ユーザーがリアクションできる「余白」のあるコンテンツ

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飯髙:
なるほど。では、「良いコンテンツ」とは何かお聞きしてもいいですか。定義はかなり幅広いと思っていまして、「問題解決」なのか「バズ」なのか人によって違いますよね。谷口さんならではの定義をお聞きしたいです。

谷口氏:
ユーザーが言及できるスペースのあるコンテンツですかね。Webコンテンツでは塗り絵感といいますが、記事内で完結させずに余白を作る。そして、ボケに対してどうツッコミを貰うか、またはツッコミだけで作られている。要は会話ベースで作られているかどうかです。

例えば、LINEスタンプも基本的に「どうリアクションするか」で作ります。相手の発言に対するツッコミだけで作られていますよね。従来のコンテンツならボケとツッコミはセットで配信するんですが、Webコンテンツは会話のネタや共感する要素だけを提供しているんです。

でもそれには、罠があると思っています。余白が「共感」に寄り過ぎてしまうことで、結局何が伝えたいのかわからないコンテンツに仕上がってしまう。これは、Webマーケティング施策でよく起こるんですよね。Webの根本的な問題なんですがリーチが弱いんですよね。Webで「そうだ、京都へ行こう」ってやっても、「勝手に行けー!」ってなりますもんね(笑)

これは、世間的な影響力が低いことが問題なんです。だから、SNSでバズらせてなんぼな世界になっています。メッセージを伝え切れないわけですよね。
  

広告は「機械的な広告」と「社会的なメッセージを持った広告」の二極化が起こる

飯髙:
では、これからWebコンテンツはどう変化して行くと思いますか?

谷口氏:
おそらく今から起こって来るのは、広告枠の二極化だと思います。1つはアドネットワークで分散型のコンテンツをマッチングさせて配信していくっていう、AIを活用した「機械的な広告」。

もう1つは、ブランド広告枠として「社会的なメッセージ性を持った広告」です。
AIはクライアントに仕えて、ブランド広告枠はあくまで社会のためですと。世間に影響を与えますよという枠をメディアが作っていくことだと思っているんですよ。

アドネットワークのような広告枠と、世間に対してメディアとスポンサーがタッグを組んで「一緒にやりましょう」というブランド広告枠にわかれてくると思うんです。AIに仕事を奪われることはなくて、むしろ苦手なクライアントはAIに任せられるという(笑)

私はアドネックワークを歓迎しています。獲得型の刈り取り広告はAIとアドネットワークに任せてしまえば良いんです。メディアとしては稼ぎ頭ですから、それはそれで良いんです。

8割はそれで稼いで、残り2割で社会的に意味のあるコンテンツをどう作っていくのが今後の課題だと思っています。それはオリジナルコンテンツの勝負でもあります。

それはもう必然的な歴史であって、テレビだって昔は何もなかったのに、映画の紹介とかスポンサーと組んで連続ドラマを作り出したり、コンテンツを作り出したので。今のWebにはないですけど、これから作られていくんだろうなというのは感じています。

最近だとYouTuberの勢いが凄いですが、テレビに出演されているお笑い芸人の中には、YouTuberの制作費の無さ、芸の無さをバカにする人もいます。

でも、テレビのようにWebに制作費が回るプロセスを作ることで、Webもオリジナルコンテンツが次々に登場する流れになると思います。これは、歴史的に繰り返しているので必然です。私はその方向に行くために色々試行錯誤をしますし、みんなでやっていきましょうと思っています。