ECサイト構築で失敗しやすいポイントとして、機能面の不足やUIの使いにくさ、コストに関する問題などが挙げられます。

新規にECビジネスを始める時だけでなく、すでに運営中のECサイトにおける課題を解決するためにも、ECサイト構築のポイントを押さえておきましょう。

この記事では、ECサイト構築でよくある失敗について、具体的な事例を交えながら解説します。

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目次

  1. ECサイト構築で失敗しやすいポイント
  2. 機能面に関する失敗事例と注意点
  3. UIに関する失敗事例と注意点
  4. コストに関する失敗事例と注意点

ECサイト構築で失敗しやすいポイント

ECサイトを構築・運営する上で失敗しやすいポイントは、大きく3つに分けられます。

1.機能面の不足

ECサイトの機能は、商品検索決済フォームなど顧客向けのものから、配送状況や在庫の管理といった事業者向けのものまで様々です。サービスの種類やプランによって、ECサイトで利用できる機能は異なります。機能が少ないシステムを選んでしまい、自社が実現したいECサイトを構築できないことはよくある失敗です。

●チェックポイント

扱う商材の種類や商品点数、実行したいマーケティング施策などに応じて、十分な機能を備えたシステムを選んでECサイトを構築する必要があります。

2.UIの使いにくさ

機能が備わっているだけでなく、UIが使いやすいかどうかも重要なポイントです。商品ページや会員向けのマイページなど、顧客が利用するUIが使いにくいと、コンバージョン率の低下離脱が発生してしまいます。また、事業者側が使用するUIが使いにくいと、業務効率の低下操作ミスの原因となります。

●チェックポイント

画面構成やボタン配置のわかりやすさ、一括編集機能の有無などをチェックし、UIが使いやすいECシステムを選ぶことが重要です。

3.コストに関する問題

ECビジネスではECサイト構築時の初期コストだけでなく、ランニングコストオプション機能利用料決済手数料など様々なコストが発生します。また、途中でECシステムを乗り換える場合は高額なリプレイス費用が必要です。

●チェックポイント

十分な利益を確保するために、中長期的な事業規模の拡大も視野に入れながら、かかるコストを正確にシミュレーションしておくことが重要です。

機能面に関する失敗事例と注意点

先に挙げた、「機能面の不足」「UIの使いにくさ」「コストに関する問題」について、それぞれ具体的な事例を紹介します。

機能面でよくある失敗として、実現したい販売方法やマーケティング施策にECシステムが対応していないことや、設定の自由度が低いことなどが挙げられます。

失敗事例1:定期コースや頒布会の機能が無い

ECビジネスで顧客単価LTVを高める施策として、定期コース頒布会モデルなどの販売方法が挙げられます。しかし、ECシステムによってはこれらの販売方法に対応していなかったり、機能自体はあっても設定の自由度が低かったりする場合があります。

定期通販を行うには、毎月の受注フローを自動化する機能などが必要です。毎回異なる商品を定期的に送る頒布会モデルでは、顧客側が好きな商品を選べる機能があると、体験価値がより高まります。

特に、単品のリピート通販や複数商品の定期販売などを行う場合は、販売方法に関する機能を詳しくチェックしましょう。

失敗事例2:かご落ち対策の機能がなくCVRが上がらない

買い物かごに商品を入れたものの離脱してしまう「かご落ち」は、ECサイトのコンバージョン率(CVR)を下げる要因のひとつです。一般的に、決済完了までに必要な手順が多いほど、かご落ちのリスクが高まります

フォーム一体型LPの作成機能は、かご落ち対策に有効な機能のひとつです。LP上でそのまま入力できるフォームを設置できれば、LPからフォーム画面への遷移を省けます。また、確認画面のスキップ機能や、かご落ちしたユーザーへあとからメールでリマインドする機能なども効果的です。

失敗事例3:登録完了メールなどの文面を編集できない

機能面が不足しているECシステムでは、自動送信メールの内容を事業者側で編集できない場合があります。

会員登録時や注文完了時の自動返信メールは、ECビジネスの顧客接点として重要です。例えば、開催中のキャンペーンやおすすめ商品に関する情報をメール文中に記載しておけば、興味を持ってもらえる可能性があります。

あらかじめ用意されているメールテンプレートなどをどの程度編集できるか、ECシステムを選ぶ段階で確認しておきましょう。

UIに関する失敗事例と注意点

ECサイトのUIでは、カート内の状況がわからないことや、発送日時を指定できないことなどの失敗事例が挙げられます。また、表示デバイスの違いに対応できないこともよくある失敗です。ここでは、UIに関する失敗事例を紹介します。

失敗事例4:ミニカートが表示されない

ミニカートとは、買い物かごに入れた商品の情報をECサイトの画面上に表示する機能です。ミニカートが表示されないと、ユーザーが選択した商品や合計金額が一目でわからず、ユーザーの利便性が下がってしまいます

特に、扱う商品の種類が多いECサイトでは、ミニカートが表示できたほうが便利です。画面遷移をせずに買い物かご内の状況が確認できれば、複数の商品をスムーズに選択してもらえます。また、「あと何円分のご注文で送料無料」などの情報をミニカートに表示できれば、追加注文を促すことも可能です。

失敗事例5:ユーザーが発送日や受取時間を指定できない

ECサイトのUIによっては、ユーザー側で商品の発送日や受取時間の指定ができず、離脱の原因となってしまう場合があります。注文フォームや顧客向けのマイページなどで、発送日や受取時間を変更できるUIとなっているか確認することが重要です。

定期コースを用意する場合、配送日にどのようなパターンがあるか確認しましょう。「毎月15日」や「第2土曜日」など、顧客側で配送パターンを柔軟に選べるUIなら、事業者側で個別対応する手間を省くことが可能です。

失敗事例6:スマホ・PCの画面を個別に編集できない

スマホ向けとPC向けのECサイトを個別に編集できず、表示がわかりにくくなってしまうことはよくある失敗のひとつです。スマホ向けのLPしか作成できないと、PCのファーストページビューでキャッチコピーやCTAボタンが表示されない場合があります。

デバイスの画面サイズに合わせて表示が最適化されるレスポンシブ機能があるかが、ECサイト構築時に注意すべきポイントです。また、作成したECサイトを実際に複数のデバイスで表示してチェックすることで、表示に関する失敗を避けられます。

コストに関する失敗事例と注意点

コスト面でよくある失敗は、オプション追加や外部ツールの導入で想定外の費用がかかってしまうことや、決済手数料の料率が下げられないことなどです。ここでは、コストに関する失敗の具体例と注意点を紹介します。

失敗事例7:オプション追加でランニングコストが高くなる

ECシステムの機能は、基本料金の範囲内で使用できる標準搭載機能と、追加料金が必要なオプション機能に分かれていることが一般的です。標準搭載機能の数が少ないシステムを選んでしまい、オプションを追加した結果ランニングコストが高くなることが、よくある失敗として挙げられます。

ECサイトを構築する段階で、自社が求める機能を洗い出し、必要な要件を満たすシステムを選ぶことが大切です。また、オプション機能を利用する場合、トータルでかかるコストを算出した上で導入するシステムの比較検討を行いましょう。

失敗事例8:外部ツールの導入による追加コストがかかる

ECサイトの機能が乏しく、外部ツールの導入が必要になると、想定外の追加コストがかかってしまうリスクがあります。

例えば、顧客の属性や購入履歴に応じてクーポンやポイントを付与する機能は、ECサイトに標準搭載されていることが理想的です。顧客のセグメントごとに施策を行う機能が不足していると、CRMやMAなどの外部ツールを導入する必要があります。

顧客管理やマーケティング向けの機能を確認し、費用対効果の高いECシステムを選ぶことが重要です。

失敗事例9:決済手数料の料率交渉ができない

クレジットカード決済や後払い決済にかかる決済手数料の料率は、決済会社との交渉で下げられる場合があります。しかし、カートシステム会社と契約すると、料率を契約時のまま変えられないことが一般的です。

事業拡大後に決済手数料の料率を調整できるようにするため、決済会社に交渉できる座組になっているか確認することが、ECサイト構築時の注意点として挙げられます。

よくある失敗を踏まえて自社に合うECサイトを構築しよう

ECサイトを構築する際は、利用できる機能やUIの使いやすさ、コスト面などに注意が必要です。失敗しやすいポイントを知っておくことで、使いやすく収益性の高いECサイトを構築できます。自社で扱う商材や取り組みたい施策に応じて、必要な機能を備えたECサイトを構築しましょう。