今日ではSNSでブログを開設しなくとも気軽に発信できるので、環境は以前とは違うかもしれませんが、それでもブログメディアは依然として人気です。

しかし、皆さんの中にはWordPressで運営している「ブログ」とは別に「Mediumで書いている」という人を見かけたことがある人もいるのではないでしょうか。Mediumは、ある意味でブログに似ていますが、ブログと異なる点も多いので、あえてMediumを選んで書いているというこだわりをもったユーザーも中にはいるでしょう。

そこで、*WordPressを利用しているユーザーのための「Medium超入門」*と題して、Mediumの概要から基本的な使い方までを解説します。自分の思いを発信したいという人は、ぜひMediumをはじめてみてはいかがでしょうか。

Mediumとは

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Medium(ミディアム)は、誰でも簡単に記事を書いて発信することができるプラットフォームです。Twitterの共同創業者でシリアルアントレプレナーのエヴァン・ウィリアムズ氏が立ち上げました。UI/UXがスッキリしていて従来のブログプラットフォームよりも優れているだけでなく、これまでのブログとは思想体系自体が違います。

Mediumによれば、*「広告主よりも人々」「量よりも質」「スポンサーコンテンツよりオリジナルアイデア」「クリックベイトよりエンゲージメント」「ページビューよりビューポイント」*のために作られたといいます。従来の広告のやたらと多い媒体ではなく、もっと自由に読み書きして、アイデアを共有できる場をつくろう、というのがMediumの基本的なビジョンです。

もちろん、そうした考え方を土台に、読み手が最適に記事を閲覧できる*リーディングエクスペリエンス(RX)はもちろんのこと、書き手にストレスのかからないライティングエクスペリエンス(WX)*も考え抜かれています。基本的にはアイデアの共有がメインになってくるので、WordPressのようなデザインの自由さはあまりありません。しかし、自分の考え方をより鋭く発信したいと思っている人ほど、進んでMediumを選んでいます。

モノ書きWordPressユーザーがMediumに移行する3つのメリット

1. 書くことに集中できる

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*「伝えたいことが浮かんでも、書きたいことに集中できない…」*そのように感じたことのあるWordPressユーザーも多いのではないでしょうか。

実際、デザインを大きくカスタマイズできるWordPressでは、文字サイズや広告、被リンクSEOのことなど、ブログの全体設計を意識しながら書いている方もいるはずです。もちろん、そうしたことにこだわりを持つ方を否定するわけではありません。、一方で「伝えたいことをさらっと書きたい」というライティングに集中したい方もいるでしょう。

Mediumでは“いいね”のような役割を持つ拍手(Clap)ボタンで反応を返してもらいます。何回でも拍手をすることができます。そうしたSNS的な共感を生むネットワークを作り出しているため、*純粋に文章へと集中できるのが特徴です。

2. プラットフォームを問わない

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WordPressの場合はレスポンシブデザインの対応を始め、ブログのデザイン(テーマ)に気を配らなければなりません。

しかし、Mediumでは標準でレスポンシブデザインに対応。そもそもデザインテンプレートを選ぶという概念がなく、すべてのMediumの記事がコンテンツに没入できるような共通のデザインになっています。

また、iOSアプリAndroidアプリのように、専用のアプリで「読む」「書く」を完結することができます。Webブラウザでも、デスクトップ・モバイル関係なく読むことができるので、プラットフォームを問わない均質なユーザー体験を提供することができます。

3. Mediumのエコシステムに入ることができる

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見方によっては、MediumはブログプラットフォームというよりはTumblrのようなSNSに近いと言えます。他のユーザーをフォローしたり、フォローされたり、またはタグをフォローしたりすることができるからです。

他のユーザーをフォローすることで、Mediumのトップページにあるリーディングリストに最新の更新状況が表示され、1日1回お知らせとしてメールを受け取ることができます。また、フォローしているユーザーがストーリーをおすすめ(reccomend)することで、その記事もリーディングリストに表示されます。

日本では2015年1月から本格的な展開がスタートしていますが、すでにコミュニティとしてのMediumは出来上がっています。WordPressを独自サーバーで立ち上げると、どうしても「運営」をするという気持ちになってしまいますが、Mediumであれば書き手同士が気軽に繋がりやすいのではないでしょうか。

自分のMediumを立ち上げる手順

それでは、自分のMediumを立ち上げる手順をご紹介します。

1. Mediumアカウントの作成

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まず、Mediumトップページで、右上にある*「Get Started」*ボタンを押します。

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ボタンを押すと、GoogleアカウントかFacebookアカウントを使ってサインアップを行うことができるので、どちらかをクリックしましょう。現在はメールアドレス単独でのアカウント登録はできないようになっています。

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アカウントでログインをすると、*「Welcome to Medium.」(ようこそ、Mediumへ。)というメッセージが現れるので、「Dive in」*ボタンを押します。

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興味のあるジャンルを3つ以上選択します。選び終わったら、「Start Reading」ボタンを押します。すると、ホーム画面に遷移します。

2. 新規パブリケーションの作成

次に、*パブリケーション(Publication)*を作成してみましょう。パブリケーションとは「刊行物」のことで、いわゆる1つの「ブログ」だと考えていただいていいでしょう。

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右上の自分が設定したアイコンをクリックするとメニューが表示されるので、*「Publications」*をクリックします。

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Publicationsページに移動したら、*「New Publication」*をクリックします。

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次に出てくるページで、新しいMediumのパブリケーションに関する情報を打ち込みます。

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次に、パブリケーションのレイアウトを決定します。上部はタイトルやサブタイトルを設置したり、ロゴに置き換えたりすることができます。また、トップページレイアウトをいくつかのセクションによって自由に決めることができます。

設定が完了したら、ページ下部の*「Create」*ボタンをクリックします。

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これで、パブリケーションが無事に発行されました。

3. ストーリーを書く

パブリケーションが発行されたら、記事を書いてみましょう。Mediumでは、記事のことを*「ストーリー」(Story)*と読んでいます。

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ストーリーを書くには、右上の自分のアイコンをクリックして、*「New Story」*を選びます。

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すると、このようなエディターが出てくるので、タイトルを打ち込んで、あとは書くのに集中するだけです。

画像を挿入したり、セクションライン(区切り線)を追加する場合には、段落左にある「+」ボタンを押します。TwitterやYouTube、他のブログ記事などの埋め込みは、URLをコピー&ペーストして改行するだけで自動的に最適な形で挿入されます。

記事が完成したら、右上で緑色の文字になっている「Publish」をクリックし、最大5個までのタグを入力して、*「Publish」*ボタンをクリックすれば、ストーリーが発行されます。公開日時設定などもこの吹き出しで行うことができます。

WordPressからMediumに記事を移行する方法

以前はWordPressからMediumに移行する際、WordPressの記事をエクスポートをしてMediumに読み込む必要がありました。しかし現在では、とても簡単にWordPressからの記事を読み込むことができます。

記事をWordPressからインポートするには、右上の自分のアイコンをクリックして、*「Stories」*を選びます。

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灰色になっている「Import Stories」をクリックします。

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次に現れるページに、ブログポストのリンクを入力し、「Import」をクリックします。

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すると、ブログ記事のタイトルや本文、画像などを引っ張ってくることができるので、記事の体裁をととのえて、通常通り*「Publish」*をクリックしてストーリーを発行すれば完了です。

この方法を使えば、必要な記事だけをMediumに「引っ越し」させることができます。URLを指定して体裁を整えるだけなので、少しまとまった時間をとるだけで、複雑なツールを使わず簡単にMediumに引き継ぐことができます。

まとめ

書くことだけに集中したいブロガーやエンジニアなどは、ブログではなくMediumを選んでいます。もちろんブログによる収益化を望んでいるのであればブログのほうが手取りばやいですが、MediumはPaywallと呼ばれる報酬プログラムも準備しており、エンゲージメントの高いライターには報酬も支払われる仕組みも整えています。

日本では、Lifehacking.jpのHori氏など、テック業界を中心に書き手が広がっています。ぜひ、この機会にMediumをはじめてみてはいかがでしょうか。