ソーシャルメディアで情報発信をする重要性は、日々増しています。
Google検索エンジンが被リンクの数よりもホームページの内容を重視するようになったのと同様に、ソーシャルメディアでの情報発信も単純に行えばよいということではなく、情報発信の時間帯や内容など、さまざまなことを戦略的に考える必要が出てきました。

そして、バイラル効果をさらに高めていくためには、既存のやり方をアップデートする必要があります

今回は、2017年に取り入れるべきソーシャルメディアマーケティングの5つの戦略をご紹介します。
単なる情報発信ではなく、コンバージョン率にコミットした戦略を、ソーシャルメディアでも取り入れていくべきです。

1. チャットボットによるカスタマーインタラクションの自動化

FacebookではデベロッパーツールとAPIを使うことでチャットボットを作成することができます。
チャットボットには人工知能(AI)を用いてユーザーと情報をやりとりするパターンと、言語解析によってあらかじめ用意した回答を提示する方法があります。
ホームページを訪れるユーザーはインタラクションを望んでいるので、チャットボットを利用するのはエンゲージメント率を上げる手段としては非常に有効です。

現在、10,000を超えるチャットボットがフェイスブック上で稼働しており、さまざまなブランドがカスタマーとのやりとりを自動化しています。
そして、チャットボットを使う最大のメリットは、音声や動画、画像などのリッチメディアを簡単に扱える点です。
リッチメディアを効果的に使うことが、エンゲージメント率向上の鍵となります。

チャットボットによる恩恵を受けるのは、果たしてどんなジャンルのサイトやサービスなのでしょうか。

通販サイトはその典型的な例です。
通販なら、直接カスタマーとやりとりして商品を直接注文できるからです。
従来、何かを注文したいときには、欲しい商品を直接検索をしてから買わなければいけませんでした。
ところが、チャットボットの力を借りることでカスタマーは音声入力で検索することもできるようになり、直接チャット上で商品を注文することができるようになったのです。

また、チャットボットによって、個々にカスタマイズされた回答を提供することができます
何かのサービスを提供したり何かを販売しているのであれば、カスタマーが普段抱えている悩みを理解し、コンバージョン率を上げる方法でやりとりを行うことが重要です。
もっといえば、チャットボットをうまく活用することができれば、ソーシャルデータを収集することができ、ユーザーをセグメント化して特定のマーケティングキャンペーンに特化した形でターゲットを絞ることができます。

LINEやFacebookメッセンジャーのおかげで、電話よりもテキストメッセージでやりとりするほうが多くなったというひとも多いのではないでしょうか。
チャットボットは普段から使い慣れているツールを使い、そしてユーザーが構築してきたネットワークに入り込んできます。
チャットボットを活用することが、ソーシャルメディアマーケティングの鍵になりそうです。

参考:
2016年はチャットボット元年?今知りたい「チャットボット」の基本的な仕組みと4つの事例を紹介

2. ソーシャルメディアアナリティクスツールの活用

ホームページの世界では、データを可視化してマーケティングを行うのにWeb担当者が使っているのは、ほとんどがGoogle アナリティクスです。
Google アナリティクスは正確なセグメントでソーシャルメディアのユーザーも見える化するので素晴らしいツールですが、もしかしたらもっとデータが欲しいというのが本音ではないでしょうか。

ソーシャルメディア分析を個別に行なってデータを収集し、よりターゲットにあったフォロワーを獲得するのは大切なことです。
そこで、各SNSで利用することができるアナリティクスツールを利用してみましょう。
ソーシャルメディアアナリティクスツールには、例えば以下のようなものがあります。

Facebookページインサイト

Facebookページインサイトを使えば、性別や年齢、興味関心や住所、未婚・既婚など、より詳細な情報を絞り込んで分析することができます。
また、リーチ(投稿を見た人数)、いいね数、シェア、コメントの数を確認することができ、どのような投稿が最も高い効果を見せているのかを簡単に分析することができます。

twitterアナリティクス

twitterを使って自動ツイートを利用している人も多いでしょう。
この場合、内容や投稿のタイミングによって、エンゲージメント率を高めることができます。
また、twitterアナリティクスを使うことで、ツイートのインプレッション(投稿を見た人数)、メンション数、フォロワー数、地域などを詳細に分析することができます。

YouTubeアナリティクス

YouTubeでも、ビデオの視聴パフォーマンスを測定するためにアナリティクスツールが用意されています。
パフォーマンス(視聴時間・視聴回数など)、エンゲージメント(いいね数・コメント数・シェア数・お気に入り数)を分析することで、動画のマーケティング的な側面を確認することができます。
また、カスタムダッシュボード機能もあるので、常に必要な指標を確認することができ、APIを使うことで複雑なレポーティングデータを自動で吐き出す設定にすることも可能です。

3. 360度動画の活用

YouTubeやFacebookのようなプラットフォームでは、すでに360度動画を視聴・閲覧することができます。
しかし、問題なのは、360度動画をどのように活用することができるか、という点です。
360度動画に何らかのテーマ性を持たせることができれば、企業のブランドメッセージを伝える効果的なツールにもなりえます。

360度動画を投稿すれば、ユーザーは同時にあらゆる方向を見ることができます。
重要なのは、*「どんな場面を見せるか」*ということです。

例えば、インドの通販サイト「flipkart」では、「Big Billion Day」というセールをFacebook上に360度動画で公開しました。
これは、単なる動画ではなく、割引オファーが示されている広告を見つけるというゲーム性を帯びていたので、またたくまにSNS上で拡散されました。

360度動画は、RICOHのTHETA(シータ)シリーズなど、360度写真・動画専用のカメラを購入すれば簡単に撮影することができます。
Facebookでは動画を投稿する前に詳細説明タブで*「この動画は360°フォーマットで撮影されています」*という文言の横にあるチェックボックスをチェックすればOKです。
アップロード制限があり、最長30分・最大サイズ5GBまでなので注意してください。
また、360度動画を使って投稿を宣伝することもできるので、マーケティング次第ではたくさん拡散される可能性もあります。

4. ライブ動画の活用

360度動画と同様、ライブ動画配信を行うこともエンゲージメントを高める上で無視できない施策でしょう。
2016年のSocial Media Examinerの調査によれば、Webマーケターの14%がライブ動画配信を経験したことがありますが、一方でWyzowlの調査では、43%のWebマーケターが自らライブ動画配信を行なってみたい、というデータがあります。

参考:
https://blog.hubspot.com/marketing/social-media-predictions-2017

すでに2015年12月からLINE LIVEが始まっていますが、FacebookライブやPeriscopeに加えて、InstagramやTwitterもそれぞれ2016年11月・12月には動画のストリーミング配信を始めました。
そして2017年には、ますます多くのユーザーが、ライブ動画に触れる機会が多くなると考えられます。

そして360度動画と同じように問題になるのは、一体何のコンテンツをライブ配信するのか、ということです。
多くのブランドは、イベントや新製品発表、インタビューや対談、セミナーなどでライブ動画配信を活用しています。
今後は、ドローンによるライブ撮影やGoProのようなアクションカムを使ったライブ動画配信も多くなりそうです。

参考:
Facebookでライブ配信をしよう!ライブブロードキャストの手順を解説

5. 無視できないInstagram Stories

Instagramでは、2016年8月にStoriesの機能を導入しました。
Buzz Feed Newsによれば、Instagram Storiesはたった2ヶ月の間に1億人近くのアクティブユーザーを獲得しました。
この数は、Snapchatの合計ユーザーの3分の2にあたります。
そして海外では、Snapchatから、投稿後24時間で消えてしまうInstagram Storiesにユーザーが移動する現象が起きています。

InstagramはFacebookの傘下にあるので、Instagramで広告を出す際にはより広範なセグメント化を行いマーケティングすることができるのも一つの理由です。
また、InstagramではStoriesの他にも、すでにある既存の機能で写真や動画を残してポートフォリオ化することもできるので、ユーザーは気分によって機能を使い分けることもできます。

国内でもInstagramのハッシュタグを使ったキャンペーンを行うお店も増えてきました。
Storiesも含めたInstagramをうまく利用することによって、エンゲージメント率を大きく上げることができるでしょう。

参考:
インスタグラムの新機能「ストーリーズ」の使用方法を徹底解説

まとめ

以上、2017年に取り入れるべきソーシャルメディアマーケティングの5つの戦略をご紹介しました。
SNS戦略といえば「Facebookページとtwitterで十分」という話は昔のことで、今は最新技術や最新機能をうまく取り入れていった事業者が一人勝ちしています。

SNSは企業にとってマーケティングの一部にしか過ぎませんが、効果的に使うことで売り上げアップも期待できます。
ぜひ、新しい発信の仕方を模索してみてください。