Vineが終了に至ったとされる3つの要因

ここまで順調に成長していたVineが、なぜ突然終了することになったのでしょうか。
大きな要因として考えられるのは以下の3つです。

1.Twitterの身売り交渉の相次ぐ失敗
2.Twitterアプリ内で動画投稿できるようになったこと
3.インフルエンサーの他媒体への流出

1.Twitterの身売り交渉の相次ぐ失敗

最も大きな理由が、相次ぐTwitter社の身売り交渉失敗とされています。2016年に入ってから、Googleの親会社であるアルファベット、顧客情報管理大手のセールスフォース・ドットコムなどへの売却が相次いで失敗し、Twitter社は経営のスリム化へと迫られていました。

そのため、Vineの終了を発表した日にはTwitter社員へ対する大規模なリストラ計画も発表しました。全社員の約9%が対象とされ、その数は300名近くに及ぶとも言われています。
この余波を受け、Vineのサービス改善へ注力できなくなったのではという憶測も流れています。

2.Twitterがアプリ内で動画投稿できるようになったこと

かつてTwitterで動画をアップロードする際には、YouTubeやVimeo(ヴィメオ)といった外部の動画共有サービスを利用する方法しかありませんでした。そのため、Twitter内で動画コンテンツをスムーズに共有する際には、自社で抱えていたVineへアップロードするのが最も効率が良く、多くのインフルエンサーに重宝されていた背景がありました。

しかし2015年1月からiOS版のTwitterアプリ内にて動画アップロードが可能となり、あえてVineへ投稿する必然性がなくなり始めました。その後Androidアプリやパソコンでの投稿にも対応し、この傾向には拍車がかかったとされています。

また、2016年にはTwitter内でGIF画像の投稿も可能になったことから、Vineアプリの特性であった「短時間のループ再生」に対するニーズとも重なりあってしまいました。Twitterとしては、自社内で似たようなサービスを複数抱えることによるデメリットがあったとも考えられます。

3.インフルエンサーの他媒体への流出

かつては「Viner」と呼ばれる人たちを生み出したものの、ここ数年は情報発信を他のSNSに乗り換える人が少なくありませんでした。事例として紹介した大関れいかさんも、現在はインスタグラムやLINEブログを活用することが増え、Twitterに搭載された動画アップロード機能も頻繁に用いるようになりました。

加えて動画再生回数によって広告収入が得られる「YouTuber」の認知向上や、相次ぐ動画共有サービスの登場により、かつてのVineを取り巻いていたコミュニティへの求心力が弱まるようになりました。

インスタグラムやYouTube、SnapcahtやMixChannelなどといった様々なサービスへの乗り換えが始まり、動画コンテンツの発信者が必ずしもVIneを選ばなくなりました。

Vineスターと運営側との金銭面での対立

2016年3月にBuzzFeed Newsが報じた記事によれば、海外で活躍するVInerを「Vine Stars(Vineスター)」と呼び、Vineの運営チームに対し、彼らから幾つかの提案を行っていたとのことです。

提案内容としては、Vine内にワードフィルター機能(不快なツイートをブロックする機能)を搭載し、Vineスター18人に対してはVineが1人120万ドルずつの支払いを促すものでした。

しかし、VIneスターからの提案は比較的強気なものでした。Vineが受け入れるのであれば週に3本程度の投稿を行うが、もし断るのであれば他の動画配信プラットフォーム(YouTubeやインスタグラム)に移行するという条件を突きつけていたのです。

Vineとしては当初は提案を受け入れる方向ではあったものの、BuzzFeed Newsの報道後に支払いを求めるVineスターが21人に増えたことなどから不信感を示し、支払いに応じることはなかったそうです。また、提案に含まれていたサービスの仕様改善もなかなか行われず、VineスターにとってはVineを使うモチベーションが下がっていきました。