「ネイティブ広告」とは?従来の広告との違い

nativead-3.jpg
  

「ネイティブ」と「エイリアン」語源から知る媒体にとっての広告の立ち位置

「ネイティブ広告」とは、どのような広告を指すのでしょうか。

ネイティブ(Native)という言葉は、もともと“土着”や“生まれつき”を意味する言葉です。そして、ネイティブの対義語としてエイリアン(Alien)という言葉がありますが、これは“外来種”という意味です。もともと、広告はエイリアンなものとされ、“媒体とは別のモノ”として設定していたわけです。いわば嫌われ者のような扱いでした」(高広 氏)

高広 氏は、広告は媒体にとってエイリアン(外来種的)なものと述べています。つまり、媒体に本来ない存在として扱われてきました。そのため、広告が掲載されていることでUI / UXを損ね、違和感を抱かせる要因として考えられてきたのです。

媒体と広告の関係を良くするために、媒体のデザインや内容とほぼ同じ体験ができる広告枠があればユーザーにスキップされなくなるのではという概念からネイティブ広告が生まれたのです」(高広 氏)

媒体にとって如何に違和感なく広告を掲載できるかを突き詰めた結果生まれたのが、ネイティブ広告です。「ネイティブ広告」は広告の具体的な種類を指すのではなく大きな枠組みとして表す言葉ということがわかります。
  

ネイティブ広告で重要なのは「形式」と「機能」

ネイティブ広告は主に、下記のような形式が存在します。

・インフィード広告
・レコメンド広告
・リスティング広告
・ネットショップのスポンサード商品リンク
・企業のLINEスタンプのような特定のプラットフォーム独特なもの
・TwitterやFacebookなどのSNS広告

上記からわかるのは、広告が掲載される媒体のレイアウトやデザインに即した形式であることです。しかし、単に形式を揃えるだけではネイティブ広告とはいえません。

ネイティブ広告で重要なのは、“形式(=見た目)”と“機能(=飛び先)”です。形式が媒体に合っているからと、いきなりサービスページや資料請求が表示されるのは厳密な意味ではネイティブ広告ではありません。媒体から遷移した先が、例えばコンテンツだったり、ユーザーがそのメディアやプラットフォームで普段体験していることと同様のものが飛び先にあることが大切です」(高広 氏)
  

ネイティブ広告に注目すべき理由

スマートフォンやタブレットなど、ユーザーのインターネット利用環境が多様化したことで、今後ネイティブ広告に注目することが大切だと高広 氏は述べています。

1日24時間しかないのに、スマートフォンを利用したメディアへの接触時間が急速に増えています。博報堂のメディア環境研究所の調査によれば、2009年まではその利用時間は1日18分程度だったのに対して、2016年には90分まで拡大しています。モバイルインターネット環境での収益を考えないとメディア運営が厳しくなるのは皆さんの同意を得られることでしょう」(高広 氏)

スマートフォンの利用時間の増加に伴い、モバイルインターネット環境でのメディアへの接触時間が増えています。Webメディアはもちろん、TwitterやLINEなどソーシャルメディアの利用時間も増加しており、既存の広告だけでは将来的に厳しい状況になっています。

皆さんが普段扱っているディスプレイ広告は、アメリカのIAB(Interactive Advertising Bureau)によって標準化(IABスタンダード)がもとになっています。ディスプレイ広告の標準化は、PC環境に合わせて行われました。共通の仕組みを作ることで制作を効率化し、媒体の種類問わず掲載しやすいフォーマットになります。しかし、スマートフォンが普及した現在では、ラージレクタングルフォーマットのサイズではユーザーに威圧感を与えるでしょう。そこで、IABではモバイルファースト時代に合わせ、ネイティブ広告の重要性を意識し、ネイティブ広告の標準化(Native1.)も行っています。いわば標準化されるぐらい重要かつ一般化された広告フォーマットになってきているわけです」(高広 氏)