リスティング広告の運用を担当することになったものの、予算の決め方キーワードの選び方などがわからず方法を模索している方も多いのではないでしょうか。

リスティング広告の成果を高めるためには、正しい運用方法を押さえておく必要があります。リスティング広告の特徴や出稿までの流れを理解し、目標に応じた予算配分やキーワード選びにより、費用対効果の改善が可能です。

この記事では、リスティング広告の特徴運用方法について、具体例を交えながら解説します。リスティング広告初心者の方はぜひ参考にしてください。

目次

  1. リスティング広告の特徴
  2. リスティング広告の表示場所
  3. リスティング広告の出稿までの流れ
  4. リスティング広告の順位が決まる仕組み
  5. リスティング広告の費用の決め方
  6. リスティング広告でのキーワードの選び方
  7. リスティング広告の始め方を具体例と併せて紹介
  8. 出稿までの流れや費用の決め方を押さえてリスティング広告を運用しよう

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「リスティング広告の運用をしているけど、成果が出ているか分からない」「予算内で効果的に成果を出したい」そんな状況を解決するために作成されたのが本書です。リスティング広告のメリットを整理した上で、CTR・CVRの改善策をメインに解説します。

リスティング広告の特徴

リスティング広告の主な特徴として、クリック課金制であることと、SEO対策と比較してアクセスが集まるまでのスピードが速いことが挙げられます。

クリック課金制とは、広告がクリックされた回数に応じて広告費が発生する仕組みです。実際に広告がクリックされるまで費用がかからないため、予算に応じて運用できます。

また、リスティング広告は設定を完了後すぐにGoogleやYahoo!などの検索エンジンに表示されます。そのため、検索順位が上がるまで時間がかかるSEO対策と比べて、短期間でアクセスを集められます

リスティング広告の表示場所

リスティング広告の表示場所は、検索結果画面の上部や下部です。検索されるキーワードによって、検索結果画面の下部にしか表示されなかったり、上下の両方に表示されたりします。

以下の画像は、Googleで検索しリスティング広告が表示されている様子です。リスティング広告には、左上に「広告」と記載されています。

リスティング広告表示場所_google.png

Yahoo!で検索した場合も同様に、「広告」と記載されている部分がリスティング広告の表示場所です。

リスティング広告表示場所_yahoo__.png

リスティング広告の出稿までの流れ

リスティング広告を出稿するためには、最初にアカウントを作成する必要があります。

Google広告アカウントでは、Googleをはじめとした検索エンジンなどに広告を出すことが可能です。Yahoo!広告アカウントではYahoo!などの検索エンジンなどに広告を表示できます。

Google広告とYahoo!広告リスティング広告を出稿するまでの流れは次の通りです。

Google広告を出稿する流れ

Google広告アカウントにログインし、「新しいキャンペーンを作成」を選択します。

出稿の手順_google.png

「販売促進」や「見込み顧客の獲得」など、リスティング広告を出稿する目的を選び、キャンペーンタイプで「検索」を選択します。

出稿の手順_google-2.png

出稿の手順_google-3.png

目標の達成で「ウェブサイトへのアクセス」を選び、キャンペーン名を入力し「続行」を選択します。

image14.png

1日あたりの予算などを入力し、「次へ」を選択します。

image12.png

広告を表示するネットワークや地域などを選択し、「次へ」を選択します。

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広告を表示したいキーワードと、広告文のタイトルや説明文、リンクページURLなどを入力し、「次へ」を選択します。

twitter出稿の手順_6.png

twitter出稿の手順_7.png

広告の設定後、広告文の審査が自動的に始まり、審査に通ると広告が表示されます。一度設定した内容は、必要に応じて後から変更することもできます。

Yahoo!広告を出稿する流れ

Yahoo!広告アカウントにログインし、検索広告のタブから「キャンペーン作成」を選択します。

出稿の手順_yahoo.png

キャンペーンタイプやキャンペーン名、スケジュール、予算などを設定し「保存して広告グループ作成へ」を選択します。

出稿の手順_yahoo-2.png
広告グループ名や広告グループ入札価格などを設定し、「保存してキーワード作成へ」を選択します。

出稿の手順_yahoo-3.png

広告を出稿したいキーワードを入力し、「保存」を選択します。

出稿の手順_yahoo-4.png

広告名や広告タイトル、説明文、リンクURLなどを入力し「保存」を選択しましょう。広告文が審査に通ると、広告の表示が開始されます。

リスティング広告の順位が決まる仕組み

あるキーワードに対して複数の広告主がリスティング広告を出稿している場合、広告ランクと呼ばれる指標をもとに表示順位が決まります。より広告ランクが高いリスティング広告ほど、上位表示が可能です。

広告ランクは、以下で解説するような仕組みによって決まります。

広告ランクは入札価格と品質が重要

広告ランクは、入札価格と品質の掛け算で決まる指標です。例えば、あるキーワードに対して3社の広告主がリスティング広告を出している場合、表示順位は次のようになります。

入札価格 品質 広告ランク
(入札価格×品質)
広告の表示順位
A社 100円 9 900 1位
B社 130円 6 780 2位
C社 90円 7 630 3位


この例では、入札価格が最も高いのはB社です。しかし、入札価格に品質を掛けた広告ランクはA社の方が高いため、A社の広告が1位、B社の広告は2位に表示されます。

つまり、単に入札価格を上げるだけでは、広告の表示順位が上がるとは限りません。入札価格と品質の両方を高めることが重要です。

広告の品質は、入札するキーワードと広告文の関連性や、リンクページの利便性など複数のポイントで評価されます。リスティング広告の管理画面で広告の品質を確認し、より高くなるように広告文やリンクページの内容を改善しましょう。

リスティング広告の費用の決め方

リスティング広告にかける費用の決め方には、大きく分けて次の2種類があります。

  • 獲得したい成果から逆算して決める方法
  • 広告費用の相場から算出する方法

2つの方法を知っておくことで、目標達成に必要な広告予算の算出が可能です。広告予算の根拠があいまいな状態で運用をスタートしてしまうと、余計なコストがかかったり、目標達成に時間がかかったりするため注意する必要があります。

それでは一つずつ紹介していきます。

獲得したい成果から逆算して予算を算出

まずは、リスティング広告によって獲得したい成果を明確にしましょう。商品の販売や問い合わせ、資料請求などの獲得がリスティング広告の成果として挙げられます。

リスティング広告の予算を決める際は、成果を1件獲得した場合に得られる収益額が重要となります。

たとえば、次のような形で成果1件あたりの収益額を算出してください。

・「商品が1件販売できると1,500円の収益が得られる」
・「資料請求1件獲得につき20,000円の収益が見込まれる」など

成果1件獲得あたりにかけられるリスティング広告の費用は、この収益額が上限です。これ以上の費用が掛かる場合、リスティング広告で成果を獲得しても赤字となってしまいます。

次に、リスティング広告で1ヶ月間に獲得したい成果の件数を決めましょう。

・「商品の新規購入100件」
・「資料請求300件」など

たとえば、1件あたり1,500円の収益が得られる商品を100件販売したい場合、リスティング広告予算の上限は1,500円×100件=150,000円です。

ただし、広告費が150,000円かかってしまうと利益が残らないため、実際には100,000円など上限を下回る金額で予算を設定する必要があります。

クリック単価の相場から算出

クリック単価の相場からも、リスティング広告の予算を算出することが可能です。リスティング広告が1回クリックされるごとにかかる広告費は、広告を出すキーワードによって異なります。

また、リスティング広告がクリックされた回数に対して、商品購入や資料請求などの成果が得られる確率は「コンバージョン率」と呼ばれ、1%程度が目安です。つまり、広告が100回程度クリックされるたびに1件の成果を得られる見込みがあります。

たとえば、予想されるクリック単価の平均が80円の場合、1件の成果を得るために必要な広告費は次の通りです。

80円(クリック単価)×100クリック=8,000円(1件の成果を得るためにかかる広告費)

この場合、1ヶ月間に獲得したい成果が30件であれば、必要な広告予算は8,000円×30件=240,000円となります。

ただし、コンバージョン率は広告リンクページの内容や、扱う商品の種類によって変化する要素です。まずは1%を目安として広告予算を決め、2か月目以降は実際のコンバージョン率を加味して広告予算を調節しましょう。

リスティング広告の一般的な予算は?

国内の中小企業におけるリスティング広告の一般的な予算は、月額20万円程度が相場です。ただし、1ヶ月あたりのリスティング広告予算は、業種やビジネスの規模によって異なります。

特に、商品単価が高い業種や、LTVの高いリピート商品を販売している企業では広告予算が高まる傾向です。

リスティング広告でのキーワードの選び方

リスティング広告で成果を得るためには、広告を出すキーワードの選び方が重要です。Googleキーワードプランナーを使うと、集客の見込み度が高いキーワードを探したり、推定されるクリック単価を調べたりすることができます。

Googleキーワードプランナーの使い方や、目標と予算に応じたキーワードの選び方は次の通りです。

Googleキーワードプランナーを使ったキーワード選定

Google広告アカウントを持っている場合、「ツールと設定」の項目からGoogleキーワードプランナーが利用できます。

「新しいキーワードを見つける」のメニューで、広告に関連するキーワードを入力すると、関連性の高いキーワード情報の確認が可能です。

img-01.jpg
広告したい商品やビジネスに関連するキーワードを入力

img-02.jpg
関連性の高いキーワードの情報が一覧で表示される

Googleキーワードプランナーには、Google検索エンジンにおける過去の実績をもとにした情報が表示されます。そのため、検索回数が多いキーワードを選定することが可能です。

目標と予算に応じたキーワードの選び方

リスティング広告を出すキーワードを選ぶ際は、Googleキーワードプランナーに表示されるクリック単価の推定値や、月間平均検索ボリュームが重要となります。

広告を出稿したいキーワードがあったとしても、クリック単価の推定値が目標と比べて高すぎる場合は注意が必要です。クリック単価が高ければ、よりクリック単価の推定値が低い別のキーワードを探す、2語や3語のキーワードを組み合わせて競合性を下げるなどの対策を行いましょう。

また、目標を達成するために必要なクリック数に応じて、十分な検索ボリュームを確保することもキーワード選びのポイントです。狙っていたキーワードの検索ボリュームが少なければ、複数のキーワードに広告を出稿し、全体として目標とするクリック数を達成するなどの対策が必要となります。

リスティング広告の始め方を具体例と併せて紹介

最後に、リスティング広告の予算決定からキーワード選定運用までの流れをシミュレーションしましょう。今回は説明のために、記念日向けのギフトをネット販売している架空の会社を例とします。

以下の例を参考にしながら、自社の商品やサービスに置き換えて考えてみてください。

まずはサービスに沿った売上目標を決めよう

リスティング広告の運用を開始するにあたって、まずは広告によって立てたい売上目標を決めましょう。

実際に売上目標を決める際は、「リスティング広告開始前と比べて売上を30%アップさせる」など、現状をベースとした決め方がおすすめです。今回の説明では、1個あたり10,000円のギフト向け商品を100個販売すると仮定します。

この段階で、リスティング広告にかけるコストについても、目標値を決めておくことが大切です。

たとえば、今回のギフト向け商品について、材料費や製造費などの原価を除いた1個あたりの収益額が4,000円だと仮定します。この場合、リスティング広告広告費が1個あたり4,000円以上かかってしまうと、たとえ商品が売れたとしても赤字です。

広告費を差し引いたあとも利益が残るようにするため、1個販売あたり3,000円を広告費の上限として定めます。

ここまでの条件をまとめると次の通りです。

項目 金額
商品1個あたりの売上 10,000円
目標の販売数 100個
商品1個販売あたりの上限広告 3,000円
広告予算 300,000円
売上目標 1,000,000円

自社サービスに合うキーワードを選ぼう

次に、目標をクリアするために、広告を出すキーワードを選びましょう。今回は、まず「誕生日 ギフト」というキーワードをGoogleキーワードプランナーに入力してみました。

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「誕生日 ギフト」の月間平均検索ボリュームは2,900件です。また、クリック単価は29円~95円と推定されます。

リスティング広告のクリック率はキーワードや広告文、競合の状況によって異なりますが、通常は3%、高ければ5%~10%以上となる傾向です。

もしクリック率が5%だとした場合、「誕生日 ギフト」で広告が2,900回表示されると、クリック数は2,900×5%=145回となります。

コンバージョン率が1%の場合、145回のクリックでは1~2件しか商品が売れません。つまり、「誕生日 ギフト」というキーワードで広告を出すだけでは、販売目標である100個の達成は難しいことがわかります。

そこで、「誕生日 ギフト」以外に自社サービスに合うキーワードがないか、Googleキーワードプランナーで探してみましょう。

img-04.jpg

「誕生日 ギフト」よりも検索ボリュームが多いキーワードとして「彼氏 プレゼント」や「彼女 プレゼント」、「おばあちゃん プレゼント」、「父親 誕生日 プレゼント」などが見つかりました。

これらの検索ボリュームを合計すると、月間の表示回数は74,800回と見込まれます。クリック率が5%ならクリック数は74,800×5%=3,740回、コンバージョン率が1%なら37個前後が売れる見込みです。

これらのほかにも検索ボリュームの多いキーワードを探すことで、目標売上を達成できる方法を模索しましょう。

ただし、Googleキーワードプランナーによるリサーチ結果から、最初に決めた目標を達成することが難しいと判明する可能性もあります。その場合は、目標を下方修正するか、リスティング広告以外の媒体も組み合わせるなどの対策が必要です。

また、検索ボリューム以外に、クリック単価の推定値もチェックする必要があります。

たとえば「誕生日 ギフト」の場合、クリック単価が29円でコンバージョン率が1%であれば、商品1個販売あたりに2,900円の広告費が必要です。

このように、広告費の推定値が目標として定めた条件を満たしているかも確認したうえで、広告運用プランを立てましょう。

リスティング広告運用のPDCAを意識しよう

プランが立てられたら、実際にリスティング広告アカウントを設定し、広告運用を開始します。このとき、運用状況をチェックしてPDCAサイクルを回すことが大切です。
広告文の内容や、広告リンクページの内容を改善することで、広告の費用対効果が高まります。2パターンを同時に試して成果の高いほうを残す*「ABテスト」*などの手法を使って、広告の運用状況を改善しましょう。

ただし、成果が出ない場合は撤退するポイントを決めておくことも重要です。あらかじめ決めた目標を達成できない場合は、事前に決めたタイミングで広告運用を中止し、赤字がでてしまうことを防ぎましょう。

出稿までの流れや費用の決め方を押さえてリスティング広告を運用しよう

リスティング広告を運用する際は、出稿までの流れ費用の決め方キーワードの選び方などを理解することが大切です。この記事で紹介したツールの使い方や具体例を参考に、リスティング広告運用を成功させましょう。

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