デザインやクリエイティブな業務をこなす上で欠かすことができないのが、PhotoshopやIllustratorをはじめとするAdobe社(アドビシステムズ)のソフトウェア
2012年5月には月額課金制のサブスクリプション(定期課金)プランCreative Cloudもスタートし、単体のソフトウェアを個別に契約できるほか、コンプリートプランを契約することで全てのソフトウェアを利用できるようになります。

しかし、単体利用するよりもお得だからとコンプリートプランを利用していても、ソフトウェアが多すぎて一体何のためのソフトかわからず、ほとんどのソフトを利用していない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、たくさんあるAdobe社製の製品を、特によく使うソフトウェアに絞って用途別に徹底解説していきます。

Creative Cloudとは

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それぞれの製品の解説をする前に、Creative Cloudについて触れておきましょう。

Creative Cloud(通称CC)は、Adobe社が開発している、動画や画像編集、Webデザインなどのアプリケーションソフトウェアをサブスクリプション(定期課金)方式で利用できるプランです。

今まではCreative Suite(通称CS)と呼ばれるパッケージやダウンロード方式で販売するシリーズが一般的でしたが、2012年に始まるCreative Cloudの登場によって、ユーザーは常に最新のソフトウェアを利用することができるようになりました。

従来の買い切りのCSシリーズは高価だったため、初心者には手が届きにくかったようです。ところが、Creative Cloudでは、年間契約の他に月額課金制も採用し、より安価で高機能なソフトウェアを初心者でも気軽に利用することができるようになりました。

冒頭にも述べたように、Creative Cloudには、それぞれのソフトウェアを個別に契約・定期課金する「単体プラン」のほか、写真編集に特化した「フォトプラン」(旧フォトグラフィープラン)、全てのソフトウェアが利用可能な「コンプリートプラン」が提供されています。それに加え、学生や教職員には学割も用意されています。

コンプリートプランでは、20種類ものソフトウェアのほか、クラウドストレージやTypeKit(Webフォントサービス)のようなクラウドサービスも全て利用することができます。さらに、iPhoneやAndroidで作動する14種類ものモバイルアプリケーションも合わせれば、本当に様々なものを作ることができます。

それでは、Creative Cloudにはどんなソフトが用意されているのでしょうか。

ここからは、用途・ジャンル別に、ソフトウェアの概要や機能を徹底解説していきます。

写真編集

1.Photoshop (フォトショップ)

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Adobe Photoshop CC(通称Photoshop)は、おもに写真編集(フォトレタッチ)を行う、ビットマップ画像編集ソフトです。様々なフィルタやプラグインを追加することによって機能を拡張することもできます。

Photoshopが選ばれる理由はいくつもあります。
例えば、切り抜き機能を使って自然な画像合成が行えます。また、文字を追加して、レイアウトソフト並みに詳細な設定を施し、ドロップシャドウや縁取りといった効果を簡単につけることもできます。写真から余計なものを削除して、何もなかったかのように加工したり、あるいは別の場所に移動させて、あたかもそこにもともとあったかのように見せることもできます。こうした機能が、簡単に行えるのが、Photoshopの魅力です。

しかしながら、Photoshopは、高機能かつ汎用性があるため、写真編集以外での用途で使われることもあります。
例えば、Webデザイナーはレイヤーやグリッドツールを活用してホームページのモックアップ(本物そっくりの設計図)を作ったり、クリエイターは白いカンバスに水彩画や油絵のように重ねて描くレタッチを行ったりします。

Photoshopは、単体プランやコンプリートプランのほか、次に紹介するLightroomと合わせて利用できるフォトプランにも同梱されています。

2. Lightroom (ライトルーム)

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Adobe Photoshop Lightroom(通称Lightroom)は、写真編集および写真の管理を行うソフトウェアです。主に写真(特にRAW画像と呼ばれる未現像データ)の現像や補正、写真の管理、本やスライドショーの作成などを行います。

Lightroomはまだまだ使っている人は少ないかもしれませんが、初心者にこそ使って欲しい機能が満載です。なぜなら、Photoshop以上に簡単かつ綺麗に写真の見栄えをよくしてくれるからです。

Lightroomでは、ソースパネルと呼ばれるウィンドウで写真を読み込んだあと、「コレクション」と呼ばれる、フォトアルバムのように写真をまとめる場所で写真を管理していきます。「コレクション」に追加した写真は、iPhoneやAndroidにダウンロードしたモバイル版「Lightroom」にも同期されます。もちろん、スマートフォンから写真を追加して、パソコンで編集することもできます。

写真を追加した後は、現像モジュールに切り替えて、トーンカーブや色温度、明るさやコントラストの調整を行います。これだけでも、かなり見栄えのよい、思いどおりの雰囲気を出す写真になります。

Lightroomは写真の切り抜きなどの高度な編集機能は持ち合わせていませんが、簡単に写真を美しく見せることができます。コレクションで写真アルバムを作り、iPadやApple TVなどで大画面で写真を確認することもできます。撮った写真をLightroomにアップロードする習慣を身につけてみませんか。

グラフィックとパブリッシング

3. Illustrator (イラストレーター)

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Adobe Illustrator CC(通称Illustrator)は、ベクターイメージ編集ソフトです。

Photoshopが1ドット単位で編集するビットマップ編集を行うソフト(ラスタ編集方式)なのに対して、Illustratorはベクターと呼ばれる座標・色彩を持つデータを編集するソフト(ベクター編集方式)です。ビットマップでは画像を拡大すると粗くなってしまいますが、ベクターデータでは、拡大しても座標の再計算を行うだけでいいので、画像が粗くなりません。

こうしたことから、Illustratorは、名刺やWebサイトのロゴの作成、Tシャツに載せるイラストの作成、ポスターデザイン、写真やグラフの作成などに利用されます。特に会社の顔となるコーポレートロゴの場合、様々な媒体に掲載されるので、大きな看板や雑誌などに印刷する準備をするために、ベクターデータでの作成が推奨されます。

Illustratorは、実際にはPhotoshopと連携して一緒に使うことも多く、ほとんどの機能をシームレスに利用することができます。さらに、簡単なアニメーションを作成したり、LINEのスタンプ作成のための使用することもできます。Adobe Capture CCと呼ばれるモバイルアプリでタイポグラフィの写真などを取れば、ベクターデータに変換してIllustratorに送ることも可能です。

4. InDesign (インデザイン)

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InDesign CC(通称InDesign)は、DTPソフトウェアです。DTP(Desktop Publishing=卓上出版)とは、書籍や新聞などのレイアウト編集をパソコン上で行うことで、InDesignではそうした印刷物のレイアウトを自在に組むことができます。

Illustratorでもチラシの作成などで長文テキストの流し込みは可能ですが、InDesignでは複数ページを持つ印刷物のレイアウトに適しています。そのため、段抜きの脚注や目次の作成なども簡単に行うことができます。

InDesignはCreative Cloudのクラウドサービスとも非常に相性が良く、フォントライブラリのTypeKit、6,000万点以上のロイヤリティフリー画像を持つフォトライブラリのAdobe Stockと組み合わせることで、好みのフォントや写真を簡単に探して挿入することもできます。Adobe Comp CCを使えば、外出先でカンプ(印刷の仕上がり見本)データを作成し、仕上げをInDesignで行うことも可能です。

5. Acrobat (アクロバット)

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Adobe Acrobat DC(通称Acrobat)は、PDFの編集や閲覧を行うためのソフトウェアです。

PDFはデバイスや環境に依存することなく、どんな場面でも同じように見えるのが特徴のファイル形式です。そのため、PDFを開くと「閲覧モード」として資料を確認することができます。Acrobatでは、PDFの閲覧はもちろん、編集や注釈の追加、デジタル署名をすることもできます。

映像・音声編集

6. After Effects (アフターエフェクツ)

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Adobe After Effects CC(通称After Effects)は、映像のデジタル合成やモーショングラフィックス、タイトル制作などを目的としたソフトウェアです。基本は2Dでの映像編集を行いますが、3D空間データの編集も可能で、カメラやライトも3D空間上で移動・編集することもできます。

ブルーシート上の背景で撮影して動いているものを合成するクロマキーを実現する「キーイングエフェキト」、Photoshopのような本格的な「ペイントエフェクト」、タイトルをデザインし動かす「タイトルエフェクト」など、After Effectsでは豊富な機能が揃っています。また、プラグインも豊富に用意されており、これらを活用することで機能を拡張することもできます。

7. Premiere (プレミアー)

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Adobe Premiere Pro(通称Premiere)は、映画やテレビからWebまで、あらゆる目的に対応した映像編集ソフトです。After Effectsが比較的短い映像パーツを作っていくのに向いているのに対して、Premiereはそうした素材を一つの映像作品にまとめ上げるのに使われます。

PremiereはVR(バーチャルリアリティ)から8K(スーパーハイビジョン)の編集まで、あらゆる形式での編集に対応しています。それに加え、映像パーツを作るPremiereや音声編集を行うAuditionとの連携もシームレスに行うことができます。

8. Auditon (オーディション)

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Adobe Audition CC(通称Audition)は、音声編集をするためのソフトウェアです。ビデオや映像の音声編集だけではなく、効果音の作成やノイズ除去、音声の合成などの細かい作業も行うことができます。

9. Animate (アニメート)

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Adobe Animate CC(通称アニメート)は、ベクターデータのアニメーション作成ツールです。

2Dキャラクターのアニメーションはもちろん、仮装カメラを使ったズームやパン(カメラ移動)も行うことができます。また、HTML5 Camvasへのエクスポートにも対応しているので、比較的軽量なデータでホームページにアニメを掲載することも可能です。

Web制作

10. Dreamweaver (ドリームウィーバー)

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Adobe Dreamweaver CC(通称Dreamweaver)は、Webオーサリングソフト(HTMLCSS・JavaScriptなどを統合して編集するソフト)です。先日のバージョンアップでインターフェイスが新しくなり、コーディングエンジンが刷新され、ますます使いやすくなりました。

コードエディターでは、入力途中にこれから打とうとしている文字を入力補助してくれるコードヒントが付属しています。また、SassやLess、EmmetといったCSSコンプレッサー(関数などが使えるCSSフレームワーク)をサポートし、リアルタイムでエラーを検出します。ブラウザ表示を確認しなくてもリアルタイムプレビュー機能がついているので、すぐにレイアウトやデザインを確認できます。もちろんレスポンシブデザインにも対応しています。

11. Muse (ミューズ)

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Adobe Muse CC(通称Muse)は、コードを一切入力せずにホームページ制作ができるソフトウェアです。Dreamweaverがある程度コーディングに知識がある人の使用を想定しているのに対して、MuseはHTMLCSSに詳しくない人でも直感的に扱うことができます。

Museでは、レスポンシブなレイアウトにするか、固定幅のデザインにするかの選択や、カラム数をいくつにするかなどの簡単な設定をするだけで、ホームページの作成を始めることができます。はじめにマスターページレイアウトを作成すれば、のこりのページは微修正で編集するだけです。

Power Pointの操作に慣れている人であれば、Museを使えば同じような感覚でホームページを作成することができます。フォームの配置やjQueryプラグインの設置なども直感的に行うことが可能です。

12. Experience Design (エクスペリエンスデザイン)

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Adobe Experience Design CC(通称Experience Design、XD)は、モバイルサイトやモバイルアプリUIデザイン、プロトタイプの作成などを行うUXデザインツールです。現在はベータ版としてリリースされており、Creative Cloudのメンバーシップを持っていない人でもダウンロードすることができます。現在は、MaxOS版のみリリースされています。

Experience Designではインタラクティブなプロトタイプを作成することができます。これまで、モバイルサイトやモバイルアプリのデザインはPhotoshopやIllustratorで行なっていたデザイナーがほとんどでしたが、Experience Designの登場によって、ページ遷移やアニメーションも含めたUXデザインを行うことが可能になりました。

モバイルアプリ

13. Capture (キャプチャー)

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Adobe Capture CC(通称Capture)は、スマホで撮影した写真からカラーテーマ、ベクターシェイプ、ブラシなどを簡単に作成するパーツ編集ツールです。PhotoshopやIllustratorなどに同期させてすぐに活用できます。

14. Illustrator Draw (ドロー)

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Adobe Illustrator Draw(通称Draw)は、なめらかで美しいベクターアートワークをモバイルデバイスで自由に作成できるアプリです。ひらめいたその瞬間を逃さず、すぐに描き始められます。

15. Comp (カンプ)

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Adobe Comp CC(通称Comp)は、iPhoneやiPadで印刷物やWebサイトレイアウトを手描き感覚で作成できるアプリです。PhotoshopやIllustratorなどに直接送って仕上げることができます。

16. Photoshop Mix (ミックス) / Photoshop Fix (フィックス) / Photoshop Sketch (スケッチ)

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Photoshopのモバイルアプリでは、痒いところに手が届きそうな3種類のモバイルアプリが用意されています。Mixでは、切り抜きや合成で画像を簡単に編集することができます。Fixでは、画像のゆがみや明るさを簡単に修正することができます。Sketchでは、鉛筆、ペン、マーカー、水彩ブラシといった手描き感覚の描画ツールで描いた作品をPhotoshopに送ることが可能です。

17. Premiere Clip (クリップ)

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Adobe Premiere Clip(通称Clip)では、モバイルデバイスで簡単に動画編集を行うことができます。タイトル、トランジション、スローモーションなどの効果も豊富で、明るさを調整してパーフェクトな映像に仕上げます。

まとめ

全てのアプリケーションを紹介することはできませんでしたが、クリエイティブな作品を作るために使用する可能性の高いソフトウェアを中心に紹介していきました。それぞれ何をするためのソフトウェアなのかしっかりと理解することで、自分の目的に沿ったソフトウェアがきっと見つかるはずです。

また、ほとんどのソフトウェアは、30日間無料で試用することができます。今回紹介した中で使ってみたいものがあれば、一度体験してみるといいかもしれません。