうか(SNS、SEO、Web広告など)の施策を考える必要がある。

接客

実際にサイト内でコンテンツに触れてもらうフェーズ。
WEB接客の場合、「チャットボットでの問い合わせ対応」「おすすめ商品の表示」「クーポン」や「通知」の提示で「迷い」「買いそびれ」などを解消してあげる必要がある。

顧客化

ECなら購入完了のフェーズ。
接客の「ゴール」と言えるポイント。

追客

アフターサービスのフェーズ。
ECで購入履歴のあるユーザーにメルマガを送ったり、クーポン発行したりなどでリピート購買を促し、ロイヤルティを高める施策を行う。

シナリオを作る

Web接客ツールは、あらかじめ設定した条件に合致すると自動的に対応します。

どんな条件の人に、いつ、どのページで、どのタイミングで、どのようなクリエイティブを出すかを設定し、その条件にユーザーが合致した瞬間に接客が行われる、という仕組みです。

これをWeb接客ツールの「シナリオ」と言いますが、「カスタマージャーニー」のうち、特に「接客」「顧客化」「追客」のフェーズを鮮明に描いておくことで、Web接客でどのようなシナリオを展開すべきか具体的なヒントとなります。

キャンペーンを設定する

シナリオを描いたら、一つ一つのキャンペーンを設定していきましょう。Web接客ツールを活用して「誰に」「どこで」「いつ」「どのようにアプローチするか、という小目標です。

例えば、「購入したこととがない人」に、「トップページ」で「1ヶ月間、初めてのお客様限定クーポンを出す」といったことです。

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引用:小売・アパレル業界での具体的な KARTE の活用方法|KARTE

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WEB接客ツールの施策事例(CODEMarketingCloud)

Web接客ツールの施策事例(CODEMarketingCloud)

Web接客ツール「CODEMarketingCloud」の施策事例をご紹介致します。

Web接客ツール導入の成功事例

ここからは、Web接客ツール導入の成功事例をご紹介します。

BtoC領域

まずは、BtoCでの成功事例を見ていきましょう。

Web接客導入でリフトアップ率に大きな効果「ライトオン」

ジーンズショップ「ライトオン」では、公式ECでWeb接客ツールを導入しています。

「買い忘れ防止施策」「顧客行動に合わせたキャンペーン情報の出し分け」といった、EC施策としてはシンプルな施策を地道に積み重ねました。

顧客ニーズを汲み取って適切な提案をしていくことは、店舗の接客と同じだと捉えているそうです。その結果、Web接客をした人としなかった人とで、リフトアップ率(態度変容など)に大きく違いが生まれたと言います。

さらに、Web接客ツールによって顧客ニーズ・行動が鮮明になり、顔の見えないEC顧客の解像度が非常に高まりました。

参考:いつでもどこでもお客様一人ひとりに向き合うために。ライトオンがKARTEで積み重ねる改善とは|CX clip

Web接客ツールでOMO施策に成功「ヒマラヤ」

スポーツ用品店チェーン「ヒマラヤ」は、オンラインとオフラインをつなぐ施策実現のためにWeb接客ツールを導入。これまでアプローチできていなかった、「購買を迷っている層」に効果的なアプローチを行うことが可能になりました。

店頭の会員カードである「Ponta」の会員情報をWeb接客ツールに連携し、サイトの閲覧行動とも紐付け、自社サイトを閲覧しているものの購買に至っていない、商品の購入を迷っていると推察される顧客を抽出。

そして店舗セール前に、キャンペーン情報を掲載したハガキDMを送付。あえてDMを用いることで、メール配信NGにしている顧客へも情報を届けられるようにしました。

店舗キャンペーンの内容は前年と変更していないにも関わらず、DM経由の効果は前年比145%増を達成したそうです。条件を設定して細かくセグメントすることで、来店購入率が高く出ることを実感したといいます。

参考:閲覧履歴を元にDMを送付し前年比最大145%増の効果を実現。ヒマラヤが目指すオンラインとオフラインがシームレスに繫がる顧客体験とは|CX clip

Web接客ツールで顧客体験が向上「SBI証券」

ネット証券サービス「SBI証券」でもWeb接客ツールを導入しています。

抽選によって個人投資家に分配される「IPO株」に関して「なぜ自分は抽選対象外なのか」といった問い合わせが非常に多く寄せられていました。

そこで、Web接客ツールを活用し、ブラウザ上での顧客の動きを細かく見て、顧客に対して説明のポップアップ通知を表示するタイミングを最適化

顧客の9割が「ポップアップ通知が理解に役に立った」と回答し、顧客体験の向上につながったと言います。

参考:KARTE Liveを使ってポップアップを表示するタイミングを調節。お客様の満足度が向上し、クリック率もアップ|KARTE Live|CX clip

BtoB領域

昨今ではBtoC領域に限らず、BtoB領域でもWeb接客ツール導入の成功事例が見られるようになっています。

Web接客で、SaaSの利用定着を後押し「SmartHR」

クラウド人事労務ソフト「SmartHR(スマートHR)」でもWeb接客ツールを導入しています。

SaaS提供企業にとっては、導入側のオンボーディング(プロダクトの利用定着)がカスタマーサクセスのカギとなります。

そこで「SmartHR(スマートHR)」では、プロダクト内にWeb接客ツールを組み込み、人事担当者が実際に業務現場でどのように操作しているかを追跡・分析。機能の説明動画を適切なタイミングで表示させるなど、顧客体験の向上に寄与していると言います。

参考:セルフオンボーディングがカギ。SmartHRが目指すカスタマーサクセスの在り方|CX Clip

有料プランへのアップグレード率向上「STORES」

ネットショップ開設・運用サービス「STORES(ストアーズ)」でも、Web接客ツールを導入しています。

ネットショップを開設したショップオーナーは、設定や・運用の煩雑さから途中で挫折する方が少なくないそうです。そこでWeb接客ツールで利用者に寄り添ったサポートを提供し、プロダクトの定着につなげています。

利用者の管理画面上の行動に合わせてチュートリアルのポップアップ表示を出すなど、「STORES」に対する利用満足度を高めているそうです。

また「STORES」では、利用者のストア規模・ニーズに合わせて複数の料金プランを提供しています。その情報を、Web接客ツールを活用して管理画面上に表示させることで、有料プラン移行への向上にもつながっています。

参考:一人ひとりに寄り添うオンボーディングの実現に向けて。STORESがショップオーナー向け管理画面にKARTEを導入した理由|CX Clip

オウンドメディアのユーザー体験を向上「freee」

会計ソフト「freee」では、バックオフィスの基礎知識を発信するオウンドメディアにWeb接客ツールを導入。

Web接客ツールを使って記事内に、ユーザーに合った内容・タイミングでポップアップを出し、そこから効果的に自社プロダクト「freee」への問い合わせや資料請求につなげているそうです。

また、記事に対してアンケートのポップアップを出すなどして、記事を通して満足度が上がったかなど、アクセスログからは読み取りにくい定性データも取得

オウンドメディア上でのユーザー行動を分析して、興味深度のスコアリングを作り、ユーザーにとってより良い体験、より良いコンテンツを届けることに繋がっているそうです。

参考:freeeが最も大切にしているのはユーザーに満足してもらうこと。BtoBメディアにおける満足度向上のための取り組み|CX Clip

業種・シナリオ次第でさまざまな活用法がある

この記事では、Web接客ツールのBtoC領域、およびBtoB領域での活用事例を紹介してきました。

それぞれの業種において、ペルソナ、カスタマージャーニー、シナリオが異なれば、Web接客ツールとは実にさまざまな活用方法があることが伺えます。

何かと「非対面化」に注目が集まる昨今ですが、顔の見えない顧客に対して、体験を最適化し、向上させる手段として「Web接客ツール」を捉えてみましょう。

▼Web接客ツールの施策事例を知りたい方へ

WEB接客ツールの施策事例(CODEMarketingCloud)

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Web接客ツール「CODEMarketingCloud」の施策事例をご紹介致します。

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