BtoBマーケティングにおける目標の達成度を、定量的に評価する際に必要なKPI
KPI設計に取り組もうとしているものの、「どのように設計すればいいのか」「どんなKPIを設定すればいいのか」といった疑問を抱えているマーケターの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、BtoBマーケティングにおけるKPIの基礎知識を説明するとともに、KPIの設計方法施策ごとのKPIマーケターが注意すべきポイントなどを分かりやすく解説します。

目次

  1. BtoBマーケティングにおけるKPIとは?
  2. BtoBマーケティングにおけるKPIの設計方法
  3. マーケティング部署で設定すべきKPI
  4. BtoBマーケティングにおける施策ごとのKPI例
  5. BtoBマーケティングのKPIで注意すべきポイント
  6. 適切なKPIを設計してBtoBマーケティングで成果を出そう
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BtoBマーケティングにおけるKPIとは?

KPIとは、最終的な目標であるKGIを達成するために設定する定量的な指標です。

KPIを設定することでマーケティング活動の成果を客観的に評価できるため、ボトルネックとなっている箇所を明確にしたり、課題をスピーディーに改善したりすることが可能になります。

BtoBマーケティングではBtoCと比べて商材単価が高いことから、検討期間が長くなる傾向にあります。そのため、KPIを設けて長期的に施策の成果を評価・改善していくことが重要です。

BtoBマーケティングにおけるKPIの設計方法

次に、BtoBマーケティングKPIを設計する方法を解説します。

KGIを明確化する

BtoBマーケティングにおける目標設定01.png

KPIを設計する際は、まずKGIを明確化しましょう。KGIとは、企業・事業の最終目的となる数値目標です。KPIKGIの数値から逆算して設計していくので、KGIが曖昧だと効果的なKPIを設定することができません。

KGIを設定する際は、「3ヶ月で成約数を1.5倍にする」「1年間で売上を2倍に」など、定量的な目標になっているかを確認しましょう。

目標の売上/受注件数から必要なリード数を算出する

最終的な目標である売上や受注件数などが明確になったら、次は目標達成に必要なリード数を算出していきます。下図のように、KGIから逆算して算出しましょう。

BtoBマーケティングにおける目標設定03.png

例えば「月間5件の成約を獲得する」というKGIを設定している場合は、下図のように数値を逆算できます。

BtoBマーケティングにおける目標設定02.png

詳しい設計方法は以下の資料で解説していますので、あわせてご覧ください。

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マーケティング部署で設定すべきKPI

リード・MQL・SQL.png

ここでは、マーケティング部署で設定すべき3つのKPIリード数・MQL数・SQL数」について説明します。
なお、これらのKPIマーケティングとインサイドセールスの部署が共同で設定するケースも多く見られます。

リード数

リード数とは、自社商品・サービスに関心があり、購入・契約を検討している見込み客のことです。

リード数は成約につながる土台とも言えるものであり、案件数や商談数を獲得するためにも欠かせないKPIであるため必ず設定しましょう。先ほど説明した通り、最終的な目標である売上や受注件数をもとにして必要なリード数を算出します。

必要なリード数が明確になれば、広告やウェビナーなど施策ごとの数値目標を設定する際にも役立ちます。

MQL数

MQL(Marketing Qualified Lead)とは、リードの中でもより確度の高いリードのことです。MQLは商談化しやすいため、優先的にアプローチすることでマーケティング活動の効率化につながります。

ただし、マーケティング担当者がMQLを選定した段階では見込み度合いがあまり高まっていないため、セールスチームが継続的にフォローすることが重要です。そのため、MQLはマーケティングとインサイドセールスの部署が共同で追うケースが多く見受けられます。

MQLに効率的にアプローチするには、まずどんな条件を満たしたリードが獲得できるのが望ましいのかを、セールスチームと認識を合わせておきましょう。具体例は以下の通りです。

【MQLの例】
・資料請求を行った
・問い合わせをした
・見積もり依頼をした
・料金ページを再訪問した

MQLについては以下の記事で詳しく説明しているため、ぜひ参考にしてください。

関連記事:MQLとは?マーケティングにおける重要性やSQLとの違いを解説

SQL数

SQL(Sales Qualified Lead)とは、営業活動を行う中で育成した最も確度の高いリードのことです。

MQLはマーケティング部署が精査するのに対し、SQLはセールス部署がMQLの中からさらに受注見込みの高いリードと認定した見込み客のことを指します。

SQLはMQLよりも受注確度が高いだけでなく、希望納期が決まっているケースが多いため、失注リスクを避けるためにも早めにアプローチすることが重要です。

BtoBマーケティングにおける施策ごとのKPI例

BtoBマーケティングには広告やサイト運営、ウェビナー、展示会など様々な施策があります。ここでは、各施策ごとのKPI例を紹介します。

サービスサイト・オウンドメディア

サービスサイトやオウンドメディアでは、以下のKPIが設定されるのが一般的です。

KPI 概要
セッション ユーザーがサイトに訪れた回数
フォーム到達数 フォームのあるページにユーザーが訪問した回数
フォーム到達率 サイト全体の訪問者のうち、フォームのあるページに訪問した人の割合
フォーム完了率 フォームを訪れた人のうち、入力完了した人の割合
コンバージョン数(CV) ユーザーが資料請求や問い合わせなどのアクションをした回数
コンバージョン率(CVR アクセスしたユーザーのうちコンバージョンに至った割合

サービスサイト・オウンドメディア運営の大きな目的は、多くのユーザーに訪れてもらい商品に興味を持ってもらったり、問い合わせといった行動をしてもらったりすることです。

そのため、最終ゴールのコンバージョンの他に、セッションフォーム到達率などの過程となるKPIも確認するようにしましょう。

広告

広告の場合は、以下をKPIに設定するとよいでしょう。

KPI 概要
表示回数(インプレッション) 広告が表示された回数
クリック率(CTR 広告が表示された回数に対して、どれくらいクリックされているかを示す数値
コンバージョン数(CV) ユーザーが資料請求や問い合わせなどのアクションをした回数
コンバージョン率(CVR 広告経由で何件の購入につながったのかを示す数値
顧客獲得単価(CPA) 1件のコンバージョンを獲得するためにかかったコスト
クリック単価(CPC) 広告が1回クリックされた際に生じるコスト

媒体やクリエイティブ、キーワードなど細かいセグメントにわけて、これらのKPIを見ていくのがポイントです。それぞれの詳細や算出方法は、以下の記事で解説しています。

関連記事:CPC・CTR・CVR・CPA:マーケティングに必須の広告用語

ウェビナー

ウェビナーは場所を借りるコストや移動時間などを削減できるため、BtoB企業によく用いられる施策のひとつです。ウェビナー運営で設定されるKPIは以下の通りです。

KPI 概要
申込者数 メールや広告などからウェビナーに申し込んだ人の数
参加者数 ウェビナーに参加した人の数
参加率(出席率) 申込者のうち、実際に参加した人の割合
商談数 ウェビナー後に商談につながった数

上記の指標をモニタリングし、「申込者数が少ない場合は集客方法を見直す」「商談数が少ない場合は内容やアフターフォローを改善する」など、KPIをベースにウェビナーを改善していきましょう。

BtoBウェビナーの内容や集客方法については、以下の記事で解説しています。

関連記事:BtoBウェビナーの企画の立て方。ターゲット別の内容や集客方法も解説

展示会

展示会は、自社の認知拡大や新規リード獲得をする際に役立つ施策です。BtoBマーケティングで展示会を開催する場合は、以下のようなKPIを設定しましょう。

KPI 概要
名刺獲得数 来場者から受け取った名刺の枚数
商談数 展示会中・展示会終了後に行われた商談の数
商談化率 来場者のうち商談につながった割合
コンバージョン率 来場者が成約に至った数

展示会に参加する場合は、過去の出展データを元にKPIの数値を決めるのがおすすめです。出展したことがない場合は、イベント主催者から過去の参考データをもらいましょう。

インサイドセールス

電話やメールなどでリードにアプローチするインサイドセールスでは、主に以下の項目がKPIに設定されます。

KPI 概要
通話数 リードへ電話した回数のうち、担当者につながった数や割合
アポイント数 電話がつながり次回の打ち合わせ日程が決まった件数
メール開封率 送信したメールが開封された割合
商談化数 リストからどれだけ商談の機会を獲得できたかを示す指標
案件化数 商談の機会を獲得してから見込み顧客へと引き上げることができた数
受注数(率) 実際に受注できた案件数
受注金額 受注した金額

インサイドセールスはマーケティングで獲得したリードを商談へと誘導する役割があり、マーケティングとの結びつきが強い業務であるといえます。そのため、マーケティングチームはインサイドセールスのKPIも把握しておくとよいでしょう。

KPIの詳細や設定のコツは、以下の記事で解説しています。

関連記事:インサイドセールスのKPI設定のコツ!注意点、改善策も解説

カスタマーサクセス

カスタマーサクセスでは、以下の項目をKPIに設定するとよいでしょう。

KPI 概要
LTV(顧客生涯価値) 取引期間中に顧客から得られる収益の総額
解約率 自社のサービスが解約された割合
NPS(顧客推奨度) 自社のサービスに対して 顧客がどれだけ愛着を感じているかを測る指標

上記KPIの詳細や算出方法については、以下の記事で解説しています。

関連記事:カスタマーサクセスとは?具体的な取り組みと重要なKPI、BtoBの事例を解説

BtoBマーケティングのKPIで注意すべきポイント

ここでは、BtoBマーケティングKPIを設計する上で注意すべきポイントを紹介します。

定量的かつ達成可能なKPIを設定する

KPIを設定する際は曖昧で実現性の低いものではなく、定量的かつ達成可能なKPIを設定しましょう。

具体的で実現可能な目標を設定することで、進捗を把握しやすくなるだけでなく達成までに行うべきアクションの方向性も決められるようになります。

そのため、「来月までに新規リードを〇人獲得する」「CVRを〇%にする」といったように定量的なKPIを設定しましょう。また、自社のリソースや売上の伸び率を考慮することで、実現性の高いKPIを設定できます。

定期的に見直し・改善する

KPIは一度設定して終わりにするのではなく、定期的に見直し・改善する必要があります。KPIの設定時は適切であっても、社外・社内の環境変化などによって数値が実現可能でなくなってしまう可能性があるためです。

したがって、週次・月次などのタイミングで定期的に見直し、目標を達成できていない場合は数値そのものや施策の内容などを改善しましょう。

適切なKPIを設計してBtoBマーケティングで成果を出そう

KGIから逆算してKPIを設定することで、目標数値や行うべき施策が明確になり、各プロセスの状況や問題点を具体的に把握できます。BtoBマーケティングで成果を出すためにも、適切なKPIを設定・管理していきましょう。

KGIKPI設定の方法については、以下の資料にて詳しく解説していますので、これからKPIの整理をしたいと考えている方はぜひご覧ください。

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