インターネット化していくメッセージングアプリ

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(Slackを除いて)どれも億単位のユーザー数をもつサービスをご紹介しましたが、いかがでしょうか?

それぞれのサービスがオープン化されていることで、もはやアプリの中で、企業、メディア、ブランドなどの様々サービスを受けられる状態にあるといえます。それ自体が小さなインターネット空間になっているともいえるでしょう。

今以上にあらゆるブランドや企業のアカウントが存在し、会話ベースで適切な情報を受けられるようになった時には、メッセージングアプリは検索を置き換える存在にもなるかもしれません。

しかし、まだボットによる自然会話にはほど遠く、あらかじめプログラムされたやりとりである「人工無能」の段階の状態です。「”A”と入力されたら”B”と返す」というようなシンプルな仕組みのボットばかりで日常的に活用するボットもそれほど多くないと思われますが、そんな状況でも各社会話データを増やしてくべく様々な取り組みを行っています。

例えば、滞在時間やリピートを増やすためのクイズなどのエンターテイメント型ボット、またはボットと謳いながらも実際は人が対応して満足度を上げると同時に正解パターンデータを収集しているボットなどもその1つです。いち早くAIを活用した自動化に踏み切り、加速度的な成長をしていくためにも各社データ集めを水面下で急いでいると言えます。

これまでインターネットにおけるプラットフォームは時代と共に移り変わってきました。1970年代メインコンピュータ時代のIBM、1990年代デスクトップPC時代のWindows、2000年代サーチ時代のGoogle、2010年代のスマホ時代のiOSAndroid、そして2020年代を目前に控えた今、そのプラットフォームは人々が最も多くの時間を過ごすメッセージングアプリになろうとしています。

賢くなるための会話データが増えて、ボットとの人間らしいおしゃべりが可能になったとき、テキストチャット、もしくは音声アシスタントがインターネット利用の最初の入り口となるのです。友達に話しかける感覚で、どんなこともしてくれるボット。会話がOSでありインターフェイスとなる未来がすぐそこまできています。
  

これからのマーケティングは会話ベースに

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IoT時代とも言われるよう、これからはあらゆる製品や公共物がインターネットに繋がるようになり、私たちの生活データを認識した上でそのサービス提供を行ってくるでしょう。

これからのインターフェイスは物理的なキーボードからタッチスクリーンを経て、音声になるともされておりますが、高機能なプロダクトを扱うには、複雑なボタン操作よりもたしかに会話のほうが適していくようになると考えます。

これからモノづくりを行う企業は「会話によるコミュニケーション」という全く新しいノウハウをそのプロダクトに練り込んでいく必要があるのです。いい商品を売って終わりではなく、購入後の継続的なユーザーとのコミュニケーションこそが今後本質的なマーケティング活動として当たり前のものになっていくのではないでしょうか。これまでのような機能価値はもちろんのこと、これからの商品は会話を通して顧客とのエンゲージメントをさらに強めていく時代になると考えます。

ブランド価値を体現する対話をどう実現していくかが、新たな課題として浮かび上がってきますが、その一方新たな顧客獲得チャネルを手に入れることにもつながります。

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今、多くの情報は検索で見つけてもらったり、SNSでシェアされているように、今後はプラットフォーマーが提供するAIアシスタントによるレコメンデーションでブランドと顧客のマッチングは進んでいくと考えられます。コミュニケーションはもちろん、買い物、音楽、ニュースなど、他アプリを起動せずとも既にあらゆるアクションがメッセージングアプリをとおして行えるようになりますが、今後ブランドと顧客が繋がる接点としてとても重要度の高いチャネルとなるでしょう。iOSAndroidの上に構築されるもう一つのプラットフォーム、つまりスマホ上での万能アシスタントとして、もう一段上のレイヤーの地位を各社狙っているのです。

あらゆる企業とユーザーをつなぐユニバーサルボット、スマートフォン上ではありませんが、今ではAlexaがこの概念に最も近い場所にいると感じます。会話が中心となる時代、その顧客に見付けてもらうためにはプラットフォーマーのアシスタントボットに気に入ってもらう必要があり、その後も関係性を築いていくためには会話のプログラム改善によってブランド価値を向上させていく必要もあるのです。