SIPSとは

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引用:
SIPS ~来るべきソーシャルメディア時代の新しい生活者消費行動モデル概念~|電通モダン・コミュニケーション・ラボ(2020年8月3日時点でページが存在しないためリンクを削除しました)

「コカ・コーラ ピーチ」のTwitter活用は、株式会社電通が提唱した消費者購買行動モデルの「SIPS」に当てはめることができます。

SIPSは、同社の「電通モダン・コミュニケーション・ラボ」が2011年に提唱したモデルで、近年のSNSの普及による影響を受けた場合の消費者購買行動についてまとめています。

参考:
SIPS ~来るべきソーシャルメディア時代の新しい生活者消費行動モデル概念~|電通モダン・コミュニケーション・ラボ(2020年8月3日時点でページが存在しないためリンクを削除しました)

「SIPS」は「AIDMA」や「AISAS」に加わる新しい購買行動モデル

消費者購買モデルというと、「AIDMA」や「AISAS」という言葉に聞き馴染みのある方が多いでしょう。「AIDMA」はマスメディアに影響を受ける消費者、「AISAS」はインターネットに影響を受ける消費者の購買行動モデルのことです。

参考:
「AIDMA」と「AISAS」の違い、説明できますか?購買行動フレームワークの変遷まとめ|ferret

SNSが普及したからといって、テレビやインターネットが全く消費者に影響を与えなくなったわけではありません。「SIPS」は「AIDMA」や「AISAS」に代わるものではなく、あくまで新しく加わった購買活動モデルだと捉えておきましょう。

コカ・コーラ ピーチの事例にみる「SIPS」モデル

「SIPS」は以下の4つの言葉で分析します。

Sympathize:共感する
Identify:確認する
Participate:参加する
Share & Spread:共有・拡散する

今回は、この「SIPS」について、コカ・コーラ ピーチの事例も交えて解説します。

Sympathize:共感する

「Sympathize」は、情報元とその内容に共感する段階です。元々はユーザー同士のコミュニティであるSNSは、企業からの一方的な売り込みは印象が良くありません。

その商品のストーリーや背景、他のユーザーからの反響まで含めて、ユーザーに共感してもらえるかがポイントです。

コカ・コーラ ピーチでは、商品発売前から有名女優を起用した動画やユーザーへのクイズを実施していました。商品への直接的なアプローチではなく、有名人の起用や手軽に参加できる企画というように、ユーザーの興味をひく内容で徐々に共感を得ることが重要です。

Identify:確認する

「Identify」は、発信された情報を認知してから、その他の投稿や情報を確認し、ユーザー本人にとって有益なものか確認する段階です。

Twitterは投稿に対する他のユーザーの反応を見ることができます。コカ・コーラ ピーチに関する投稿に、他のユーザーがどのようなリプライやツイートをしているのか確認することで、その情報が自分にとって有益なものか確認できます。

Participate:参加する

「Participate」は、企業の商品やサービスのキャンペーン、アプローチに参加する段階です。これは、必ずしも購買は意味しません。

株式会社電通によると、参加のレベルによって「エバンジェリスト(伝道者)」「ロイヤルカスタマー(支援者)」「ファン(応援者)」「パーティシパント(参加者)」に分類されるといいます。

フォローしているユーザーの投稿を偶然見かけて「いいね!」を押すユーザーと、発売前のキャンペーンに応募したり、発売後も積極的に商品について発信したりするユーザーでは、参加レベルが異なります。

コカ・コーラ ピーチの事例でいうと、商品自体には興味がないものの有名女優に興味があって「いいね!」を押すユーザーもいれば、積極的にキャンペーンに応募し、商品を手に入れたら今度は自分が発信源となるユーザーもいるでしょう。

Share & Spread:共有・拡散する

「Share & Spread」は、企業の取り組みに参加したユーザーがその情報を共有・拡散する段階です。

SNSのコミュニティは、例えば趣味・仕事・社会人時代の友人・学生時代の友人など、複層的に分かれていることがほとんどです。そのため、SNSでユーザーが一度情報を共有すると、本来その情報に触れる可能性がなかったユーザーにまで、情報を拡散できるというメリットがあります。

コカ・コーラ ピーチでも、フレーバーを当てるクイズで「桃ならリツイート、もちならいいね!」を押してもらうことをユーザーに促していました。こうしてリツイートされた投稿は、そのユーザーをフォローしている多くのユーザーに拡散されます。

また発売後は、商品についてユーザーが呟いている投稿をランダムにリツイートし、自社アカウントのフォロワーへの拡散と、リツイートしたユーザーとの接点作りを行っています。