ファーストフードの未来を変えるアイデアを

お酒が入り、一筋縄では解けないクイズに挑戦し、かなりネジの外れやすくなった参加者に向けて出されたお題はこちらです。

「ファーストフードの未来を変えるぶっ飛んだアイデアを考えよ」

2020年に開催される東京オリンピックを盛り上げるために、「国内のファーストフードの未来を大きく好転させるようなアイデアとは?」をテーマに、各テーブル毎に「ネジが外れた」アイデアを生み出すためのディスカッションを行います。

椎谷氏:改善レベルでは、ダメなんですよね。ぶっとんだアイディアを求めています。例えば、富士フイルムは写真のプリントではなく化粧品分野に展開することで業績を保っている。バカじゃないの?くらいのアイディアをお願いします。

グループで話し合える時間は15分間。10分でアイディアを出し、5分で発表する案を決め、檀上で発表というスケジュールが告げられ、ディスカッションがスタートしました。

ディスカッションの様子の写真

イベントスタート時はぎこちなかった参加者の方達も、準備運動として行ったクイズとお酒の力もあってかなり打ち解けてきている様子です。
議論しあいながらアイディアを一つの紙に書きだすグループ、各自でアイディアを書き出し、すり合わせを行うグループ等、各々様々な形式でアイディア出しを進めていました。

徐々に議論が活発になり会場も異様な熱気に包まれていきます。「いいね!」「おもしろい!」拍手が沸き起こったり、笑い声が絶えないグループも。

異様な熱気の会場の写真

15分後経過し、発表タイムへと移行します。
出てきたアイディアは「ファーストフード×ホテル」「少子化対策ファーストフード」「ハングリーからハグリーへ。ハグをしてくれるファーストフード」「はさむコミュニケーションプレイスとしてのファーストフード(?)」など、食品ではなく「場」や「出会いの機会」としてファーストフード店を使うアイデアが多く出ていました。
中には「殺虫剤ブランドへ転身!」と言ったものも。

発表者の様子の写真

西村氏:コミュニケーション系が多いですね。殺虫剤はすごいジャンプ力。おもしろいです。テクノロジーを使うよりも人を資源としたアイディアが多いですね。テクノロジーを使った意見が出たグループは?

西村氏の問いに会場からは「ドローンを使う」「ドローンデリバリー」「3Dプリンター使って製造業になる」といった発言が飛び交いました。

質疑応答タイム

発表に一区切りついたところで、講師陣の方々への質疑応答タイムが始まりました。
発言のハードルを低くするため、Facebookのイベントページで質問を受け、講師陣が回答するスタイルとなりました。予想通り、自由な質問が多数投稿されていきます。

マーケティングは恋愛そのもの。ドキドキしないとダメ。つまらないと感じたらやらない方がいい

Q:(アイデアを出すためには)トイレに行くといいんですか?

西村氏:アイディアが出る場所ってこと?私は話をしているときが多いです。言葉になってない思考が、ちゃんと言葉になることで整理される感じ。

府川氏:僕もそうですね。みなさんも今日ワークショップをやって感じたと思うんですが、1人でいても何も浮かばない。でも何人かで話すと浮かんでくるんです。話をしているうちにアイデアが湧いてきます。

Q:マーケティングと恋愛は関係性がある?

松林氏:関係性があるというか、そのものですよ。傷ついた経験がないと浅くなる。死んじゃうと生き返ってこれないけど、恋愛は失恋しても生き返ってこれる。失恋が多い人の方がマーケティングに向いている。失恋したことがない人のマーケティングはダメだと思う。一番大事なことは失恋しているかどうかだと思いますね。

椎谷氏:失恋の数と離婚の数は関係性ありますか?

松林氏:よくわかんないですね。自分で決めてください(笑)

西村氏:まぁでも、マーケティングはプロダクトを世に売り出すことだから、自分自身が惚れ込まなきゃいけない。いかに惚れ込んだかっていう経験がないとダメなのかなって思います。

府川氏:あと、どんなに練りに練ったプロジェクトでも、ドキドキしないとだめだと思います。最近も先輩と話してたら「ふかちゃん、つまんないことは、1ミリもやらなくていい」と言われて。ネジ外れました。

登壇者一同:同じ!同じ!!

松林氏
僕つまんなかったら全く来ないですから。面白くないところには行った時点で負けているから。面白いことだけ求めない人とは付き合いたくないんです。極論。

府川氏:そういえば打ち合わせ一回も来ませんでしたしね…(笑)

椎谷氏:僕は、自分から凄いアイデアが出るなんて思ってないんですよ。だから思ったことなんでも言って、それに対する周りの反応にはものすごく敏感。そこを「いただきます」と。

西村氏:なるほど。だから面白い人がいる環境に飛び込んでいくと。

椎谷氏:良い悪いとかはなく、相手の反応が面白いんですよね。

松林氏:皆さんせっかくこうして集まってるんで、ここに上がって、セッションしましょう。

自分が欲しいと思うものを作るのが「ものづくり」

4名の様子

松林氏の「セッションしましょう」という言葉をきっかけに、参加者の中から数名が登壇し、会場全体を巻き込んだセッションが始まりました。
自己紹介する人、抱えている問題を話す人、その問題に答える人も登壇するという、講師と参加者の境界が無い非常に自由な場が生まれていました。

そしてものづくりについての質問を投げかけたある参加者に対して、椎谷氏からものづくりについての鋭い意見が飛び出します。

椎谷氏

椎谷氏:マーケットが求めてるものを作るのって、超ビジネスだよね。それは自分がやりたいことじゃない。僕は昨日、自分のベランダで縁側を作ってたんですよ。DIYで。休みの日に縁側でお茶を飲みたいと思ったから。だから作った。ものづくりってそういうことじゃないの?

マーケティングの起点になるもののとして「マーケットイン」「プロダクトアウト」という2つの概念が存在します。
新しくモノを作りたいと思った場合は、「プロダクトアウト(=自分が作りたいと思ったものを作る)」思考を徹底した方が良いのかもしれません。

自分のカテゴリや役割にとらわれるな

また一方で、参加者からはこのような質問も出ました。

Q:アーティストとデザイナーの違いってなんでしょうか?

西村氏:なぜ区切りをつける必要あるんでしょうか?

質問者:デザイナー志望の生徒から結構聞かれたりすることがあるので。

西村氏:カテゴリに対して憧れるのってもったいない。デザイナーになりたいとかじゃなくて、作りたいものがあるから結果デザイナーになるっていうのならわけるけど、カテゴリにとらわれるのはもったいないなとは思うけど…そこのところどうなんでしょう?ハレオさん。

椎谷氏:デザインはビジネスだよね。感覚だと思われてるけど、全く感覚的ではない。ビジネスだから。一方でアーティストは人生。何にもとらわれることがないから、自分のやりたいことを吐き出す。僕はそう思ってる。

自分のカテゴリや役割にとらわれるな

松林氏:自分の役割にカテゴリに囚われた瞬間、人の魅力って10分の1ぐらいになっちゃうと思う。自分の感性とやりたいことを突き詰めれば、レッテルなんて周りが勝手に貼ってくれるんですよ。すると名刺も会社もいらなくなる。そういうところに囚われてる現代はものすごく時代遅れ。僕がここに来ているのは、そういうものを全部剥がしたいから。自分が自分であるために人と触れ合う人間でありたい。

府川氏:僕も賛成ですね。なりたいものになればいいなと思いますね。

西村氏:それで言うと、皆さんグロービスとかチームラボとかトーマツとかネームバリューがあるところに所属されてて結構それって武器だと思うんですけど、私はそういうものをいったん取っ払いたくて会社つくりました。プロデューサーでもマーケターでもなんでもよくて、消費者もどうでもいい。まず自分が作りたいものを作ることによって市場ができると思ってチャレンジしています。

ワークショップ2回戦へ

質疑応答に一区切りついたところで、講師陣から「もっとネジを外せるはず」という言葉を受け、2回目のワークショップへ突入しました。

椎谷氏:普段、職場などでこれ言ったらまずいかもな~ってこと、あるでしょ。今日は言ってください。職場ではできなくても、今日はできるから。さっきのディスカッションでは言えなかったなあということを2回目で発言してください。

グループメンバーを変更し、お題はそのまま「ファーストフードの未来を変えるぶっ飛んだアイデアを考えよ」です。

 2回目のワークショップの様子
暑いくらいの熱気に包まれた会場では、メンバーが変更になったにも関わらず1回目より更に熱い議論が繰り広げられていました。
講師陣の言葉に刺激を受けたのか、お互いアイデアを遠慮せずに発散し合っている様子が見てとれます。

2回目のワークショップの様子

2回目の発表では「ファーストフード×オリンピック」「宇宙人にサンプリング(?)」「ポテトの替わりにIDチップを食べる(?)」「テーマパーク的ファーストフード(日替わりでテーマが変わる)」など、一見すると突拍子もないアイデアが次々に発表されました。

プレゼンの方法にも変化が生まれました。1回目ではグループの代表1人が話すだけでしたが、2回目は寸劇を交えたプレゼンを行うチームや、熱唱する方まで。
参加者の方たちの「~してはいけない」「こうでなければならない」といった固定概念が外れた瞬間だったのかもしれません。

大盛り上がりのままイベントは終了し、その後も賑やかな雰囲気のまま、交流会が続きました。