昨今のSNS普及によりソーシャルメディアの情報を調査・分析する「ソーシャルリスニング」を導入する企業が増えてきています。

参考:
ソーシャルリスニングとは?顧客のリアルな声を分析する方法を理解しよう

さまざまなWebマーケティング、デジタルマーケティングの手法がある中で、いきなり「ソーシャルリスニングをやってみよう」と思い立っても、効果の出るイメージが湧かない人も多いかもしれません。

ソーシャルリスニングは、単体ではなく別の施策と組み合わせて実施することで相乗効果を生み出すケースが多々あります。
今回は、ソーシャルリスニングと他のマーケティング活動との親和性について解説します。

取得したデータを有効活用する

ソーシャルリスニングではテキストベースで検索してきたユーザーの投稿を、データとして収集することができます。これらのデータには、中身を読み込んで気付きを得るといった使い方以外にもさまざま価値があります。意図を持って集められた投稿というのは、それだけでデータとなり得るのです。

「〇〇について言及している投稿」を集めた場合、その投稿内容だけでなく、その投稿量のボリュームといった定量的データとしての価値や、投稿者を特定できることにも価値があります。

ソーシャルリスニングには、ソーシャルメディアの反響調査というだけでなく、ソーシャルメディアからすくい上げたユーザーのデータを蓄積できるという強みがあります。このように収集されたデータは顧客管理の領域や広告ターゲティングに役立つなど、副産物的なシナジーを大いに発揮します。

Twitter広告のターゲティングに活用

ソーシャルリスニングには、設定したキーワードについて言及している投稿を集めることで、Twitterアカウントリストを集められるという強みがあります。自社の製品やサービスをポジティブに捉えてくれている投稿を元に、ファンと思われる顧客のアカウントリストを手にいれることができるのです。

これは、Twitter広告を出す際のターゲティングに非常に有効です。Twitter広告にはテイラードオーディエンスという機能があり、Twitterアカウント名でオーディエンスリストを登録することで広告のターゲティングに役立てることができます。自社のサービスにポジティブな投稿をしてくれていたアカウントのリストを作り、そのアカウントに対してターゲットを絞りこむことで確度の高い広告を配信ができます。

ソーシャルリスニングでは、キーワードの設定により意図的にネガティブな投稿のみを収集することもできます。これにより、自社の製品やサービスにとってネガティブな発言をしているアンチ層のリストを作ることも可能です。このリストをまたオーディエンスリストとして登録し、このリストにあるアカウント広告配信対象から除外することができます。

顧客管理において、見込み顧客のメールアドレスを収集するのは結構ハードルが高く、中々提供してもらえるものではありません。資料ダウンロードのページを用意してアドレスと一緒に情報を入力してもらうなど、地道な施策が必要になる場合もあります。

しかし、アカウント情報のリストであれば、ソーシャルリスニングで収集すれば簡単に手に入れることができます。SNS広告に限る範囲ではありますが、ユーザー側に負担をかけず(気付きもされないうちに)ターゲティングに有益なデータを取得できるのです。

オウンドメディアのコンテンツ企画に役立てる

コンテンツマーケティングという考え方が広く普及し、この記事の読者の方にはオウンドメディアの運用をされている方も多いでしょう。ソーシャルリスニングはオウンドメディア運用にも有益な情報を収集することができます。オウンドメディア運用のPDCAを回す1つの指針として活用してみましょう。

コンテンツマーケティングでは記事を通して「認知層」「興味層」「比較検討層」などユーザーのレイヤーごとに適した記事を出し分け、カスタマージャーニーを進んでいってもらえるよう促します。コンテンツ企画が想定しているターゲットに響いているのか、そもそもそのレイヤーにはどの程度の人数ボリュームがあるのかなどを出来る限り把握しておきたいという課題があるでしょう。

見込み顧客の中でも、認知層のつぶやきと比較検討層のつぶやきでは、言及内容は違ってきます。ソーシャルリスニングを活用して自社の製品やサービスについて言及している投稿を収集し、CSVなどに落としてデータを加工してみましょう。

投稿内容を各レイヤーにふりわけることで、それぞれの層にどれくらいの人数がいるかのヒントとなる数字が出てきます。この数字を元に、どの層に向けてどのくらいコンテンツを発信したらいいかを検討してみるといいでしょう。

それぞれのレイヤーごとに感じている課題を見つけ、必要とされているコンテンツが何かを探ることも可能です。また、それぞれのレイヤーごとにアカウントリストを作成しTwitter広告を配信し、オウンドメディアの記事へ誘導。CTRや読了率などをみて、ニーズに沿ったコンテンツが提供できているかを確認してみましょう。

アンケート調査の補填に

自社の製品やサービスにおいて、認知度がどの程度上がったか、どのようなイメージを持たれているかなどを定期的に調査する企業は多くあります。
多くのモニターを持った外部サービスにアンケートを出すなどして、用意した質問に答えてもらいデータを集めるというのは、長年行われてきたマーケティングリサーチの方法です。

しかし、アンケート調査には、予め用意された質問では誘導された形の回答しか得られないといった側面もあり、抱えている課題に対するヒントが十分に得られない場合もあります。アンケート調査による定期的なレポートは、代わり映えのないものになってしまっていることも多いでしょう。

ソーシャルリスニングはユーザーが自発的に発言した内容を汲み取るため、アンケート調査では中々得られない情報を取得できます。こちらから提示する質問に影響されない、新しい発見を検知できるかもしれません。ただ、ソーシャルメディア上の発言はコントロール出来るものではないので、調査目的によってはこちらも十分に情報が得られない場合があります。
ソーシャルリスニングをアンケート調査の補填として扱うといいかもしれません。

インフルエンサーの抽出

ソーシャルメディアマーケティングを行っていく上で、影響力のあるアカウントは昨今とても重要視されています。

インフルエンサーとなるアカウントを特定しておくことで、ターゲット層に与える影響をしっかりウォッチしたり、場合によっては情報の拡散に協力してもらえるようアプローチを検討してもいいでしょう。

ソーシャルリスニングでは、自社に対して言及している投稿を集めたり、業界全体にスコープを広げて調査したりすることで、影響力のあるアカウントを自然に抽出することが可能です。自社の製品やサービスに対して言及する回数が多いアカウント、また特にフォロワーが多いアカウントがいれば、しっかりとチェックしておきましょう。

インフルエンサー活用に関するポイントは別途記事にまとめていますので、ご参考にしていください。

参考:
インフルエンサーマーケティングの真価を発揮するためにおさえたいポイントとは?

まとめ

ソーシャルリスニングツールは単なる調査・分析ツールではありません。言い換えれば、単なる分析ツール以上の可能性を秘めたデータ収集のツールと言えるでしょう。

デジタルマーケティングを展開していく上で、より多くの有益なデータを持っていればいるほどアドバンテージが広がっていきます。

またデータ活用のアイデアの幅も広がっていくでしょう。
ソーシャルメディアの分析だけにとどまらず、さまざまなマーケティング施策と掛け算して効果の最大化を目指してみてはいかがでしょうか。