近年、リスティング広告バナー広告、そして動画広告などとは違った「音声広告」が話題になっています。

ただ、従来の文字・画像・動画といった視覚への訴求広告とは異なり、聴覚へ訴求するため、本当に効果があるのか疑問に感じる人も多いかもしれません。

そこで本記事では、音声広告を取り上げたニュースやメリット、成功事例などをまとめました。音声広告の活用を考えている人はぜひ参考にしてみてください。

音声広告とは

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音声広告とは、音楽や音声の合間に流れる広告です。
従来は、ラジオの番組中や、番組と番組の間で広告を流すのが主流でしたが、近年では、Spotifyなどの音楽配信サービスや、radikoなどの音声配信サービス内でも音声広告が広まるようになりました。音声や音楽(BGM)を使用するため、従来の「見る」広告とは違う「聴く」広告となっています。

既に大きな成長をみせる海外の音声広告市場

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アメリカで普及する音声コンテンツサービスの「Podcast」内での音声広告市場は、年々拡大しています。PwCとIABが2018年6月に発表した資料によると、2017年は283億円となっており、2020年までに724億円にまで拡大すると予想されています。

また、Adobe Digital Insightsの調査によると、米国で音声広告を聞いたことがある消費者のうち38%が「音声広告はテレビやインターネットなどで見る広告よりも押し付けがましくない」と答えています。
さらに「音声広告はテレビやインターネット広告よりも興味を引く」と答えた消費者の割合は39%と、音声広告の効果の高さが明らかになりました。

参考:
Full Year 2017 Podcast Ad Revenue Study:An Analysis of the US Podcast Advertising Industry
Adobe:Adobe Digital Insights: 米国における音声広告が、テレビやオンラインなどの広告より人々の興味を引く結果に

音声広告に参入する企業の例

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海外では、すでに注目を浴びる音声広告ですが、海外はもちろんのこと、国内の企業も続々と参入し始めています。

電通の事例

電通グループでは、音声広告配信サービス「Premium Audio™広告」の提供を開始しました。このサービスは、radikoやSpotifyなどの優良媒体限定で配信するため、ブランドイメージが下がるリスクが小さい点が特徴です。

電通グループ、プレミアムな音声コンテンツを提供する媒体を対象にした音声広告配信サービス「Premium Audio™広告」の提供を開始

オトナルの事例

音楽UX/UIサービスを提供している株式会社オトナルでは、Spotify向けの音声広告の制作や運用を行うサービスの提供を開始しました。
同社が運営するコンテンツ制作サービス「クラウドスタジオ」を活用しているため、プロアナウンサーによるハイクオリティな音声コンテンツの制作が可能です。さらに位置情報やユーザー属性などのターゲティングも可能なので、高いエンゲージメントの獲得も期待できます。

オトナル、Spotify向け音声広告の配信サービスとプロ音声による音声クリエイティブ制作を開始。位置情報&ユーザー属性でのターゲティングやコンバージョン測定も可能に

Googleの事例

GoogleAndroid用のアプリGoogleポッドキャスト」の提供を開始し、音声配信サービスに参入しました。広告や独自のAIによるおすすめ機能でインターネットの頂点に立ったGoogleこの参入は、これから音声広告にも力を入れていく予兆だと言えます。

Googleの再参入で、ポッドキャストの世界は激変する

音声配信サービス側による、スポンサー募集の活動も広まっている。

音声配信サービスのVoicyでは、人気の7チャンネルでスポンサーを募集しています。スポンサーになることで著名なパーソナリティが音声配信の中で自社名や商品を紹介し、詳細ページにメッセージの記載や外部リンクの掲載できるなどの特典があります。

Voicy人気チャンネルスポンサー募集

このように、数多くの有名企業が注目しているということは、市場規模がますます拡大していくことでもあるのです。

音声広告のメリット

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音声広告には様々なメリットがあります。

「ながら聞き」が可能

音声や音楽など聴覚に働くコンテンツは、「朝の出勤時間」や「家事をしている時間」など耳が空いている状態ならいつでも楽しめるため、消費者の生活の一部となっています。

その中に音声広告を入れることでごく自然に宣伝ができ、動画コンテンツのように音声をオフにされることもほとんどありません。

ターゲティング効果が高い

消費者はラジオのように流れてくる番組を一方的に聴くのではなく、SpotifyやVoicyなどで好きな音楽やテーマ、配信者を選べます。そのため音声広告エンゲージメントの高いユーザーに触れやすいのです。

さらに、ユーザー属性や位置情報などから最適な広告を配信するターゲティングも可能に。いわゆるリスティング広告と同じことが、音声広告でもできるようになっています。

音声広告はどこに配信すればいいの?

市場規模が拡大しつつある音声広告ですが、すべての音声・音楽配信サービスで広告が出せるようになったわけではありません。現在有力な音声広告の配信先をご紹介します。

Spotify

2006年に開局、日本では2016年にサービスを開始した世界最大手である音楽ストリーミングサービスです。2018年の時点でユーザーは約1億7000万人、有料会員は約7500万人で、スマホやタブレットはもちろん、パソコンやゲーム機などのデバイスでも使用できます。

音楽発見サービス - Spotify

Voicy

2016年にサービス提供を開始したVoicyは「声のブログ」とも言われており、パーソナリティが自由にフリートークやニュースを配信するサービスです。インフルエンサーの参入もあり2018年には利用者は30倍にまで増え、資金の調達や上場企業のスポンサーも獲得しています。

Voicy - 今日を彩るボイスメディア

radiko

日本のラジオ放送をオンラインでライブストリーミングするサービスで、2010年にスタートしました。ラジオ番組をスマホやパソコンで楽しめ、地域に縛られず数多くの番組の中から選べる自由度の高さも特徴です。2018年時点でアプリの累計ダウンロード数は2000万を超え、月間ユニークユーザー数も1000万人となりました。

radiko

音声広告の成功事例

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まだまだ音声広告の企業事例は少ないですが、音声広告を導入したことで成功した事例があります。

広告サービスのDoubleClick Bid Managerは2018年に音声広告の配信をスタートしました。MightyHiveがその音声広告を利用してみたところ、スマホやパソコンから750万回以上のインプレッション獲得や7,500回以上の達成し、95%以上の広告完了率を達成しました。

【ニュース】DoubleClick Bid Managerで音声広告の提供開始

音声広告ではインプレッション数やエンゲージメント数なども確認できるため、PDCAが回しやすく、より効果的に広告訴求をすることが可能です。

今後も音声広告市場は拡大する見通し

米国では音声広告の収入が2016年は11億ドルだったのに対し、2017年には16億ドルと39%増。さらに2018年には上半期比較だけで31%増となっています。
さらに、ドイツのオンライン統計会社Statista社では2023年には世界中で音楽配信サービスの利用者は15億人にまで登ると予想されています。

参考:https://otonal.co.jp/blog/3392#i-4

音声・音楽配信サービスの利用者増加とともに、音声広告の市場規模も今後ますます拡大していくでしょう。

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