マーケティングオートメーションの歴史と分類

1992年、マーケティングオートメーションは米国のunica(現在はIBMの一部門)という会社が提供を開始したのが始まりで、2000年以降、急速に発展を遂げてきました。

日本では2014年が「マーケティングオートメーション元年」と呼ばれており、この年を境に、国内でもマーケティングオートメーションツールが急速に発展を遂げてきました。

では、その歴史の中でマーケティングオートメーションツールは如何に進化を遂げ、どのような種類に枝わかれしていったのでしょうか。

それをルーツで分類したのが下の図です。

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画像引用元:マルケト提供

マーケティングオートメーションツールは大きく4つに分類できます。

「メール配信」に特化して開発されたもの、「キャンペーンマネジメントシステム」として開発されたもの、「コンテンツマネジメントシステム(CMS)」として開発されたもの、「セールスフォースオートメーション(SFA)」を補完する機能として開発されたものです。

しかし、最近ではこれらの4つの機能が集約され、1つのマーケティングオートメーションツールで様々な施策が打てるようになってきました。

では、なぜそのようなマーケティングオートメーションツールの統合が進んできたのでしょうか。それは市場の変化と大きく関係しています。
  

市場の変化とマーケティングオートメーション

マーケティングに携わっている方ならよくご存じだと思いますが、市場の変化を4Pで整理しました。それが下の図です。

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画像引用元:マルケト提供

「PRODUCT」(製品)については"モノからサービスへ"、「PRICE」(価格)については"1回売り切りからサブスクリプション(定期購入)へ"、「PLACE」(お客様との接点)については"マルチチャネルからオムニチャネルへ"、「PROMOTION」(販促)については"新規獲得目的からLTV(ライフタイムバリュー)の最大化へ"という変化が表れています。

それに対応して、マーケティングに求められている役割も「お客様との長期的な関係性をあらゆるチャネルを用いて醸成していく」ことに変わってきているのです。

また、現在のお客様は、1日平均3,000件ものマーケティングメッセージを受け取っている一方で、消費行動の90%は自らの情報収集で完結し、64%のお客様は「価格よりも、何が体験できるかが大切」だと考えているなど、顧客体験にも大きな変化が表れています。

したがって、今日のマーケティングにおいてはお客様というセグメントを集団(マス)ではなく、個人(パーソナル)として捉えていくことがますます重要になっていると言えます。そして、このような市場の変化、顧客体験の変化に対応していくためには、今まで以上に統合的なマーケティングオートメーションの活用が求められているのです。
  

マーケティングオートメーションの役割

市場や顧客体験の変化によって、今日のマーケティングに求められるようになってきたのは、お客様との「エンゲージメント」を如何に深めるかということです。

ちなみに、エンゲージメントとは「お客様と密接な関係を作り続けること」と考えてください。密接な関係を作り続けることで、お客様は匿名から見込み客、顧客、そしてファンともいえるロイヤル顧客へと変わるのです。マーケティングオートメーションが果たすべき役割も、如何にお客様をエンゲージメントできるかという点に変わってきていると言えるでしょう。

では、マーケティングオートメーションを活用すると、お客様とのエンゲージメントはどのように深まっていくのでしょうか。その流れを示したのが下の図です。

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画像引用元:マルケト提供

エンゲージメントするためには、「LISTEN」(データ収集)、「LEARN」(カスタマージャーニーの設計)、「INSPIRE」(気付きを与える)の3つのステップがあります。統合化されたマーケティングオートメーションツールなら、この3つの流れを1つのツールで完結させることができます。
  

「LISTEN」

こちらは顧客データの収集です。これまでのマーケティング活動で収集できた顧客データは、属性やセミナーへの参加履歴といったオフライン情報が中心でしたが、マーケティングオートメーションツールを使えば、Webへの訪問履歴やメールの開封履歴といったオンラインによる顧客データの入手・分析も可能となります。
  

「LEARN」

続いては、カスタマージャーニーを設計する活動です。カスタマージャーニーとは、お客様の「パーセプションチェンジ(心情変化)」の連鎖を言い表す言葉です。

商品やサービスを知ったお客様の心情を「興味がある」から「試してみたい」「買ってみたい」へと高めていくことですが、マーケティングオートメーションなら入手した膨大な切り口の顧客データをもとに、パーセプションチェンジを促し続けていくための有効なアプローチを設計できます。

参考:
パーセプションチェンジとは|Tactical-Media
  

「INSPIRE」

最後はデータを収集し、カスタマージャーニーを設計した最後に行う“態度変容”を促す活動です。これを成功させるためには、当然ながらターゲットとなるお客様に“刺さるコンテンツ”を送らなければなりません。刺さるコンテンツとは、言い換えれば“その人だけの特別なコンテンツ”です。

商品・サービスに対する興味の深さや、購買意欲の高さには、お客様ごとに温度差があります。その細かな違いを正確に捉え、お客様ごとのペルソナや趣味趣向、商品・サービスへの興味の深さなどを詳細に分析した上で、その人に合ったメッセージを送るのです。
  
以上の3つの機能が全て実装されていてこそエンゲージメント(お客様と密接な関係を作り続けること)が可能になるのです。

さらに、そのほかのマーケティングソリューションは現在5,000以上あると言われているため、マーケティングオートメーション以外の素晴らしいツールと柔軟にコラボレーションできるマーケティングオートメーションツールが理想的であると言えます。