SNSの普及により、「UGC(User Generated Contents)」と呼ばれる、一般ユーザーが撮影した商品の写真などを、企業がSNSや広告Webサイト等で活用するマーケティングがより広まっています。

とはいえ、UGCの活用は、ポイントを押さえて正しく運用しなければ成果にはつながりません。UGCを活用したものの、中々成果につながっていないという悩みをもつ担当者の方も多くいるのではないでしょうか。

今回はUGCを活用したSaaS型クリエイティブプラットフォーム「Letro」を提供するアライドアーキテクツ株式会社の村岡弥真人氏にUGC活用のポイントを、事例を交えて伺いました。

村岡 弥真人氏プロフィール

村岡 弥真人
アライドアーキテクツ株式会社 CPO兼上級執行役員

大手ガラスメーカーを勤務を経て2012年にアライドアーキテクツ入社。2014年よりSNS広告に特化した広告代理事業を立ち上げ、自社最大の事業まで事業拡大を行う。 
2016年にUGC Centric Marketing Platform "Letro"の提供を開始、Facebook及びInstagramのオフィシャルパートナーに。2017年より自社プロダクト事業の統括を行 い、同社において最年少で執行役員に就任。翌年2018年、CPO兼上級執行役員に就任。

UGCを活用するメリット

ferret:
そもそも、企業がUGCを活用するメリットはどのようなものなのでしょう?

村岡氏:
まず、生活者の現状からお話すると、Instagram上の投稿に影響を受けているユーザーは全体の70%、商品を購入したことのあるユーザーは58.6%と、SNSは今の消費者の購買行動に大きく影響を与えているんです。

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ferret:
だからSNSアカウントを運用したり、広告を出稿する企業が増えているんですね。

村岡氏:
そうなんです。ただ、大前提としてSNSは企業が情報発信をする場ではないので、企業っぽさが溢れている投稿は、ユーザーに嫌われてしまいます。

そこでUGCを使うと、タイムライン上に溶け込むクリエイティブで投稿できるため、ユーザーも拒否感なく広告や投稿を受け取れます。

他にも、UGCを利用すれば自社でクリエイティブを制作する必要がなく、制作コストを削減できますし、活用する過程でユーザーとのコミュニケーションも発生するなどのメリットがあります。

そのため、UGCはSNSへの投稿以外にも、広告のLPやサービスページ、レストランなどでのオフラインキャンペーンなど、さまざまなチャネルで利用されています。

UGC活用のあるある失敗パターン

ferret:
実際にUGCを活用したマーケティングを行っている企業でも、中には成果につながっていない企業も多いと思うのですが、そういったケースの「あるある失敗例」のようなものはありますか?

UGCをそのまま利用してもユーザーの興味を惹かない

村岡氏:
まず「UGCの素材をそのまま利用している」ですね。これはUGCをSNSや企業のWebサイト広告、LPなど利用している場合によくあるパターンです。

そもそもUGCの素材は、SNSのタイムラインに「その人の投稿」として目にするから、ユーザーは興味を持つと思うんですよね。なので、その素材を企業のページにそのまま載せても、SNSのタイムラインを見ているときとは感覚が異なりますし、企業にそこまで興味がないのでユーザーは興味を持ちません。

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ferret:
先程、企業っぽさがありすぎるとユーザーから嫌われてしまうとおっしゃられましたが、その逆も良くないんですね。

村岡氏:
そうなんです。実は弊社でも昔、UGCの画像をそのままページに掲載したのですが、CVが出ないどころか、クリックすらされませんでした。ユーザーからするとUGCなのか、企業が作ったUGCっぽいクリエイティブなのか分からず、怪しく見えてしまうんです。

UGCを活用する際には、チャネルに合わせて適切にクリエイティブを編集する必要がありますね。

効果測定できる環境がないと改善できない

村岡氏:
次に「効果測定できる環境がない」というケースです。これはUGCを活用したキャンペーンなどの施策を行った際に、正しくその効果が計測できる環境がなければ、成果が出たとしても、それが本当にUGCによる成果だったのかが分からなくなり、正しいPDCAが回らなくなる、ということですね。

ferret:
これはUGCに限った話ではなく、マーケティング施策を実行する際には意識すべきポイントですね。

村岡氏:
おっしゃるとおりです。さらによくありがちなパターンだと、UGCによる成果だと認められなくなり、施策自体が終わってしまうこともよくありますね。そういったことを防ぐためにも、計測ツールを利用したり、UGC以外の部分は変えずにテストを行ったりと、きちんとUGCの成果を測定できる環境をつくりましょう。

手動による運用だと強みを活かせない

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村岡氏:
最後に「手動での運用」です。

UGCはクリエイティブの数がたくさんあるのが強みです。しかし、UGCを利用するには、きちんと投稿したユーザーに利用許諾を取って、ソースコードを取得して、エンジニアとデザイナーがWebに埋め込むなど、とても手間がかかります。

ferret:
そこでツールを使ったほうが良いということですね。

村岡氏:
そうですね。あまりに作業が膨大になると継続もできませんし、更新性もなくなってしまいます。そうなるとUGCの強みである「常に更新され続ける量の強み」を活かしきれなくなってしまいます。ツールを利用することで、UGCの強みを最大限発揮でき、より成果を出しやすくなります。

事例から見る成功メソッド

ferret:
では、逆にUGCをうまく活用して成果を出している企業はどのような取り組みをしているのでしょう?

村岡氏:
では、まずメンズスキンケアブランド「BULK HOMME」を展開するバルクオムさんの事例をもとに解説します。

コメントでユーザーとの関係をつくる

村岡氏:
バルクオムさんでは利用したいUGCの許諾を取る際に、「素敵な投稿をありがとうございます」のコメントからコミュニケーションを始め、利用許諾を取っているのがポイントです。

利用許諾を求めるコメントがついている投稿

ferret:
このコミュニケーションにはどのようなメリットがあるのでしょう?

村岡氏:
そもそもユーザーが商品やサービスをSNSに投稿するのって、その企業やブランドに多少なりともロイヤリティがあるからこそ生じる行動ですよね。そこにまずきちんと感謝の気持ちを示すことで、ユーザーと良好な関係を築けます。

さらに、コメント欄でコミュニケーションをとることで、他のユーザーもこのコミュニケーションが見れるため、この良い関係が他のユーザーへと伝わっていきます。

ferret:
確かにいきなり利用許諾を求められるとちょっと抵抗感が生まれてしまいますね。

サイトに馴染むようにUGCを編集して掲載

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村岡氏:
バルクオムさんは、Instagramの広告クリエイティブにもUGCを活用しています。

こちらは、ユーザーが投稿した商品の写真をそのまま転載するのではなく、「#毎日使える」 のような商品の特徴に関するハッシュタグ風のテキストを写真に加えることで、CPAを約1/2まで削減できたそうです。

ferret:
ハッシュタグ風のテキストは、クリエイティブを見たユーザーにどのような影響をもたらしたのでしょう?

村岡氏:
Instagram広告への出稿だったため、そのままのクリエイティブでは企業アカウント広告として想起されませんが、ハッシュタグ風のテキストを画像に加えることによって、商品の訴求力が高まるとともにブランドの権威付けもできたことがCPA削減要因として考えられますね。

LPにコメントごと埋め込むことで離脱を防ぐ

村岡氏:
バルクオムさんでは、自社サイトのLPにもInstagram上のUGCを埋め込んで活用しています。

バルクオムLP
引用:FACE CARE COURSE|BULK HOMME(バルクオム)

ferret:
この埋め込みにもポイントはあるのでしょうか?

村岡氏:
このLPでは、Instagramの写真だけでなく、投稿者のコメント部分もLPに埋め込んでいます。

コスメやアパレルの商品では、商品を見たあとに「肌に合うかどうか」や「他の人はどう使っているのか」と検討の段階が入るため、通常であればSNSやブログなどで口コミを確認し、LPからは離脱してしまいます。

UGCをコメントごと埋め込むことで、その検討もLP上で済むため、離脱率が下がりCVRは引き上がったそうです。

成果のカギは最適化

村岡氏:
バルクオムさんの「コメント付きUGC」もですが、UGCって効果検証を繰り返して最適化させていかないと中々成果につながらないんです。

ferret:
具体的にはどのように最適化をすすめていくのでしょう?

村岡氏:
たとえば先程のバルクオムさんでは、UGCを埋め込む際に「コメントの有無」でABテストを行いました。

シャンプーブランドであるBOTANISTを展開するI-neさんも、LPにUGCを埋め込んで利用しており、よりCVしやすいUGCを上部に表示させたりしています。こうしてUGCの最適化を進めていくと、その過程でユーザーインサイトを掴むこともできます。

ferret:
インサイトを掴むとは具体的にどのようなことでしょう?

村岡氏:
CVしやすいUGCって、何らかの特徴を持っていて、それがユーザーに刺さるということなんですね。なので最適化を繰り返していくと、どんな訴求がユーザーに刺さるのかが分かってくるんです。

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例を挙げると、女性向けコスメのEC企業では、CVRの高いUGCを検証していた際に、化粧品をコスメポーチの横に並べて撮影したUGCのクリエイティブが他とくらべてCVRが高いことが判明しました。

これは女性消費者は「その化粧品が自分の化粧ポーチやバッグに入るか」を検討の際に考えているということを表しています。このポーチの横に並べたUGCを目立つ部分に掲載することで、大きさを調べようとするためにGoogleやSNSで検索をしてユーザーが離脱することを防げるだけでなく、このようなインサイトを今後の商品や広告訴求のヒントにできますよね。

マーケティングチームとの連携が重要

ferret:
ここまでお話を聞いていて、LPなどでUGCを活用する大きなメリットは「離脱が起きづらいこと」かなと感じました。

村岡氏:
そうですね。冒頭に述べたようにSNSが消費者に与える影響はどんどんと強くなっています。つまり、消費者の検討段階でSNSの情報をこちらから先に提示しないと、ユーザーはSNSへ離脱してしまうんです。

ferret:
ということはつまり、ユーザーの入り口となる広告などのタッチポイントからLP、フォームまでの全体設計が大切になってきますね。

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村岡氏:
おっしゃる通りです。なのでマーケティングチームとUGCの運用チームが分断されていると、そもそもクリックすらされなかったり、クリックしても遷移先のページのテーマやトンマナが違うと離脱されてしまったり、ユーザーが検討段階のときにきちんとUGCを出していなかったりと、全体を通してのユーザー体験の設計ができなくなってしまうので成果が出づらくなってしまうんですね。

きちんとマーケティングチームとUGC運用のチームが共通認識をもって、ユーザーの購入までの段階すべてをきちんと設計するとより高い成果が出せるでしょう。

UGC活用のポイントまとめ

今回はUGC活用の失敗事例と、活用のポイントについてうかがいました。今後UGCを活用する際には、以下のポイントを意識して運用してみるとよいでしょう。

・UGCをそのまま利用するのではなく、チャネルに合わせてUGCを編集する
・ツールを導入して数の強みを活かす
・効果測定できる環境を用意して、最適化していく
・ユーザーの購入までの段階を全体で設計する