3年後、PCサイトはいらなくなる?

スマートフォンが普及する前までは、ECと言えばパソコン用ホームページがメインでした。今はパソコンよりもスマートフォン用のホームページに重きを置く企業が増え、スマートフォン経由の売り上げが増加しています。

これから、EC事業はどのような動きをみせるのでしょうか。
モバイルECの未来について、「3年後はPCサイトを作らない未来が来るかもしれない」と、ケイト・スペード ジャパンの国分氏は予想します。

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「3年経つとモバイルECはもっと大きくなると思います。おそらく3年後のEC事業部で議論しているのは、”PCサイトどうする?”ってことです。今はまだ利用している方がいるので作っていますが、もしかしたらあえて作らないという方向性も出てくるかもしれません。PCサイトはニーズがかなり限定的になってくるのではないかと思いますね。」(国分 氏)

また、ディノス・セシールの石川氏は、データを収集するツールとして、モバイルはさらに活躍していくのではと話します。

「モバイルはデジタルデバイスの中で最も生活の中に入り込んでいるツールです。ただのチャネルではなく、生活者が何を欲しいと思っているかというデータを収集するためのデバイスとして見ていこうと思っています。今までもホームページまで来てもらえればデータは取れましたが、リアルも含めた中で生活者がいつ何をしているのかを可視化できるのがモバイルだと思います。しかし、サービスと引き換えでないとデータはもらえません。我々のサービスを使ってもらって、データをもらう。そのデータから今までにないものを提供したいと思っています。」(石川 氏)

石川氏が期待するように、モバイルによって今までは収集することができなかったデータを収集できるようになっています。例えば、位置情報を使ってリアル店舗の来店履歴がわかり、SNSでの交流からその人の趣味・趣向、友人関係・家族構成などが可視化できるでしょう。

どう対応する? ECの課題

「試着ができない」問題の解決策は模索中

しかし、こうしたデータ活用はECの大きな課題である「試着ができない」という問題の解決策には繋がっていないのが現状のようです。

継続できる施策を考えるべき

ECで注文した商品が届いた時に、「服や靴のサイズが合わない」「思ってたイメージと違った」となった場合、EC側は返品無料として対応します。牧嶋氏、石川氏ともに、これらの問題に対してサスティナビリティの視点を指摘しつつも、返品問題について地道な取り組みが必要と言います。

「試着ができないことは問題ですが、大事なことはサスティナビリティです。返品無料やお試しなどを継続していくのは経済的に難しい。ニューバランスのリアル店舗では3Dスキャナで足の形を数値がする仕組みがあり、その数値をマイページで保存して、それを見ながら電話やWebで接客をして、正しい案内ができるようにしていきたいです。」(牧嶋 氏)

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「返品無料にしてお客様に安心してもらいたい気持ちもある一方、リテーラーがそこまで負担するのは難しいと思います。しかも、返品作業はお客様にとっても手間です。サイズデータを保管して、サイズ違いが起きないようにしていきたいですね。」(石川 氏)

スマートフォン前提のホームページ作りを

情報過多により、ユーザーが商品を選ぶのが難しくなっているとも言われています。ZOZOTOWNの「おまかせ定期便」のように、企業側がユーザーに合った商品を選び提供するようなサービスも増えてきています。

「情報がありすぎてどの商品を選べば良いかかわからない」悩みを抱えるユーザーに対して、企業はどのように商品を提案していくべきなのでしょうか。

「お客様が商品点数が多くて選ぶのが億劫と感じる原因として、Webサイトのスマホ化が挙げられます。ケイト・スペード ジャパンの場合、スマホサイトもパソコンサイトも商品点数は変わりません。にもかかわらず、スマホになってから商品が選びにくく、商品点数を多く感じているユーザーがいます。その中で気を使っているのは、どのような商品を販売するのかということです。ECはスマホで購入されることを前提に考えていかなければいけません。A/Bテストを繰り返しながら、サイト開発をしていく必要があります。」(国分 氏)

パソコンで見るホームページとスマートフォンで見るホームページの印象は違います。企業はユーザーがスマートフォンで買い物をしていることを前提に開発し、より買い物をしやすいホームページ作りを心がけていくべきでしょう。