Web担当者であれば、「コンバージョンレート(コンバージョン率、CVR)」という言葉を当たり前のように使われいるのではないでしょうか。
では、「リテンションレート」はどうでしょうか?

元々はマーケティング用語で、近年はスマホアプリKPIに設定される指標としてよく言及されています。
リテンションレート自体はスマホアプリに限らずあらゆるサービスに当てはまるうえ、事業を発展させていくための重要な要素です。

今回は、「リテンションレート」の基礎について解説します。

リテンション=維持すること

リテンション(Retention)とは、元々は「維持」や「記憶」、「保持」という意味で、リテンションレートをそのまま直訳すると「維持率」「記憶保持率」といった言葉になります。
マーケティング業界では、「既存顧客維持率」という意味合いで使われています。
実際は様々な要素を考慮して算出されるものですが、簡単な計算式で表すと以下のようになります。

リテンションレート(既存顧客維持率)=継続顧客数÷新規顧客数

例えば、新規顧客を100名獲得し、その内の80名が2ヶ月目も継続利用した場合、リテンションレートは80%となります。(実際にはほぼあり得ない数字ですが、例示として使用します。)
上記の計算式に当てはめると以下のようになります。

【リテンションレート80% 2ヶ月目の場合】
80(継続顧客数)÷100(新規顧客数)=0.8(リテンションレート)

逆に、離脱した顧客は20名なので、離脱率は20%です。
リテンションレート↔離脱率と覚えておきましょう。)

このサービスのリテンションレートが安定して80%を維持していると仮定した場合、3ヶ月目は80名の中から20%が離脱するため、80-16=64でリピーターは64名となります。

【リテンションレート80%3ヶ月目の場合】
64(継続顧客数)÷80(新規顧客数)=0.8(リテンションレート)

リテンションレートが50%だった場合は、2ヶ月目のリピーター数は50名、3ヶ月目は25名と、月を重ねるごとに大幅に減り幅が増えていきます。

【リテンションレート50% 2ヶ月目の場合】

50(継続顧客数)÷100(新規顧客数)=0.5(リテンションレート)

【リテンションレート50% 3ヶ月目の場合】

25(継続顧客数)÷50(新規顧客数)=0.5(リテンションレート)

リテンションレート向上は新規獲得と同じぐらい重要

新規顧客を獲得することはもちろん重要ですが、同様にリピーターを確保することも重要です。

  • 広告費を抑えて売上をあげたい
  • サービス運営を安定させたい

上記のようにお考えであれば、リテンションレート向上施策を重点的に行いましょう。
一度購入したお客様が、何かしらの理由をきっかけにリピーターになっていただければ、広告費をかけなくても安定した売上を確保できます。

リテンションレートを高めるためには?

お客様を離脱させないためには、なにより満足していただくことが第一です。
満足度を上げるために考慮するべきポイントは無数にあります。

  • 自社商サービスの品質は問題ないか
  • ターゲティングは適切か
  • お客様のストレスになるようなポイントはないか(探しづらい、入力しづらい)
  • 顧客対応は万全か
    etc…

ポイントを挙げればキリがありませんが、ファーストビューからボディコピー、入力フォーム、サービス提供時(商品到着時)、アフターサービスまで、お客様と接する全てのポイントに気を配り、離脱の原因となるものを1つずつ潰していきましょう。

リテンションレート施策の事例

多くの企業がリテンションレート向上に取り組んでいます。
他社の成功事例・失敗事例を知ることで自社の施策を洗練できます。施策に取り組む前にまずは他社事例をチェックしてみましょう。

使えば使うほど得をする&楽しみが増す楽天のリテンションアップ施策

また買ってしまった。ユーザーに商品購入を促す、楽天市場の仕組とは!?_~リテンションを高めるゲーミフィケーション要素活用事例~___gamification.jp.png
また買ってしまった。ユーザーに商品購入を促す、楽天市場の仕組とは!? ~リテンションを高めるゲーミフィケーション要素活用事例~

国内最大級のネットショッププラットフォーム「楽天市場」は、独自のリテンションレート向上施策が実施されています。
購入すればするほど特典が充実する「ランク」制度や「お買い物マラソン」など、ゲーム感覚でサービスを楽しめる仕掛け(ゲーミフィケーション)が豊富に盛り込まれています。

リテンションレートが下がるポイントはやはり「不快感」

アプリのリテンションレートを下げる16の失敗___Growth_Hack_Journal.png
アプリのリテンションレートを下げる16の失敗 | Growth Hack Journal

スマホアプリ領域でも、リテンションレートは重要なKPIです。スマホアプリはDL数が重視されがちですが、本来はアプリを継続して利用いただけるかが最も重要です。
しかし、DLされたアプリのうち約7割が二度と起動されないまま放置されていると調査結果が出ています。皆さまも、興味を惹かれてDLしたものの、なんとなく使わなくなってしまったアプリが無数にあるのではないでしょうか。

入れ替わりの激しいスマホアプリはただでさえリテンションを維持することが難しい分野ですが、離脱を促してしまうような要素が盛り込まれている場合はさらに厳しいでしょう。
こちらの記事では、リテンションを下げる要因をご紹介しています。
紹介されている全ての項目に「ユーザーに不快感を与える要素」が含まれています。

まとめ

事業者であれば、「リピーターを増やさなければいけない」という意識は持っているものです。
しかし、リテンションレートを意識し、維持または向上させるための施策を行えている方は少ないのではないでしょうか。

まずは、自社のこれまでの新規/リピーターの割合を調べ、リテンションレート/離脱率を把握してみましょう。
リテンションレートがあまりにも低い場合、「お客様は何かしらの興味を持って購入していただいたにも関わらず、リピートすることはなかった」ということです。

つまり、その原因を取り除けば再び購入していただける可能性があるということです。
ひたすら新規顧客を追うよりも、買わない原因が明確な既存顧客向けの対策を講じるほうが効率的な場合もあります。

もちろん、商材によってリテンションレートは異なりますので。まず改善の余地があるかどうかだけでも調べることをオススメします。

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