日本国内の企業において、昨今、オウンドメディアとしてコーポレートサイトやサービスページを持つことは至極当然となり、それと同様にアーンドメディアとしてSNS運用に注力する企業が増えています。

そのSNSの代表的な例の一つが、Facebookです。
Facebookを活用する(Facebookページを持つ)企業数は2015年12月時点では5,000万を突破しました。(※1)Facebook広告は多くの企業で活用されていますが、その運用方法は様々です。

今回は、普段のFacebook広告活用の際に参考となる基本的な概念と5つの出稿形式ごとのポイントをご紹介します。なお、本記事はFacebook広告の運用代行の専門家である株式会社Ad ListingのFacebook広告 運用責任者である志賀誠氏に監修いただきます。

Facebook広告とは?

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まずは、Facebook広告についておさらいしましょう。

Facebook広告とは、Facebookのタイムライン上に表示される広告で、日本国内だけではなく、世界中のFacebookユーザーに対して自社の商品やサービスを宣伝することができる広告です。

主な広告表示パターンは、上の画像を参照ください。
PCとスマホではやや異なり、スマートフォンでは①のように「モバイルニュースフィード(タイムライン)」掲載され、PCでは②、③のように「デスクトップニュースフィード(タイムライン)」と「右側広告」の2箇所に広告が掲載されます。ちなみに、タブレットの場合は、PC版、スマホ版の広告が自動的に切り替わる形で表示されます。
そのほか、サードパーティと呼ばれる掲載箇所があり、Facebookと連携したアプリを利用すると画面の下側に表示される広告表示パターンもあります。

Facebook広告は、Facebookアカウントを取得したユーザーであれば誰でも簡単に出稿することができます。出稿方法がシンプルで、一般的なWeb広告と比較すると、コストパフォーマンスが高いのが特徴です。

そのほか、下記のとおり、「Facebookユーザーの個人情報がターゲティングに使える」「動画やカルーセルといった、様々な広告出稿パターンがある」というFacebookならではの強みを持ち合わせ、本当に狙いたいターゲットにのみ、ピンポイントで広告を表示させることができます。

■Facebook広告のメリット
・Facebookユーザーの個人情報がターゲティングに使える
・効果測定が簡単に行なえる
・モバイルユーザーにも同様の広告配信が可能
・外国語による外国人向けの広告も簡単に出稿できる
・動画やカルーセルといった、様々な広告出稿パターンがある

「類似オーディエンス」機能と通常配信について

Facebook広告を出稿する上で、担当者が気になる点というと、様々な広告配信方法が存在する中、どの配信形式がCV数、CVRが高いのか、ということではないでしょうか。
そこで続いて、ご説明したいのが「類似オーディエンス」になります。

「類似オーディエンス」とは、既存リストと類似した行動・属性を持つFacebookユーザーを抽出することができる機能です。
つまり、自社の既存顧客やFacebookページのファンと類似した行動・属性を持つ、これまでアプローチできていないユーザーに対して広告配信することが可能となります。

志賀氏のコメント:
どのようにFacebookページに集客すればいいかわからない……。
きちんと顧客リストを管理しておらず、ハウスリストを上手く活用できない……。

このような状況の方も、決して少なくないはずです。
ただ、Facebook広告は、正しいやり方さえ理解していれば、成功を手繰り寄せることができますので安心してください。前述のような状況でも成果を高確率で出せる方法をご紹介します。それが「類似オーディエンス」機能です。自社が優良顧客だと考えるAさんがいたとします。このモデルケースであるAさんと近しい行動、もしくは属性情報を持つリストを、Facebookユーザー全体から厳選することができ、そこにターゲットを絞って広告配信することが可能です。

ちなみに、成果の出る類似オーディエンスには3種類存在します。

 ・リスト類似(自社が抱えているリストと似たユーザー)
 ・CV類似(自社の製品を購入したユーザーと似たユーザー)
 ・リマケ類似(自社のサイトに訪れたユーザーと似たユーザー)

自社で顧客リストを持っていない場合、この「類似オーディエンス」の"リスト類似"を行い、その後、"リマケ類似"、"CV類似"とつなげて広告配信することで、Aさんに近しい準優良顧客というべきリードを限りなく手繰り寄せることができます。

Facebook広告の成果を最大化させる5つの改善ポイント

基本的には、CV目的でFacebook広告を活用する場合、類似オーディエンス機能を活用して通常広告を配信するという、ここまで説明した方法で成果は出せるはずです。
ただ、それでもイメージしていた成果が出ていないという企業様や、もっと成果を拡張させたいという方がいらっしゃいましたら、これから紹介する配信方法をぜひ活用してみてください。

リスト獲得を行いたい場合「リード広告」

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リード広告は、メジャーな広告出稿形式の一つです。商品やサービスに関心を持つユーザーのリストを獲得するための手段として、非常にシンプルで、広告配信側もユーザー側もストレスなく、関係性を構築できます。

まず、ユーザーが広告をクリックすると入力フォームページに遷移します。ちなみに、遷移先の入力フォームページには、すでにFacebookに登録してあるユーザー情報(名前や電話番号、メールアドレスなど)が自動的に入力された状態で表示され、残りの未入力部分や修正が必要な箇所だけ対応すれば作業完了となります。
ちなみに、リード広告フォームには、自由回答欄や選択欄を追加でき、標準の入力欄とカスタムの入力欄を上手く組み合わせることで、ビジネスを進める上で有益な情報を入手することも可能です。(※2)

志賀氏のコメント:
リード広告の場合は、顧客情報を入手する上で、コストパフォーマンスの高い手法といえます。特に、こちらはYahooやGoogleのディスプレイ広告等と比較すると、その差は歴然です。
例としては、定期的にセミナー等を開催する企業様にオススメで、その集客目的としてリード広告を採用し、最終的にその先の有料セミナーにつなげていくようなイメージが一つのモデルケースといえます。

リード広告の魅力は、Facebookの特性である"ターゲットを明確に絞り込める"点です。「年齢」や「配信エリア」などでユーザーを限定した形で広告配信できるので、Facebookアカウントをお持ちの方が対象の場合は登録されている個人情報をそのまま獲得でき、ムダな広告出稿を防ぐことができます。
注意点を挙げるとすれば、対象ターゲットを正確に絞り込むことと、個人情報(入力)フォームで必要以上に多くの情報を獲得しようと欲張らないことです。

複数の商品を販売している場合「カルーセル広告」

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カルーセル広告は、1つの広告ユニットに、最大5枚の画像とリンクテキストを設定できる広告フォーマットで、一度に複数の情報を訴求できることから、特に、アパレル、飲食、旅行系といった複数のリンク先や訴求ポイントがあるような業種などで広く活用されています。近年、よく目にする広告出稿形式の一つです。

カルーセル広告は、広告ユニットに含まれている各リンク単位でパフォーマンスをチェックできます。そして、結果は画像配列にも影響し、エンゲージメントやパフォーマンス予想に基づいて画像の表示順序を自動調整して、最も評価の高い画像が初めに表示されるように最適化してくれます。
※画像順序を最適化する機能につきましては、前述のとおり、デフォルトでは自動で切り替わる設定ですが、切り替わらないように配信することも可能です。

リンク広告としてWebサイトへの誘導に使うこともできれば、モバイルアプリ広告としてアプリの宣伝に使うことも可能。広告としての効果も優れており、単一画像のリンク広告と比べるとコンバージョン単価が平均30~50%低くなるという結果も出ています。(※3)

志賀氏のコメント:
カルーセル広告の特徴は、複数の画像と、それにあわせて個別でテキストとURLを設定できる点です。
アパレルや飲食、エステ、ECサイトなどの業態の方にはオススメの広告形態で、例えばエステでいうと、頭の写真、体の写真など各部位ごとに画像を使用して広告配信するほうが、バナーのように画像1枚で表現するよりもユーザーに情報訴求しやすいと考えています。

ちなみに、複数枚の画像を使用できるという強みから他の広告と比較した際、クリック数が増加する傾向にあり、弊社実績でいうと10社中7社においてCTRがアップしました。この要因は、カルーセル広告を使用した際、クリック数に応じて評価の高い画像が優先的に順序が自動で変更されるFacebookの機能が後押ししています。たとえば、先頭からアウター、インナー、パンツの順番で設定したとします。でも、実際のところクリックがパンツが最も高いとすると勝手に先頭に順番が変わりますし、それでCTRがアップするというのはあります。


■実績例 不動産業
通常のバナー CPA28,000円 ⇒ CV50件 CPA22,000円

来店させたい場合「クーポン」

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広告クーポンとは、ページに50人以上が「いいね!」をしているFacebookページであれば利用できる、ユーザーに対してクーポンを発行し、サイトや店舗への集客目的に利用されることの多い出稿形式です。

クーポンを購入すると、ユーザーにはメールが届きます。実店舗などでは、店頭でそのメールを見せることで特典を受けることができ、そのほかにもホームページにクーポンコードを入力させるようなキャンペーンも実施することができます。
通常の投稿と同様に、イベント発行ボタンをクリックして即座に発行でき、実店舗を持っている企業であれば顧客とコミュニケーションツールとして活用することができるのが強みです。(※4)

志賀氏のコメント:
クーポン広告は「新規顧客獲得」や「サイトへの集客」を目的にしたECサイトなどで用いられるケースが多いです。キャンペーンやイベント開催時のディスカウントクーポンやノベルティプレゼントクーポンなどで利用するという企業様も過去にいらっしゃいました。

ただ、その点については課題もあります。仮に、リアル店舗に集客した際、現場との連携ミスから、正しくクーポンがどれだけ使用されたのか把握できなかったという企業様も珍しくありません。そうならないためにも、Facebook経由で発行したクーポンで何件獲得できたのかを明確に追えるようなシステムを準備できるかが重要です。

クーポンのダウンロード平均単価が約300~400円とコストパフォーマンスが高いのは魅力です。


■実績例 スポーツイベント業CV82件 CPA280円

商品イメージを高めたい場合「動画広告」

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2015年10月に株式会社サーバーエージェントが発表した国内動画広告市場の調査結果によると、2015年の動画広告市場は506億円で前年比160%と大きく成長しました。その勢いは留まることを知らず、スマートフォンシェアがさらに高まる中、2017年に1,000億円、2020年には2,000億円規模にまで市場拡大すると見られています。

こうした背景のもと、Facebook動画広告も同様に利用頻度が急増しています。静止画と文字で訴求した他の広告と異なり、視覚的にも聴覚的にもその伝えたい情報をユーザーに訴求することができます。
しかも、Facebookの特性を活かして、ターゲットセグメントをした上でのムダのない広告配信、その上で「類似オーディエンス」等で、さらに的確に狙いたいユーザー郡に対してアプローチすることができます。(※5)

志賀氏のコメント:
動画広告を使用するメリットは、何といっても"動きのある画"で情報訴求ができるということです。静止画とテキストでは伝えづらい内容でも、ありのままを訴求できるので、旅行会社やウェディング系の企業からはニーズが特にあります。尺としては30秒~60秒がオススメです。スタートから2~3秒で、その後関心を持ってもらえるのかが決まってくると言われてます。また自動再生された際の音声はミュートとなっているため、ユーザーを画で引きつける工夫が求められます。

そして、動画広告の評価指標についてですが、こちらは、再生回数なのか、再生時間なのか、はたまたCVなのか……目的次第で確認する数値の指標が異なります。
また、Googleが運営するYouTube内の動画広告「TrueView」と比較しても、ほとんど変わらない再生単価で配信を行うことができます。やはりFacebookの特徴を活かして、セグメントした状態で、ムダのない広告配信ができるのは魅力です。
しかしCVを目的とした動画広告は、他の広告形式と比較しコストパフォーマンスが低下する場合もあります。現状ですと多くの場合で再生回数を評価指標とした認知拡大を目的とする広告出稿が多く見受けられます。


■実績例 アパレル動画再生単価1円 再生数34,066回

潜在客へのアプローチをする場合「記事広告」

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記事形式の投稿を広告として出稿することで、自社の商材へのニーズが潜在的であるお客様の来訪を促すことができます。
Facebookはそもそも広告を閲覧するための場ではありません。あくまでも友人や知人の近況や、彼らが共有したニュースを読むために集まってきます。
そのため、ランディングページ(LP)に直接流入を促す広告を実施するよりも、記事形式の投稿を広告として露出することで、ユーザーに対してストレスなく流入を促すことができます。

特に最近ではコンテンツマーケティングの一環として、ブログをFacebookに投稿し、フォロワーやそのフォロワーの友人に対してアプローチすることは多くの企業で実施されています。
投稿した記事から、反響が良かったもの(シェアやいいね!が多くされたもの)を選別し、広告として投稿することでさらに多くのシェアが獲得できるケースもあります。

こうすることで、自社のフォロワーではなかったユーザーにも接することができ、潜在客へのアプローチが可能となります。

志賀氏のコメント:
この形式の広告出稿で多く見られるのが、ランディングページ(LP)に直接流入してもらうのではなく、口コミサイトのページやブログ記事のページなどに流入してもらうパターンです。
ユーザーは広告を閲覧するつもりでその投稿をクリックするのではなく、情報に興味があったクリックするため、購入を促すLPに遷移したあとの直帰率が高くなる傾向にあります。

例えば、化粧品などを扱う会社であればその化粧品の成分を紹介する記事ページに遷移してもらい、「まずは興味を持ってもらう」ことを目的として運用することで、「潜在客を顕在客に育てていく」考え方が重要となります。

また投稿を広告として出稿する場合は、OGPの設定や、遷移先からLPへの導線などを整備しておくことも重要です。


■実績例 
スポーツ用品業(CV目的・認知拡大)CV74件 CPA598円
女性向けメディア(認知拡大)表示回数82,672回 クリック数6913回 CPC11円

まとめ

以上が、Facebook広告運用に変化を与える5つの広告出稿形式とそのポイントでした。

Facebook広告は、年齢やエリア、性別など、詳細なターゲティングによる精度の高い広告配信で一定の成果を得られる広告として認知が広がっています。
今回ご紹介したFacebook広告と、それに関連する出稿形式についてですが、いずれもの出稿形式もCTRとCVは重要な指標で、動画広告については「再生率」「再生時間」という独自の数値も存在します。それに加えて、「エンゲージメント率(拡散率)」や「どれだけいいね数がある」のか、「シェア数」「コメント数」についても必ずチェックしたい指標といえます。

Facebookページの運用担当者の方、広告担当の方、ぜひ一度、今回ご紹介した施策をチャレンジしてみてはいかがでしょうか。きっと新たな気づきに出会えるはずです。

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※1:
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