スマートフォンやSNSの普及により動画市場は一気に拡大し、広告手法の主流と言っても過言ではなくなってきました。
また、企業からの発信だけではなく、ユーザー自身の動画の発信も非常に増えています。

サイバーエージェントが発表している市場予測に記載があるように、今後の市場拡大は間違いないと言われています。

今回は動画市場拡大に大きな影響を生み出した口コミという視点から、どのように企業として取り組んでいくべきなのか、についてご紹介します。
  
参考:
サイバーエージェント、国内動画広告の市場調査を実施
(※このWebページは2023年7月現在公開されていないためURL削除しました)
  

動画広告の分類

動画広告を大きく分類すると「制作」と「配信」という2つにわけることができます。

企業の担当としてはどんなコンテンツを製作し(CMなども含まれる)、どんな面に配信することで顧客にリーチし、態度変容を起こせるかが重要です。また、制作と配信をセットにしている、分散型動画メディアやビデオリリースなども昨年頃から一気に伸びてきているトレンドの1つです。

動画広告市場が伸びることにより、コンテンツが多種多様化し動画制作と一言で表すことが難しくなり、そのコンテンツを最適な面に配信するためのメディアプランニングの方法も、日々PDCAを回すことで大きく変化してきています。
  
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動画広告で口コミという反応を生むには

様々な動画の種類が生まれていく中で、口コミが生まれる動画とはどんなものでしょうか。

商品紹介動画やバイラルムービー、HOW TO動画など動画を活用した商品の見せ方は様々ですが、「口コミ×動画」で重要なポイントは余白を作ることです。
※余白=反応するポイント

例えば、料理のレシピ動画(HOW TO)を閲覧しているシーンを想像してください。
ユーザーの興味はレシピの内容です。あくまでそのレシピ作り方に興味があり、そこには口コミの余白は生まれにくいと考えられます。でき上がった後に"作りました"という口コミが生まれる可能性はありますが、その動画そのものに対しての口コミには発生しにくいと言えます。

また、同じ料理系の動画でも、オシャレ鍋パーティーの動画だったらどうでしょうか。こちらは先ほどと違って余白を作ることが可能なパターンです。
その理由は、鍋パーティーの動画を作る際、鍋の作り方はもちろんですが、そのパーティーの部分に焦点を当てて“自分もやりたい”という余白を作ることができた場合に、ユーザーは自分のSNSにシェアを行い、鍋パーティーの呼びかけを行う可能性があるからです。

もちろん、鍋パーティーの方が面白さという意味でシェアも起こる可能性もありますが、広告主の目的はあくまで商品やサービスを広めることなので、「オシャレ鍋パーティーには◎◎という商品を使った鍋がオススメ」ということが拡がることで商品購買に近い部分でコミュニケーションがとれるはずです。

ここでポイントをおさらいすると、動画はあくまで手法の一つでしか過ぎず、本質とズレることなく余白を作ることが最も重要だということになります。
  
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真似するという新しい反応

先ほどはユーザーの反応の中でも「シェア」というアクションにフォーカスしましたが、今度は「ショートムービー」についてご紹介します。

今、ショートムービーが一般化されてくることによって、新しいユーザーの反応が生まれています。
ショートムービーは、動画を閲覧後、それを真似するという反応です。最近でも"PPAP"や"恋ダンス"など、1つの動画を多くの方が真似して、その動画を発信するという流れが生まれています。これはユーザーが扱うメディアが単純なテキストや画像の共有だけではなく、動画を発信することで起こるコミュニケーションをメインとする「MixChannel」や「Vine」などのメディアが登場したことに影響しています。

ここで重要なのは、"誰が始めたのか"と"その人にマッチしているか"という点です。もちろんコンテンツが洗礼されていることも大切な要素ですが、自分の好きな人がやっていること、それがその人とマッチしていることで真似する土台が完成です。

ちなみに、昨年流行した恋ダンスはまさにその典型で、あのダンスを違う方が初めにやったと仮定するとあそこまでトレンドにならなかったかはずです。
  

リアルタイムという新しいアプローチ

誰でも動画を撮影して無料でLIVE配信できるサービス「ツイキャス」や「LINE LIVE」、インスタグラムなど、様々なプラットフォームで簡単にユーザーが動画を配信することが可能になってきています。

今までは、リアルタイムで配信される映像を視聴しながらコメントやアンケートを楽しむことのできるネットライブサービス「ニコ生(ニコニコ生放送)」のように一部の特化した方が発信する場であった生中継が、デバイスの変化により簡単にスマートフォンで誰でも配信できるようになりました。

リアルの場と口コミは相性がよく、同様に生中継と口コミの相性は抜群です。ユーザーの反応に合わせてコンテンツを切り替えたり、ユーザーに呼びかけたり、投稿に反応したりと、多く方と同時にコミュニケーションができ、すぐにその反応がわかるので有効な広告アプローチ手法になります。

もちろん生中継なので、思わぬトラブルが起こるという企業側のリスクはありますが、企業が今後取り組むべき手法の1つになるはずです。
  
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まとめ

今回は急激に市場が拡大している動画に取り組む際に、口コミを巻き込むことでより効果的なアプローチができるという観点でお話してきました。

同じように見える動画でも、どのようなコンテンツをどの面に掲載させるかで大きく反応が違ってきます。その反応をより促進するために、口コミというユーザーの反応の力を借りることはもはや必須です。

また、その反応の種類も多種多様化してきていますので、今一度動画を作る際に、動画を制作することが目的になることがないようにしましょう。なぜ動画を作るのかを考え、その先のユーザーに対してどのような反応を起こしたいのか考えるとより良い動画施策になるはずです。