購買ファネル全てにおけるクリエイティブの最適化

クリエイティブを最適化する必要があるのは、LINEやFacebook、Twitterなどのプラットフォームだけではありません。ユーザーが購買に至るまでの購買ファネルでも、それぞれの段階に応じてクリエイティブを最適化することが求められます。

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かつては、例えばテレビCMで「認知」「興味」を促し、リスティング広告バナーで「検討」しているユーザーに商品を「購買」してもらうというように、それぞれの手段が分断していました。

しかし今では、全てのファネルでスマートフォンが活用され始めています。総務省によると、2016年のモバイル端末保有率は83.6%、内スマートフォン保有率は*56.8%*で、どちらも年々増加傾向にあります。

参考:
平成29年版 情報通信白書|総務省

私たちはスマートフォンを、動画を観ている時はテレビのような存在、ニュースメディアを見ている時は新聞のような存在など、様々なチャネルを代替して活用しています。

「スマートフォンの利用が増加したことで、購買ファネルの全てをスマートフォンの中で恒常的にPDCAを回す、「フルファネルPDCA」の時代が訪れていると感じています。」(並河 氏)

フルファネルでのLINE活用

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LINE株式会社は、「LINE Business Connect」や「LINE Ads Platform」など、スマートフォンを活用した様々な法人向けサービスを提供しています。

今後は、「LINE Ads Platform」において、「CPF(Cost Per Friend)」という、企業の公式アカウントに対して友だちを送客することを成果地点としたメニューを拡大していくようです。

「ただ数百万人友だちを集めたからそれで全てよし、ではないんですよね。とにかく「友だちの数を増やしたい」のか、「絞り込んだターゲットユーザーが友だちになってくれないと意味がない」のか、企業によっても何を成果とするかは異なります。」(田端 氏)

マーケティング施策は、企業や商品のターゲットとゴールを明確にした上で取り組むことが重要です。どれかひとつの手段だけでなく、来店履歴や購入状況などのデータを活用しながら、適切な施策を講じていくべきだと田端氏は語ります。

LINEのデータ活用

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では、ユーザーから取得したデータは、具体的にどのように活用できるのでしょうか。

LINE株式会社は、2018年からユーザーの興味関心や位置情報、企業の公式アカウントのbotとの会話内容などを、匿名化した上で積極的に取得し、活用することに力を入れています。

LINEは、通勤中や通学中、就寝前まで、ユーザーのあらゆる生活動線上で利用されています。取得したデータをもとに、ユーザーが何かを購買する直前のタイミングで広告を配信できるのは、LINEの大きな強みといえるでしょう。

「購買ファネルの「購買」に近いユーザーにだけ見せる動画広告があってもいいですし、飲料系の企業が、ユーザーの位置情報からその日の気候に応じてオススメする商品を変えるのも面白いですよね。ほら、『27°を超えると急にアイスクリームが売れる』みたいな法則、あるじゃないですか(笑)」(田端 氏)

一方、須藤氏は「データに基づいた広告配信は、ユーザーに嫌悪感を抱かせてしまう可能性もある」と懸念します。

「本当の意味でユーザーに寄り添った施策を行わないと、「見透かされすぎて気持ち悪い」と思われてしまう危険もあるのではないでしょうか。データをもとに、ユーザーに対してどんな時にどんな風にアプローチすればいいのか、インストールやエンゲージメントなど様々な視点から考えなければいけません。」(須藤 氏)

あまりにニーズを捉えすぎたタイミングで広告を配信すると、「見張られている」ような印象をユーザーに与えかねません。認知や興味を促すための配信なのか、購入に向けた検討を促すための配信なのかなど、細かくゴールを設定して適切な配信のタイミング、内容を決めることが重要です。

ユーザーから直接フィードバックをもらう

配信した広告は、通常クリック率やコンバージョン率を見て成果を確認します。ただそれに加え、「その場でユーザーに聞いてしまった方が早いのではないか」と田端氏は考えています。

「『この商品のメッセージは分かりやすかったですか』『子どもに使わせることに不安はありますか』などと詳しく聞いていって、そこからユーザーとの会話を深めていく、そういった企業とユーザーのコミュニケーションがこれから増えてくるんじゃないかと思っています。」(田端 氏)

クリエイターもデータに基づいた広告制作を

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企業とユーザーのコミュニケーションが重要視されていくにつれて、実際に配信するクリエイティブを制作しているクリエイターも、ユーザーとの距離を縮めていく必要性が高まっていくといえます。

LINEの中でユーザーと距離が近い存在といえば、LINEスタンプのクリエイターです。人気のLINEスタンプのクリエイターと企業がコラボしたオリジナルスタンプの配信などは今も行われており、今後はテレビCMへの起用など、クリエイターが幅広い広告制作に携わる機会が増えてくるでしょう。

「特にLINEなどユーザーにとって身近なプラットフォームでは、ユーザーに対して「上から目線」ではなく、「横から目線」で訴求できるクリエイターが求められるでしょう。クリエイターがユーザーデータを共有して広告を制作し、クリエイター本人に結果をフィードバックできるような関わり方も重要です。」(須藤 氏)